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[東日本地震による災害のお見舞い]
東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)による災害を受けられた皆様に 心よりお見舞いを申し上げます。◇◆◇◆ ~東北東北地方太平洋沖地震関連情報~ 「中小企業向け資金繰りガイドブック」 ------------------------------------------------------- ☆中小企業庁のページ (東北地方太平洋沖地震関連の施策情報) 「中小企業電話相談ナビダイアル」 ☆近畿経済産業局 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ●you tube漫画の描き方 ●you tubeイベント案内 ●you tube風景写真01 ●you tube風景写真02 ●you tube風景写真03 ●you tube風景写真04 ------------------------------------------------------------- 「源義経黄金伝説」とは■日本版三国志の物語。 ■時代は,源平の争いから、鎌倉幕府が成立しょうとしていた時期。 ■京都の陰陽師・鬼一方眼に、友人、西行法師は源義経の養育を依頼。 その背景には、後白河法王、藤原秀衡が。 ■東アジアのフロンテイアである日本は、国家を成立。その象徴として 黄金大仏を作り、国家の勢力をシンボル化。平安京に奠都した大和は、 日本を統一していくが、国家象徴としての黄金大仏は、武家革命勢力に よる内乱のため、消失。 ■その大仏再建を図らんため独立国家、奥州を併合、黄金を収奪しょうと する鎌倉武家革命政権。瀬戸内海荘園群を経済地盤とする、後白河法王を 頂点とする貴族制西国王朝と新興勢力である東国騎馬武士団を率いる源頼朝。 ■古代よりエミシの血を受け継ぐ奥州に黄金・仏教王国を構える藤原秀衡。 ■「義経黄金伝説」は、一二世紀日本の三つの都市(京都、鎌倉、平泉)と 三人の騎士の物語。 源義経黄金伝説■2009-第1回 京都市上京区今出川通り飛鳥井に京都市上京区に白峯神宮はある。 祭神は崇徳上皇(すとくじょうこう)。日本の大魔王といわれている。 幼き明治帝の手を外祖父、中山忠能がかしづき、新しく出来た神社に詣でて いる。 「さあ。御君(おんきみ)、ご先祖帝さまにお願い申し上げてくだされ。 これからの、御帝さまを中心とされる新しき政府に、崇徳様の怨霊がたた らぬように、あたらしき政治をお守りくだるようにお願いつかまつれ。 代々、我が家、藤原本家に伝わりし、西行法師(さいぎょうほうし)殿と の約束を使え下させ」 幼き帝は、手を合わせ、御願いを、なされた。 「崇徳上皇様、お許しくだされ。我が王朝が武士から政(まつりごと)を取り戻すに700年もかかってしまいました。今にいたり、源頼朝、大江広元の子孫たる二家、薩摩島津。長州毛利両家をもって、武士どもの町、江戸と政庁江戸幕府を倒し、武士どもを根こそぎ退治いたします。この長き屈折したりし日々をお許しくだされ。 そして、陰都でございます。平泉王国は、いにしえに滅びました、それゆえ、 代わ りに江戸を陰都といたします。平将門を祭る神田明神を持って、陰都の 守神といた します。 が、本来は、崇徳上皇様が祭神でございます。どうぞ、我が王朝が、江戸城 をもっ て皇居といたす事をおゆるしくだされ」 御年十六歳の帝は、深く頭をさげた。白峰稜前にある白峰寺木像(白峰大権現)が 讃岐(さぬきー香川県)から運ばれて来ていた。先帝孝明帝が望み、できなかった事をなしとがている 。 「今、奥州東北の各藩が、列藩同盟とか申し、昔の蝦夷どものように反乱を 起こそ うとしております。我が王朝の若い貴族を持って先頭に立ち、荒恵比寿どもをたいらげます」 帝は、再び深々と、頭を垂れた。 崇徳上皇は、保元の乱(ほうげんのらん)の首謀者の一人である、後白河に 敗れ、讃岐に流され、そのちでなくなり、白峰山(しらみねさん)に葬られた。 讃岐は京都の南西の方角、つまり裏鬼門であり、平泉は、京都から見て鬼門 にあたる丑寅の方角である。 空から、独白が落ちてきて響き渡る。 「西行法師よ、長くかかったのう。いつまで朕をまたせたことやら。 がしかし、その陰都もいつまでも、安穏とするかや。 所詮は、東京幕府、所詮は、荒夷ども街じゃ。 朕が情念は、いつしか吹くだすやもしれぬ。見ておれ」 この日、元号が明治と改元された。 ------------------------ ■源義経黄金伝説■2009-第2回 明治元年(1868年)よりさかのぼる事、690年前 ■1180年(治承4年)四国白峰。 老僧が荒れ果てた神社の鳥居の前に佇んでいる。鳥居から見える四国瀬戸の荒 海はひゅひゅうと音を立てて荒れすさんでいる。 「ようやく参りましたぞ、崇徳上皇様、しかし、この荒れよう、いかにかなら ぬものか。上皇様、上皇様、どうかお姿をお見せくださいませ。西行が、佐藤 義清が参りましたぞ」 西行は大声で叫んでいる。ここは四国の山中である。が、社殿は静まり返って いる。その静けさが、何とも恐ろしい。 「いかがなされました。何かご不満がおありになられるのか」 「ふ……」 どこからともなく、うめき声が、あたりの静寂を破る。 突然、風が強くなってくる。空が急激に曇り始め、やがてポツリと西行の頬を 雨脚が濡らした。 「遅いわ、西行よ。朕を、何年待たせるのじゃ。さような奴輩が多いがゆえ、 京都に災いの種を、いろいろ蒔いてやったわ。四つの宮、後白河もいやいや腰 をあげたであろう。俺が恐ろしいはずじゃ。う、悔しや。もっとあや つ、、、、後白河法皇を苦しめてやるぞ」 その声は恨みに満ち満ちている。 「崇徳上皇様、お待ちくだされい。民には、何の咎もございませぬ。どうか、他の 人々に災いを与えるのはお止めくだされい」 「ふふう、何を言う。日本の民が苦しめば、あやつも苦しむ。