鷺と雪 直木賞受賞作品
鷺と雪:北村薫 著 昭和10年頃の東京が舞台。商社を経営する良家の子女で、皇族華族が多い女子学習院?に通う女性が主役。のんびりした雰囲気のちょっとしたミステリー。 まるで女性が書いたような文章ですが、作者は以前、性別を秘密にしていてやはり女性と思われていたそうです。3話で3つの事件を解明していくストーリーです。昭和初期の、上野、銀座、などを細かく描写しレトロな雰囲気と高尚な登場人物の行動で独特の世界観を表現しています。すごく読みやすい文章です。 修学旅行で近畿を訪れ、天橋立で貝殻を拾ったり写真を撮ったりするシーンがありますが。偶然私も7月に天橋立に行ってきましたのでちょっと感動しました。 天橋立からの写真 全般的に落ち着いたかわいらしい話ですが時々ドキッとする場面が出てきます。 また、徐々に戦争の足音が聞こえてきている時代背景も描かれています。そしてラストは史実を取り入れた感動的でかなりひねったインパクトの強い終わりかたです。1本の電話が運命的な・・・このラストのためにすべての話が仕組まれていた、という気もします。