2013/2月号 屋号と襲名
屋 号 と 襲 名 蓬莱屋恒五郎、松川屋半兵衛、富屋久之丞、蔦屋弥三郎、柏屋善兵衞の各氏と不肖私・桐屋捨五郎は、私の知る範囲で屋号を継承し襲名をされた方々です。 屋号は日本古来の家制度と密接な関係があり、商人などが取引などの必要から使うようになったものです。それらの家長が代々屋号の襲名と同時に名乗りとしたため、一家族、一族の系統を示すものとしても用いられるようになりました。そのことから老舗家の当主が代々継承し、しかも一族内の生きている者を扶養するばかりでなく、一族の先祖の墓を守ることをも含んでいました。屋号、特に語尾に『屋』を付す形のものは、江戸期に発生し、商業においては『商人の信用の基礎』とされ、自営業者の子が親の家業を引き継ぐことはごく一般的なことでした。今でも屋号を商号としている会社や個人事業主は少なくありません。 襲名は先祖から同一の名を何代も続けて来たものです。襲名は歌舞伎などで名跡(みょうせき)を継ぐことをイメージされることが多いのですが、古典芸能ばかりではなく前述した方々のように現代の企業においても多く使われています。 旧民法では長子相続が一般的でしたが、戦後新民法となって家制度が崩壊して分かりづらくなりました。郡山でも多くの商家で襲名されていたと思いますが、失礼ながら私を含めて古色蒼然たる名前ですから、時代の変化とともに現代風に変わっていったものと思われます。 江戸時代から連綿として続いてきたこの歴史と伝統も、平成18年に改悪された会社法によって脅かされる事態となりました。つまり商号登記に類似商号を禁ずる縛りがなくなったため、同一登記所管内においても同一商号の登記が可能になってしまったのです。そのため同じ市内に、同じ商号の複数の会社やお店の存在を許されるという不思議なことになってしまいました。 先祖が営々として築き伝え、無傷で渡すべき『暖簾や看板としての商人の信用の基礎』が、ある日突然、第三者に無断で使用されるという被害が、我が家の屋号の桐屋でも発生しました。乞御注意!ブログランキングです。←ここにクリックをお願いします。