もっともっと苦 しめばよい。俺の恨みはいかでも晴れぬは」 「お聞きください、崇徳上皇様。では上皇様のための都を新たに作るという策は、いかがでございますか」 声が急に途切れる。 「何、西行よ、お前、何かたくらんでおるのか。いやいや、お主は策士じゃ。 何かよからぬことをたくらんでいるに違いない」 意を決して、西行が顔をあげた。 「崇徳上皇様、奥州でございます」 「何、あの国奥州に」 「そうでございます。この国の第二の都を。それならば中国にも前例がござい ましょう」 「何、平泉を、第二の京に。そして朕を祭ると、、そういうことか、西行」 「さようでございます」 西行は、顔を紅潮させていた。 「西行、たばかるでないぞ。わかったぞ。朕は、少しばかり様子をみる事とし ょう。がしかし、再度謀れば、未来永劫、朕はこの国に、祟るぞ」 風雨は、急に止み、天に太陽が姿を現す。汗がしたたり落ちている西行の顔 は、まぶたが閉ざされている。体が瘧のようにぶるぶると震えている。腰は、 地に落ちている。 「これでよろしゅうございますか、兄君、崇徳上皇様に告げましたぞ。後白河法皇様。 はてさて、しかしながら、恐ろしい約束事を…。この私が西行が、佐藤 義清が、いかにしてか、平泉を第二の京にしなければなりませぬなあ…」 ひとりごちている西行は、心中穏やかではない。 西行は四国白峰にある崇徳上皇の塚にいる。 崇徳上皇は保元の乱で破れ、弟、後白河上皇に流されたのだ。 ------------------------------------------------------- ★インターネットによる赤ペン指導漫画教室★ ■!ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」「マンガ家になる塾」をインターネット教育■ ------------------------------------------------------ ●飛鳥京香「小説工房」● ●「義経黄金伝説」 ●飛鳥京香の「フアンタジー劇場」 ●「ロボザムライ駆ける」 ●「遥かなる絆ーランナー」 ●「地下道1949」 ●「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」 ●腐敗惑星のアリスー寂寥王伝説」 ●「聖なる水の僕」 ●「イシのヒト」 ●「私の中の彼へー青き騎士」 ●「ミュータントウオーズ」 ●「神よ、その腕もて」 ●「キング・オブ・ドリーム」 ●「宇宙から帰りし王ー山稜王」 ●「日本人の時代ジャップスデイズ」 ●飛鳥京香の「アイランド」 ─── ★山田企画事務所● ★山田企画事務所ビジネス日記 ★日本漫画文化研究所 ★漫画家になる塾 ★漫画家になる塾2 博士_研究室 ■ビジネス企画塾 ■仕事術 ■就職塾 ■「歴史散歩」写真館 ■ 歴史散歩」■ 伊丹ロハス生活 ■シンプル■ ◎メカムシ創造研究所 ◎日本イベント業務管理者協会 関西地区本部------------------------------------ ---------------------------------------------- ─── ■ 山田企画事務所● 山田企画事務所ビジネス日記 アニメ漫画文化研究所 漫画家になる塾 博士_研究室 ------★マンガ家になる塾★ ●Manga Agency山田企画事務所は、漫画制作(主に広告漫画イラスト)やイベント実施運営(漫画教室・似顔絵)などを業務としております。 ●NPO法人アクト情報交流 ■日本イベント業務管理者協会 関西地区本部 の理事 伊丹産業振興シニアアドバイザー7 です。兵庫県伊丹市で漫画教室も実施 教室・セミナー・歴史・写真集 ---------------------------------------------- 山田企画事務所/山田博一(ヤマダヒロイチ) ■FAX020-4665-6859●携帯FAX020-4662-8766●yamada@yamada-kikaku.com ---------------------------------------------- ●広告・ネット・イベントにマンガ・アニメを!をテーマに●マンガエージェンシーとして企画営業活動を。(伊丹商工会議所会員・伊丹産業振興シニアアドバイザー・日本漫画家協会会員・日本アニメーション協会会員・経済産業省認定イベント業務管理者) ------------------------------------------------------------ ------------------------------------------------------------ 携帯版ー私の中の彼へ「青き騎士」携帯版ー遥かなる絆「ランナー」 携帯版ー「ロボサムライ駆ける」 携帯版ー[義経黄金伝説パート1」 携帯版ー[義経黄金伝説パート2」 ------------------------------------------------------------- ● ●マンガ教室と展示会など写真集 ●山田企画事務所の本棚 ------------------------------------------------------------- 飛鳥京香の「義経黄金伝説」 [全331件]
