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フィギュアスケート選手、高橋大輔さん=5月1日(渡辺真一さん撮影)msn.産経ニュースより
【冷静と情熱のあいだ】
惨敗して空が晴れた 高橋大輔
惨敗。世界選手権(モスクワ)では2連覇どころかメダルさえ取れなかった。ショート(SP)の段階で1位パトリック・チャンとの13点差には驚いたけれど、フリー(FS)は奇跡が起きなければ優勝はない、ただ自分の仕事をするだけ、という気持ちで落ち着いた集中力はあった。
■靴にアクシデント
フリー冒頭の4回転のトゥをついた瞬間、左足のかかとのビスが外れたことがわかった。直前にもチェックはしていたはずなのに、今なぜここで...!?
中断は3分以内というルールがあるので、リンクサイドではもうひたすら3分以内で直ってくれ、と焦りつつ、落ち着け落ち着けと自分に言い聞かせていた。
演技再開後は、4回転を降りたところからスタート。途中からという難しさはあるけれど、普段から、4回転降りた後からの練習はよくしているので、その部分での影響はなかったと思う。それよりも、ビスが外れた左足の靴は既に消耗が激しく、少しゆがんでいたから、靴がもつか...という心配があって、ジャンプを思い切り飛ばずに後半に転倒してしまったことが悔やまれる。プログラムへの気持ち自体は切れることなく、自分なりには最後まで気持ちを入れて滑ることができたとは思う。
■周囲のレベルアップ
自分の力のなさを痛感した。今回の世界選手権は、3月に東京開催の予定が、東日本大震災の影響で4月に延期になり、モスクワ開催になった。一度は大会が中止、と発表されたこともあって、一旦途切れた気持ちをもう一度整える必要があった。でもそれはどの選手も同じ条件だったし、僕は震災と自分の試合を結びつけて考えたくはない。むしろ僕自身は、一旦気持ちを切らせて一週間オフモードにしたことで、4月に入ってからモスクワへの調整は意外とうまくできたと思っている。
周りのレベルが確実に上がってきている中で、自分は一歩遅れていることも感じている。スピンはなかなか本番でいいものが出せないし、ジャンプの確率もまだ悪い。4回転は成功させなければ、それもショートに1本、フリーには2本入れなければもう勝てない時代になってきた。
■吹っ切れた「迷い」
「ソチ五輪までやります」。試合直後の会見で思わず瞬間的に口から出た言葉だった。この時この場で発言するなんて自分でも予想していなかったけれど、もしかしたらずっと心の片隅には思っていたのかもしれない。今シーズンは、現役を続けるかやめるべきか迷いながら試合をしてきたことがしんどくもあった。そんな迷いが吹っ切れた。
これから現役を続けることはさらに厳しい現実が待っていることはわかっている。どんな若い選手が出てくるかわからないし、僕は思うような成績が取れないかもしれない。ソチ五輪も「行ける」という保証はない。でもその厳しい道を歩くことに意味があるんじゃないか、という気持ちになった。
ソチと同じロシアに来て、こういう気持ちになれたということにはきっと意味がある、と思いたい。
構成:フリーライター かしわぎ なおこ/撮影:フォトグラファー 渡辺真一/SANKEI EXPRESS
(2011.5.11 09:41 msn.産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/sports/news/110511/oth11051109450003-n1.htm
「焦りつつ、落ち着け落ち着けと自分に言い聞かせていた。」
あの、ビスがとれ、3分以内に直すということは、
選手にはプレッシャーなのですね。
当たり前だ! とお叱りをうけそうですが。
簡単に直るとは思わなかったけど、ビスを止めていた渡部さん、
「まだ時間ある!」と言ってた方(誰でしょうね?)の様子から、
大丈夫、大丈夫!と思っていました。
…思っていたと言うより、願っていたのでしょうね。
再開できる、大丈夫、大丈夫…!
私は、辛い時ほど、いい方に考えたくなるのです。
そして、最後まであきらめたくないのです。
この場面について私もいろいろと考えました。
会場の励ましの応援、拍手から、
会場の方々のあたたかさを感じました。
高橋くんも感じたと思います。
そして、会長の行動に和まされたのかな、
という事も書いたことがあるのですが…
この点は、間違っていました。 猛省していますm(_ _)m m(_ _)m
選手は、やはり、和めるわけでなくプレッシャーだったのですね、と。
ああ、ごめんなさいm(_ _)m
悲惨に考えたくない、私のとんちんかんな思い込みでした。
プレッシャーの中、
「落ち着け落ち着け」と言い聞かせていた高橋くん。
心が強くて格好いいです。
「でもその厳しい道を歩くことに意味があるんじゃないか、
という気持ちになった。」
こういう前向きな考え方は、好きです。
高橋くん、歩きながらどんな意味を見いだしていくのだろう。
これからもずっと、見守っていきたいと思います。
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