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カテゴリ:サンチャゴ巡礼2002
小林正観さんは「自分の世界を広げるもの」として読書・旅・人の話の3つをあげています。旅は自分の世界を広げてくれる貴重な機会なのでしょう。
去年は巡礼の出発地サン・ジャン・ピエ・ド・ポーにいちばん近いトゥールーズまで飛行機で行きました。空港から市内へ向かうバスのなかでおなかがゴロゴロいいはじめました。市内まで何分かかるかわからないし、着いたらすぐにトイレを探さなきゃならないし、まったく冷や汗ものでした。 海外へひとりで行くのは心細いものです。けれどもこの心細さを体験するのが旅の醍醐味かもしれないな、とも思います。日本の慣れ親しんだ環境にいたら、心細さを味わうことなんてそんなにありませんから。 この心境を『ジュラシック・パーク』や『ER』の原作者、マイクル・クライトンが次のように書いています。「旅とはなにか」を語るとき、わたしはこの定義がいちばんしっくりきます。 「ときにわたしは、世界の遠い地域まで出かけるのは本当の自分を思い出すためだと感じた。 なぜそうなのかということに何の謎もない。ふだんの環境、友人、日常のルーチン、食料のつまった冷蔵庫、服のつまったクロゼット――これらすべてを奪われると、いやでも直接的にものごとを経験しなくてはならなくなる。 こうした経験は、この経験をしているのが何者であるかをいやおうなく意識させられる。それは必ずしも心地よくはないが、つねに人を活気づけてくれる。 結局わたしは、直接的な経験こそ自分にできる最も価値ある経験だということに気づいた」 クライトン自身、ハーヴァード大学を出て医者になりながら満足せず、作家に転向してベストセラー小説を何冊も書きました。しかしそれでも満たされず、世界各地へ自己探求の旅に出たのです。 予定では今年の巡礼に出発するまであと10日間ほどです。 これから準備に入ります。 ●サンチャゴ巡礼2002(その18・ブルゴスつづき) ブルゴス市内に入ると喜びがこみ上げてきました。この町は15年前にも来たことあります。大都会のなかにも黄色い矢印⇒はしっかりとあり、それにしたがっていくと大聖堂の前に出ました。 世界遺産にも登録されている、見上げるような大伽藍です。前に来たとき見ているはずですが、まったく覚えていません。まあ初めて来たように新鮮に見れていいかも。 ブルゴスの巡礼宿は市街を通り抜けた先の公園のなかにありました。泊まらないので巡礼者手帳にスタンプだけもらいます。 「終わった…」。市内に入ったとき感じた喜びは、すぐさびしさに変わりました。すでに昼を過ぎて強い日差しが照りつけています。休憩しただけで次の町をめざして出発する巡礼者もいました。 駅へ行って荷物を預け、フランス国境までの切符を買ったあと大聖堂を見にいきました。スペインを、ブルゴスを、そしてカミーノを去りがたく、いつまでも大聖堂をながめていました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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