源義経黄金伝説■第60回 [ 源義経黄金伝説2010版(短縮版) ] 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 Manga Agency山田企画事務所 ★you tube「マンガ家になる塾ー漫画の描き方 ★「マンガ家になる塾」★ ■ 建久元年(一一九〇)三月 京都 後白河法皇の前に、歌の名人、藤原定家(ふじわらていか)が呼ばれている。 「西行の名前を残して起きたいのだ」 「西行様の、麻呂も賛成でございます、で、いかかな処理をいたしましょう や」、 「よいか、お主が編纂をしておる歌集に、西行の歌を数多く入れるのだ。 歌 聖人としたい。それが、西行に対する朕のせめての償いないとなろう。 わが国 の「しきしま道」の戦士としての。西行の名を高めよな」 法皇の頭の中には、色々な今までの西行に対する指令がうづまいていた。 「まあ、よい、奥州藤原に対する絆の一つが消えたが、すでに平泉が 源頼朝の ものとなっては、、後は、頼朝にたいする、いや、板東に武家にたいする 仕組 みをどうすすか」 西行をうしなった後を、誰でうめようか。と後白河は考えている。 が、法王は、弟、崇徳の霊にも対応をせねばならなかった。 西行が企み、それは、平泉を陰都として、崇徳を祭り、北の都の祭りとし、頼 朝に対応される事であったが、頼朝が、西行と法王の企みすべてを打ち砕いて いた。奥州平泉は先年1189年文治5年に頼朝の手におちている。 おう、身震いがした、 崇徳が悪霊か、、 法王は遠く讃岐の方を見た。 後白河と崇徳とは、兄弟と記録されているが、崇徳は本来の兄ではない、、 ■2 建久元年(一一九〇)三月 京都 文覚が、自分が勧進を行った京都神護寺(じんごじ)にて打ち沈んでいる。 お師匠様、いかがなされました」 夢身、今は明恵(みょうえ)と名前を改めている。 「おう夢見か、ワシはな。この手で 西行をあやめたのだ。それがのう、頭にこびりつく。また。 ワシに、あやつは、大きな仕掛けを残していくよったのだ。 いわば、ワシをあやつらの仲間に抱きいれるような、、」 「師匠様が、西行様のたくらみの手助けをなさる」 「そうだ」 文覚にとっては、めずらしく煩悶していりのだ。それゆえ、弟子の 夢見、明恵の、その文覚言葉を聴いての動揺も気づいではいない。 夢見は、数ヶ月前の事を思い起こしていた。 ■ 仏教王国、平泉陥落後のち数ヶ月後、西行が、京都神護持をおとづれていた。 「夢見どの、いや今は明恵殿とお呼びしなくてはなりませんか。文覚殿は おられるか」 「師匠様は、今留守でございますか。何かお伝えすべき事がございましたら、 私にお伝え下させませ」 「あ、いや、夢見殿がおられれば十分だ」 夢見は、西行を部屋に入れている。 急に、西行が、夢見に対して頭を下げていた。 「夢見殿、この後の事、お願いいたすぞ」 「え、何か、」 「この日の本のことだ、たくすべきは、おぬししかあるまい」 西行は、夢身を顔をしっかりと見て、断言した。 「また、大仰な、私は文覚の弟子でございます。そのような事は お師匠様に、お伝え下さい」 「あいや、夢見どのおぬしではないとな。文覚殿では無理なのだ」 夢見は、無言になり、顔を赤らめた。神護寺は、京都の山中にあり、ふき あげる風が寒々とする。山並みが遠く丹後半島まで続いている。遠くで獣 の鳴き声が響く。 「この国は今変わろうとしておる。が、和の命も、もうつきよう」 しみじみと言った。 「この国を仏教王国にしていただきたい。神と仏が一緒になったな。 わしが重源殿とはかり、東大寺の200人の僧を伊勢参拝させたのだ。 この源平の戦いの後、どれだけの血がながれていたか。夢見殿のお父上もまた 戦でなくなれれていよう」 「それは、いささか、私の手には、重もうございます」 「いあや、鎌倉の武家の方々にナ、仏教を思い至らしていただきたい」 「それは、お師匠様が」 「いや、わしと文覚殿の時代ももう、おわろうて。武士の方々を仏教に 結縁させていただきたい。そいて、この世の中すべてうまく回る仕組みを 作っていただきたい」 「仕組みとは」 「たとえば、貴族の方々は、遠く桓武帝がおつくりになった立法 を守り、行ってきた。これから新しく規範が必要なのだ。世の基準をつくり、武家、庶民が豊かにくさせる世の中にしていただきたい。 いや、これは、西行の戯言と思っていただきたいが、源氏の後には 北条殿が、この世の中を動かすであろう」 「北条様は、しかし、源氏の家臣ではございませんか。また、鎌倉には大江広元様がおられましょう」 西行は冷笑した。 「ふつ、大江殿がどこまで、お考えかわからぬぞ。果たして、世の動きを作りは 源頼朝の大殿か、大江殿か」 西行は、ふっと考えている。この諧謔さが、師匠の文覚の気にいらぬのだ。 「よいか、夢見殿、和が話したことは、文覚のみは内緒ぞ」 二人秘密になるのじゃ。 北条殿を助け、その世の仕組みと基準である、理(ことわり)を作られるのじゃ 「それは東大寺の重源様、栄西様のお仕事では、、」 「あの東大寺の方々には、他のやり方がある。夢身殿には夢見殿の考え方と生き方が ござろうて」 西行のと明恵の会話は続いた。このことは、文覚は知らない。 ■ 続く 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 Manga Agency山田企画事務所 ★you tube「マンガ家になる塾ー漫画の描き方 ★「マンガ家になる塾」★ 最終更新日時 2012年4月28日 13時12分50秒
源義経黄金伝説■第59回 [ 源義経黄金伝説2010版(短縮版) ] 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 Manga Agency山田企画事務所 ★you tube「マンガ家になる塾ー漫画の描き方 ★「マンガ家になる塾」★ ■ 1190年(建久元年) 葛城弘川寺 荒法師、文覚が、次々と繰り出す八角棒を擦り抜け、文覚の体が浮いた瞬間を 西行の拳がついているのだ。 文覚が八角棒で次々と颶風を起こし、西行の体を狙うが、西行は風のように 擦り抜けている。回りで見ている文覚の部下たちも、二人の動きの早さに驚 いている。七十才の老人同志の争いとは見えぬ。 ここ、河内葛城の山を背景に、桜吹雪の降るなかで、二匹の鬼が舞い踊ってい る。一瞬、その時がとまり、桜の花びらが、どうと上に吹きあげられる。 一瞬、文覚の一撃が、西行の胸に深々ととらえた。突き刺さっている。常の西 行ならば、避けられないものではない。西行の体は地に付している。文覚は西 行をだきおこす。 「これで、気が済まれたか、文覚殿」 西行はいきたえだえに言う。 「なぜじゃ、西行。なぜ、わざとおれにやられた」 「ふふう、お主に対する義理立てかな。