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カテゴリ:本
新参者 東野圭吾 を読みました。
ある中年の女性がワンルームマンションで 絞殺されていたという事件を巡って、加賀と いう刑事が、何らかの関わりのある人物に 細かく事情を聴取していくストーリーです。 加賀刑事は、自らを「新参者」とよび、飄々 としてちょっとユーモラスですが。 実は、緻密な捜査と鋭い洞察、 巧みな論理思考の辣腕刑事です。 その殺人事件をめぐる、9話のショート ストーリーのような構成になっていて、 小刻みに読めます。 登場人物たちは、そこそこ 個性的で味があるのに、作りすぎていない キャラで絶妙。いろいろな業種の人々が その仕事ぶりや状況を活き活きと 描かれています。 それぞれの人間関係や家族の絆がとても リアルに書き込まれていて、そのすべてに 感情移入が容易です。そして、 その章ごとに、ニヤッと笑えたり、うるっと 泣けたり感動できます。 そして、事件もゆっくりじっくり解明されていく 展開で進行します。 また、作品全編をとおして流れている、日本の伝統的な 商店の懐かしい雰囲気も、ストーリーに奥行きを与えています。 後半は、被害者の遺族にまつわる、やや複雑な人生 を泣かせる演出で描いていて、ちょと感動します。 そして、ラスト付近の上杉刑事の台詞が読者に訴えてきます。 自分の息子を甘やかした結果、事故でなくした教訓を 話す場面に心を打たれました。 4月からテレビドラマがスタートするようですが、この小説 なら、ほとんどそのままの脚本でもかなり面白いでしょう。 本屋さんに山積みされているのも納得のナイスな作品でした。 ドラマも是非見てみたいと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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