ふふう」 ふと、西行のある歌が文覚の頭を掠めた。『願わくば花のしたにて春しなむ その如月の望月のころ…』 「くそっ、西行、いやな奴だな、お主は。最期まで格好をつけよって、自ら の死に自らの歌を合わせよったか」 「そうだ、しきしま道のものならば、、文覚殿、我々の時代も終わりぞ」 「清盛殿、死してすでに七年か」 文覚、西行、清盛は、同じ北面の武士の同僚であった。 「文覚殿、最後に頼みがござる」 「頼みじゃと、さては貴様、俺にその約束を守らせるために、わざと…」 「義経殿の遺子、義行殿に会うことがあれば、助けてやってくれぬか」 「義行をな、あいわかった」 文覚は顔を朱に染めている。 「ありがたい。俺はよき友を持った」 西行よ、安んじて璋子(たまこ)様の元へ行かれよ」 「おお、文覚殿、その事覚えていたくだされたか」 「しらいでか」 西行は、一瞬思い出している。 ● 「西行殿、よく来てくだされた。この璋子(たまこ)の最期の願を聞いてくだされ」 「璋子様、最期とは何を気弱な事を」 待賢門院璋子(けんれいもんいんたまこ)が病床に横たわっている。 この時代の人々は、この世のものならず美しい姫君を、竹取物語に ちなんで「かぐや姫」と呼んだ。白河法皇にとってのかぐや姫は璋子だった。 そして西行の悲恋の対象である。 「西行殿、自分の事はよくわかります。我が入寂せし後、気がかりな事ございます。その後の事を西行殿におまかせしたいのじゃ」 「お教えくだされ」西行は、やつれぐあいに、感がきわまり声がかすれる。 「璋子様。」 「我皇子たちのことじゃ」 「、、、、」 「影でささえてくだされや。璋子の最期の願じゃ」 璋子は、西行の手をしっかりとつかんでいる。が弱弱しいのが、西行にはわかる。 思わず、頬をつたわるものがあった。 「わかりました。璋子様、我命つくるまで、お守りいたしましょう」 宮廷恋愛の果て、待賢門院璋子のため、西行は、2人の皇子を守ろうとした。 2人の皇子とは、19歳の折りの皇子、後の崇徳法皇と、27歳の折の皇子、後の 御白河法皇である。待賢門院璋子は、鳥羽天皇の中宮であった。この親子兄弟 対立相克劇が、保元平治の乱の遠因となる。 ● 最期に、西行は、目を開け、文覚を見た。 そして、懐から、書状を出す。 「文覚殿、頼朝殿への書状だ。またワシの最期、奈良の重源殿に伝え下され」 西行は目を閉じた。 「く、」 文覚は膝を屈した。 しばらくは動かない。 やがて、面をあげすくと立ち上がった。 「皆、この寺を去るのだ」 「文覚殿、せめて仲間の死体を片付けさせてはくれぬか」 「ならぬ、鬼一らが手の者、こちらへ向かっていよう。すぐさま、ここ弘川寺 を立つのだ」 「それは、無体だ」 「無体だと。俺は今、友達を自らの手で殺し、嘆き悲しんでおる。味方だと て、容赦はせぬ」 「文覚殿、我々を相手にされるというか」 「おお、お主らが、望むならばな」 「文覚殿、お主は頼朝殿のために働いていたのではないのか。それならば、最 後に西行から黄金のありかを聞くべきだったのではないか。先刻の西行の最後 の一言、その書状、何か意味があるのでは…」 文覚は、きりりと眦を聖たちの方に向ける。 「ふふう、そうだな。お主ら、義経殿が遺児のことを聞いてしまったな。や はり、ここで始末をつけねばなるまいのう」 文覚は、残りの聖たちの方に、ゆっくりと八角棒を向けた。 半刻後、鬼一法眼(おにいちほうがん)の率いる山伏の一団、結縁衆が、弘川寺の周りに集まってい た。 「血の匂いがいたします」偵察の一人が言う。 「遅うございましたか」山伏たちは、西行の草庵をあうちこち調べる。 「襲い手たち、すべて死に耐えてこざる」 数人の体や首に、桜の枝が、ふかぶかと突き刺さっている。 桜の枝が朱に染 まり生々しい。 「ふふ。さすがは西行殿。殺し方も風流じゃ」 結縁衆のひとりがつぶやいた。 「せめて西行様がこと、我らの間で語り継ぎましょうぞ」 「おう、そうだ。それが我ら山伏の努めかもしれん」 「それが、供養でございましょう。西行様がこと、義経様がこと」 山伏たちは、草庵の後を片付け始めた。 鬼一はひとりごちた。 「さては、聖たちがしわざ、文覚殿か、重源殿か…」 建久元年(一一九〇)二月一六日、河内国弘川寺にて西行入滅。 ■ 西行の入寂後、すぐさま、東大寺の重源は、ある命令を発した。 再建中の大仏殿の裏山が、切り崩しである。その裏山に隠されていたものに ついては歴史は語っていない。西行と東大寺がどのような約束があったかは 不明である。 西行が、その最期に、文覚に託した手紙も不明である。が、頼朝はその書状 を見て青ざめた。 かくして、西行も歴史の中に、人々の記憶に伝説して生きる事となった。 (続く) 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務 Manga Agency山田企画事務所 ★you tube「マンガ家になる塾ー漫画の描き方 ★「マンガ家になる塾」★ 最終更新日時 2012年4月28日 12時40分21秒
源義経黄金伝説■第58回 [ 源義経黄金伝説2010版(短縮版) ] 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 Manga Agency山田企画事務所 ★you tube「マンガ家になる塾ー漫画の描き方 ★「マンガ家になる塾」★ ■ 1190年(建久元年) 河内国葛城弘川寺 葛城の弘川寺に西行はいる。 背後には葛城山脈が河内から紀州に南北に広がり 河内と奈良古京の道をふさいでいる。 庵の文机に向かい、外の風景を見ていた西行は、いにしえの友を思い起こして いた。平泉を陰都にする企ては、昨年の源頼朝の「奥州成敗」により、ついえて いた。おもむろにつぶやく。 「我が目的も、源頼朝殿の手によって潰えたわ。まあ、よい。源義経殿、またその和子、源善行殿も生きておられれば、あの沙金がきっと役に立つだろう」 西行は、崇徳上皇のため、平泉を陰都にしょうとした。また、奥州を仏教の平 和郷であり、歌道「しきしま道」の表現の場所にしょうとした。それが、鎌倉殿、源頼朝の手で費えたのである。 西行はぼんやりと裏山の方、葛城山を見つめている。季は春。ゆえに桜が満 開である。 「平泉の束稲山の桜も散ったか。俺の生涯という桜ものう……」 桜の花びらが散り、山全体が桃色にかすみのように包まれている。 「よい季節になったものだ」 西行はひとりごちながら、表へ出た。 何かの気配にきずいた西行は、あたりをすかしみる。 「ふふつ、おいでか?」と一人ごちる。 そして、枝ぶりのよい 桜の枝をボきボキと折り、はなむけのように、枝を土に指し始めた。ひとわた り枝を折り、草かげの方に向かって、話しかけた。 「準備は調いましたぞ。そこにおられる方々、出てこられよ。私が、西行だ。何の用かな」 音もなく、十人の聖たちが、草庵の前に立ち並んでいた。 「西行殿、どうぞ、我らに、秀衡殿が黄金のありか、お教えいただきたい」 「が、聖殿、残念だが俺らの道中、悪党どもに襲われ、黄金は、すべて奪い 去られてしもうた」 「ふつ、それは聞けませぬなあ。それに西行殿は、もう一つお宝をお持ちのは ず」 「もう一つの宝とな。それは」西行の顔色が青ざめた。 「そうじゃな、秀衡殿が死の間際に書き残された書状。その中には奥州が隠し 金山の在りかすべて記していよう」 「よく、おわかりだな。が、その在りかの書状のありかを、お前様がたにお 教えする訳にはいかぬよ」 「だが、我らはそういう訳にもいかん」 「私も、今は亡き友、奥州藤原秀衡殿との約束がござる。お身たちに、その 行方を知らす訳にはいかぬでな」 「西行、抜かせ」 聖の一人が急に切りかかって来た。 西行は、風のように避けた。唐突にその聖がどうと地面をはう。その聖の背に は大きな桜の枝が1本、体を、突き抜けている。西行、修練の早業であった。 「まて、西行殿を手にかけることあいならぬ」片腕の男が、前に出て来てい る。 「さすがは、西行殿。いや、昔の北面の武士、佐藤義清殿。お見事でござる」 西行は何かにきづく。 「その声は、はて、聞き覚えがある」 西行は、その聖の顔をのぞきこむ。 「さよう、私のこの左腕も御坊のことを覚えてござる」 「ふ、お前は太郎左か。あのおり、命を落としたと思うたが…」 いささか、西行は驚いた。足利の庄御矢山の事件のおりの、伊賀黒田庄悪 党の男である 「危ういところを、頼朝様の手の者に助けられたのじゃ。さあ、西行殿、ここ まで言えば、我々が何用できたか、わからぬはずはありますまい」 「ふ、いずれにしても、頼朝殿は、東大寺へ黄金を差し出さねばのう。征夷大 将軍の箔が付かぬという訳か。いずれ、大江広元殿が入れ知恵か」 西行はあざ笑うように言い放った。 「西行殿、そのようなことは、我らが知るところではない。はよう、黄金の場 所を」 「次郎左よ、黄金の書状などないわ」 「何を申される。確か、我々が荷駄の後を」 「ふふう、まんまと我らが手に乗ったか。黄金は義経殿とともに、いまはかの 国にな」 「義経殿とともに。では、あの風聞は誠であったか。さらばしかたがない。西 行殿、お命ちょうだいする。これは弟、次郎左への手向けでもある」 「おお、よろしかろう。この西行にとって舞台がよかろう。頃は春。桜の花び ら、よう舞いおるわ。のう、太郎左殿、人の命もはかないものよ。この桜の花 びらのようにな」 急に春風が、葛城の山から吹きおち、荒れる。 つられて桜の花片が、青い背景をうけて桃色に舞踊る。 「ぬかせ」 太郎左は、満身の力を込めて、右手で薙刀を振り下ろしていた。 が、目の前には、西行の姿がない。 「ふふ、いかに俺が七十の齢といえど、あなどるではないぞ。昔より鍛えてお る」 恐るべき跳躍力である。飛び上がって剣先を避けたのだ。 「皆のものかかれ、西行の息の根を止めよ」 弘川寺を、恐ろしい殺戮の桜吹雪が襲った。 桜の花びらには血痕が。舞い降りる。 西行庵の地の上に、揺れ落ちる桜花びらは、徐々に血に染まり、朱色と桃色 がいりまじり妖艶な美しさを見せている。 「まてまて、やはり、お主たちには歯が立たぬのう」 大男が聖たちの後ろから前へ出てくる。西行は、その荒法師の顔を見る。お 互いににやりと笑う。 「やはりのう、黒幕はお主、文覚殿か」 「のう、西行殿。古い馴染みだ、最後の頼みだ。儂に黄金の行方、お教えくだ さらぬか」 西行はそれに答えず、 「文覚殿、お主は頼朝殿のために働いていよう。なぜだ」 「まずはわしが、質問に答えてくれや。さすれば」 「お前は確か後白河法皇の命を受け、頼朝様の決起を促したはず。本来なら ば、後白河法皇様の闇法師のはず、それが何ゆえに」 西行は不思議に思っていた。 文覚は、後白河法皇の命で頼朝の決起を促したのだ。 「俺はなあ、西行。頼朝様に惚れたのだ。それに東国武士の心行きにな。あ の方々は新しき国を作ろうとなっておる。少なくとも京都の貴族共が、民より 搾取する国ではないはずだ。逆にお主に聞く。なぜ西行よ、秀衡殿のことを そんなにまで、お主こそ、後白河法皇様のために、崇徳上皇のためにも、奥州 平泉を第二の京都にするために、働いていたのではなかったのか。それに、ふ ん、しきしま道のためにも、、」 「ワシはなあ、文覚殿。奥州、東北の人々がお主と同じように好きになったの だ。お主も知ってのとおり、平泉王国の方々は元々の日本人だ。京都王朝 の支配の及ばぬところで、生きてきた方々。もし、京都と平泉という言わ ば二つの京都で、この国を支配すれば、もう少し国の人々が豊かに暮らせると 思うたのだよ」 文覚は納得した。 「ふふ、貴様とおれ。いや坊主二人が、同じように惚れた男と国のために戦う のか」 文覚はにやりと笑う。 「それも面白いではないか、文覚殿。武士はのう、おのが信じるもののために 死ぬるのだ」 西行もすがすがしく笑う。 「それでは、最後の試合、参るか」文覚は八角棒を構えた。西行は両手を構え ている。 八角棒は、かし棒のさきを鉄板で包み、表面に鉄びょうが打たれている。 「西行、宋の国の秘術か」 「そうよ、面白い戦いになるかのう」 (続く) 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所作 Manga Agency山田企画事務所 ★you tube「マンガ家になる塾ー漫画の描き方 ★「マンガ家になる塾」★ 最終更新日時 2012年4月28日 12時39分7秒
源義経黄金伝説■第57回 [ 源義経黄金伝説2010版(短縮版) ] 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 Manga Agency山田企画事務所 ★you tube「マンガ家になる塾ー漫画の描き方 ★「マンガ家になる塾」★ ■ 1189年文治5年 平泉王国 平泉王国の焼け跡を馬で見回る二人の姿があった。 源頼朝と大江広元である。 文治五年(一一九六)八月二二日、頼朝の「奥州成敗」で、実質上日本統一がなったといえる。大和朝廷の成立後も奥州は異国であり、異国であり続けた。 二人は、中尊寺のところに来ていた。この寺跡は焼け残っている。見上げる 頼朝は、感動していた。 「おお、広元、この平泉王国の富、さすがというべきか」 「ははっ、聞きしに勝る都城でございます」 西行がいった通りだと頼朝は考えていた。 平泉は仏教王国だった。 なにしろ、源頼朝は、伊豆に流されて以来、毎日毎日読経ばかりだったのであ る。心根に仏教教典が染み付いている。空で経文がいくらでもいえるのだ。 奥州藤原氏に対するやっかみの心が、頼朝に擡げてきた。 (こやつら奥州藤原氏にだけは、負けたくない。私が日本の統一者だからだ。 私が日本一の武者の大将なのだ。それならば、私の町鎌倉にもこのような寺が 必要だ。) 「このような寺を鎌倉に作るのじゃ。鎌倉が、都や平泉に劣ることあれば、わ れらが坂東武者、源氏の恥じぞ。この平泉におる職人共をすべて鎌倉に連れ帰 り、寺を建てるのじゃ」 「心得ました。この平泉にある寺の縁起、すべて書き出し、我が手に提出致し ますよう命じてございます」 頼朝の願いどおり『鎌倉には、平泉の寺院を模倣した寺が建てられた』が、 それは平泉には及ばない。所詮は、平泉の寺院のコピーでしかないのだ。コピ ーは本物をこえることはできない。 やがて、頼朝は、目下気になっていることを聞いた。 「泰衡が弟、忠衡、発見できぬか」 「いまだ発見できませぬ」広元は残念そうに答えた。 「ええい、忠衡がおらねば、黄金の秘密一切わからぬとは」 古代東北の地、中でも気仙地方は、世界でも最大級の豊かな金鉱を有して いた。今出山金山、氷上山の玉山金山、雪沢金山、馬越金山、世田米の蛭子館 金山などである』 頼朝はいらついている。 (この国を攻めたは、実は奥州黄金を手に入れることぞ。この国の王には黄金 が必要なのだ、あの京都を凋落するのは黄金が一番なのだ) 「国衡も見つからぬのか」 「いまだに姿が見えませぬ」 「ええい、国衡もいないとならば、奥州の金を手に入れたことにはならぬ。さ れば何のための奥州征伐ぞ」 怒りの目で、頼朝はあちこちを見回している。その時、何かがキラリと光り 頼朝の目をいた。 「あれは…」 頼朝が、小高い台地にある焼け跡に目を移した。 あきらかに何ヵ月か前の焼け跡である。 二人は高館の跡まで馬を走らす。 「この場所が、義経殿が最期を遂げた場所でございます」 広元が冷静に告げていた。 「義経が死に場所か……よし、少しばかり見て行くとするか」 その頼朝の目には、涙がにじんでいる。頼朝は馬を、その台地に乗り上げ、 ゆっくりと馬から降りた。その場所から崖が北上川へと急に落ち込んでいて、 東稲山も間近に見える。頼朝はその風景を見ながら思った。 「目の前のあの山が東稲山でございます。西行殿が愛でた桜山です」 (義経、なぜ私の言うことを聞かなんだ。俺は武士の世を作ろうとしたの だ。それを後白河法皇などという京都の天狗に操られよって…。我が兄の心 根、わからなんだか。やはり母親の血は争えぬか) 頼朝は母常盤の血を引いていた、やさしい、さびしげな義経の顔を思い浮かべ ていた。 (あのばか者めが…) 太陽の光を受けて、頼朝の眼をいる輝きが焼け跡にあった。 これは…。 頼朝は、その土を触ってみた。何かが土中から姿を現す。 それは、猛火にも拘わらず、溶け掛けた銀作りの猫の像だった。 見覚えがあった。 「大殿様、その像は…」 広元が不審な顔をしている頼朝に尋ねた。頼朝は3年前の、鎌倉での西行法 師の顔と話を思い起こしていた。 「西行め、こんなところに…、やはり」 頼朝は悔しげに呟いている。 「では、その猫の像は、あのおり西行にお渡しなされたものではございます か」 「そうだ」 「やはり、西行は後白河法皇様のために…」 「いや、違うだろう。西行は義経を愛していたのであろう。まるで自分の子供 のようにな…」 頼朝は遠くを思いやるようにぽつり述べた。広元はその答えに首をかしげて いた。 思い出したように源頼朝が告げた。 「平泉中尊寺の寺領を安堵せよ」源頼朝は急に大江広元に命令を下していた。 頼朝は信心深い性格だった。三二歳で伊豆で旗を揚げるまで、行っていたこ とと言えば、源氏の祖先を祭り、お経を唱えることだけだった。 まさに、日々、お経しか許されていなかった。毎日十時間の勤行は、頼朝の 心に清冷な一瞬を与えていた。神、仏が見えたと思う一瞬があるのだった。こ の一瞬、頼朝は思索家と思えるものになっていた。 頼朝は、自らの行っている幕府作りが日本の歴史上、大きな転換点になると は考えてもいる。 板東の新王、ついに平将門以上の存在になった。 源氏の長者が、何世紀にもわたって成敗できなかった奥州も我が手にした。 彼の考えていたのは、武家が住みやすい世の中を作ることのみであった。 第6章 1189年(文治五年) 平泉 ■7 1189年文治5年京都 京都の後白河法皇御殿にも平泉落城の知らせが届く。 「頼朝、ついに平泉へ入りました」 関白,藤原(九条)兼実が後白河法皇に悲しげに報告した。 「そうか、しかたがないのう。平泉を第二の京都にする計画潰えたか。残念じ ゃのう」 「せっかく夢を西行に託しましたが、無駄に終わりました」 「が、兼実、まだ方法はあろう」 後白河は、また、にやりとする。 「と、おっしゃいますと…」 不思議そうに、兼実は問い返す。 (いやはや、この殿には…、裏には裏が、天下一の策謀家よのう。平泉を第二 の京都にできなかったは残念だが、次なる方策は) 「鎌倉を第二の京都にすることじゃ。源氏の血が絶えさえすれば、京に願いを することは必定。まずは頼朝を籠絡させよう。さらに頼朝が言うことを聞かぬ 場合は…」 後白河の目は野望に潤んでいる。 「いかがなさいます」 「義経が子、生きていると聞くが、誠か」 「は、どうやら、西行が手筈整えましたような」 「その子を使い、頼朝を握り潰せ。また、北条の方が操りやすいやもしれぬ。 兼実、よいか鬼一法眼に、朕が意を伝えるのじゃ」 笑いながら、後白河は部屋に引き込んだ。兼実は後に残って呟く。 「恐ろしいお方じゃ」 兼実は背筋がぞくっとしている。 (続く) ●山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所 ★you tube「マンガ家になる塾ー漫画の描き方 ★「マンガ家になる塾」★ 最終更新日時 2012年4月28日 12時36分39秒
源義経黄金伝説■第56回 [ 源義経黄金伝説2010版(短縮版) ] 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 Manga Agency山田企画事務所 ★漫画通信教育「マンガ家になる塾」★ ★you tube★ ■ 1189年文治5年7月 鎌倉 「さあて、源氏の古式にならい、旗をあげる時じゃ、広元、準備おこたりない か」源頼朝が言った。 大江広元は大江国房の孫である、大江国房が参謀として計画、奥州平泉に攻めいるは鉱山貴族である、源氏が100年程前から「前九年の役」からの野望であった。 「源氏の血を奥州に広めねばならん」 「大殿(頼朝)様、日本のすべての国に動員をかけませ。頼朝様の見方かどう か判断できましょうぞ」 「ということは、源平の争いのおり、我が源氏の軍に刃向かいものどもにも、 動員をかけるわけか」 「さようでございます。今天下は大殿さまに傾きつつあります。誰が見方か、 敵か、この動員に参加するかどうかで見事にわかりましょうぞ。これにより、 大殿様の天下草創が周知徹底できましょうぞ。すなわち、源氏が武家の王であ ることが見事証明できましょう」 「わかった。みなまでいうな。大江広元、その力をもって平泉を征服しょうぞ」 ■ 武家としての源氏、平家の関東制覇と奥州攻略の歴史は長い。奥州の金鉱石を狙い血みどろの争いが続いた。 東国では、名高い平将門(まさかど)の乱の後、1028年(長元1年)平の忠常(ただつね)が反乱を起こした。千葉氏の祖である。 追討使は源頼信。多田の満仲の子供である。多田(現兵庫県川西市)の源満仲は、源氏、武家の始まりとされ、多田銀山の銀を持って貴族に取り入り、京都王朝での立場をきづく。 源頼義(よりよし)は奥州に攻め入り、前九年の役(1051年から1063年)、後三年の役 (1083年-1087年)を通じて関東平家を郎党とする事に成功した。 源頼義(よりよし)は、板東の精兵を、奥州の乱の鎮圧に動員した。その契機 は平直方(なおかた)の娘婿となったからである。 平忠常(ただつね)の乱のお り、平直方(なおかた)は追討使となり、源頼義(よりよし)の騎射の見事さ に感心し、娘を嫁がした。 平直方(なおかた)は鎌倉に別荘を持っており、源頼義は義理父からこの屋敷 を譲り受ける。 鎌倉は関東平氏のの勢力範囲であったが、源氏は関東地方に人の支配権を得た。源頼義の子供であり平直方(なおかた)の外孫である義家(よしいえ)は、前9年の役、後3年の役でその武名を天下にとどろかせた。 源義家よりの4代目が、源頼朝、源義経の兄弟である。 後三年の役は1087年に 終わる。 その100年後、頼朝の私戦、奥州大乱は、1189年7月に鎌倉の出発を持って始まる。 源頼朝は、新しい日本歴史を作ろうとしていた。 日本の統一である。 ■6 1189年(文治5年)9月 平泉王国 奥州王である藤原泰衡は悲しくなった。 なぜ私が攻められるのだ。 (約束を守ったではないか。ちゃんと頼朝が言うとおり、義経を殺し、その首 を差し出したでしないか。義経を差し出せば、奥州は安堵するという約束をし たではないか。くそっ、西の人間など、やはり信頼できぬ。この戦どうしたも のか。助かる手段はないものか。そうだ、ともかくも頼朝に平謝りに謝ろ う。そうしなければ、親父殿、祖父殿に申し訳が立たぬ。この身、どうしても 奥州仏教王国守らぬばのう。 そうだ、まだ西行がおる。あやつを捕まえ、頼朝に申し開きもうそう。そう だ、それがよい。 奥州の平泉王国第4代国王、藤原泰衡は思った。 一瞬後、その命が吹き引き飛んでいた。 郎党、河田次郎の裏切りであっ た。 奥州黄金郷は、ここに滅んだ。 1189年(文治5年)9月3日の事である。 (続く)●山田企画事務所 Manga Agency山田企画事務所 ★漫画通信教育「マンガ家になる塾」★ ★you tube★ 「源義経黄金伝説」 飛鳥京香/SF小説工房 最終更新日時 2012年4月26日 15時42分54秒
源義経黄金伝説■第55回 [ 源義経黄金伝説2010版(短縮版) ] 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 Manga Agency山田企画事務所 ★漫画通信教育「マンガ家になる塾」★ ★you tube★ ■ 1189年(文治五年) 十三湊(とさみなと) 津軽平野を横切る岩木川の河口に十三湖と呼ばれる海水湖がある。現在は狭 い水戸口で日本海と結ばれているが、昔は広大な潟湖であった。 義経と吉次が目指していた十三湊(とさみなと)がここである。 藤原秀衡、その弟秀栄の勢力圏である。 この十三湊を中心に蝦夷地、中国大陸との貿易を行い、繁栄していた。この湊から貿易された蝦夷や、黒龍江など、異民族の産品は、京都に送られ、公家たちを 喜ばせていた。 夷船、京船など各国の船が商売を求めてこの港をおとづれている。その船ど まりに、吉次の船は停泊している。船を外海用の船にさし変えて出かける。食 糧、水を積み込むためである。 「吉次よ…」 と義経は吉次に呼びかけていた。牛若の頃を思い出している。 「そうだ、あの源空はどうしていよう。今の私の姿を見たらどういうだろう」 源空はすでに法然として宗教活動にとりくんでいる。後白河法皇も帰依してい るのだ。 (無駄な殺生はおやめなされと今でもいうかな。だがすでに私の手はもう汚れ ている、平家の若武者の屍をいくたり気づいてきたことか。日本全国に死体の 山を気づいていた。兄じゃのために、その私が兄者のために、この日本を追わ れるのだ) 今はもう若き頃、思い出だ。 「京都の鞍馬山、よう冷えたな」 「はっ、殿。京と鞍馬山よりも奥州平泉の方が寒いのではありませぬか」 吉次は、義経の質問の意味をうまく理解できずに答えていた。 「いや、吉次。人の心じゃ。京の人の心は冷たすぎる。あの都市の地形による ものなのか」 「殿、これからゆかれる蝦夷はもっと寒うございますぞ。雪も深うござい ます」 「そこに住む人の心が暖かければよいが…」少しばかり義経は考えていた。 「ところで吉次。静は健やかだろううか」 「心配なされますな。後ろ盾には西行様がついておられます」 「が、西行様もお年じゃ」 「ようございますか、義経様。義経様が今日あるは、西行様の深慮遠謀のお 陰。すべて考えられる手は打っておられます」 義経は、目の前に広がる寒々とした日本海の海面を見つめ、寂しそうにして 言った。 「そうであろうな、無論。が、吉次殿、お前はなんで私を逃がす手助けをし た。なぜ心変わりした」 「吉次は商人。利で動きますぞ」吉次は僅かに笑ったようだった。 「利か。私と一緒にいて、お主に何の利益がでるか」 「ふふう、それはこれからの義経様の動き次第。よろしいか、義経様。十三湊 の先は宋国そして、あの金でございます。また新しい国が誕生するとの噂も聞 いております。その時に義経様に助けていただきましょう。藤原秀衡様の祖 父、清衡様は、昔から黒龍河を逆上っておられます。その河の沿岸には、商品 が数多くございましょう」 「それに吉次、俺は蝦夷の地図を持っておるからのう」 「そう、それでございます。それは言わば宝の地図。いろんな商材がありまし ょう」 吉次は遠くを思いやるような眼をした。 「もう一度、夢を追ってみるか」吉次は思った。 (奥州藤原秀衡様のお陰で一財をなした。が、その秀衡様も今はない。これ からの日の本は、源頼朝殿の世の中になる。が、そのうち外国で一儲けも二儲 けもしてみよう。商人吉次の心には、もう日本の事は映っていないかもしれな い。 出雲、備前、播州、大坂渡辺、京都平泉第、多賀城、平泉、、。 あちこちを移り住み、商売をした。平の清盛と共に奥州の金をつかい、福原で 宋の商人と貿易もした。日本全国に吉次事の手配の者が散らばり商売を行って いる、主人であるこの儂がいなくても、商人の砦としての吉次王国は揺るぎも しまい。儂の後輩が跡を継いでくれよう。日本全国に儂のような商人が増え、 日本の商売が繁栄し、日本が繁栄するだ)吉次はそれを、望んだ。 (日本が平和であればよい、すでに頼朝殿により、日本は統一されるだろう) もの思う吉次、義経二人の前に、唐船が、突然現れて、義経らの船腹に急激 に力任せにあたっていた。 衝撃が走る。 「む、この唐船は、、何用」 「何奴?」 船から竿がのび義経の船へ。その船へ飛び乗ってきた僧衣の聖たちが、突 然、義経を圧し囲んでいた。 「義経様、お命ちょうだいいたす」聖たちが叫んだ。 「待て、お主ら、誰の手の者じゃ」 「我らか。我らは文覚様が手の者じゃ」 「何!文覚」 「今はもう頼朝様が世の中。義経様のこの世での役割、もう終わられたぞ。消 えていただきたい」 「まてまて、お主ら、文覚殿にお伝えあれ。この義経は兄上と張り合う、その ような望などない。もう私、義経は日の本にはおらぬ。遠い国へ行くのじゃ。 日の本のことなど預かりしらぬこと」 「それが俺らは合点が行かぬ。いつ帰って来られるかわからぬ。それは頼朝様 が世を危うくする」 聖たちは、八角棒を構え、殺意をあらわにしている。義経はしかたなく刀を 引き抜いている。坂上田村麿呂将軍の刀である。飛びかかる男を二人切り放った。船上で、殺戮が始まろうとした。 「まて、皆、やめよ」戦船の長らしい男が、船からわたって来て、義経に対峙 していた。 「義経様と存じ上げます、我らも無駄な殺生はしたくはございません。文覚様 からの伝言をお聞きいただきたい」 「何、文覚殿の…、申してみよ」 「もし、坂上田村麿呂将軍の太刀をお返しくださるならば、我々手を引くよう に言われております。我らが目的はその太刀でございます」 「なに、この大刀を…」 「さようでございます。その太刀は征夷大将軍の太刀、大殿様にとっては征夷 大将軍という位、大切なものでございます。また皇家にあっては、その太刀が 外国に渡ること、誠に困難をを生ぜしめます、なぜなら皇家にとって、その刀 は蝦夷征服をして統一を果たした日本国を意味する大事な刀でございます」 吉次が言った。 「義経殿、よいではないか。お返しなされい。そんな太刀など、どうでも良い ではございませぬか」 「何を言う、吉次。お前も知っておろう。この太刀、我が十六歳のおり、鞍馬 から盗みだし、ずっと暮らしを共にしてきた刀じゃ。そう、やすやすと…」 船長(ふなおさ)が、続けて言う。 「では、こういたしましょうか。約束をもうひとつ。もし、その太刀をお返し くださるならば、決して義経様が和子、義行(よしゆき)様を襲いはしないと お約束いたしましょう」 「我が和子をか。くそ、文覚め」 「が、殿、このあたりが取引の決め所かと」 吉次が告げる。 「この商売人めが。むっ」 しばらく、義経は考える。 「よい、わかった。この太刀、お返しいたそう。が、必ず、我が和子、義行が こと、安全をはかってくれ」 義経の太刀は、頭らしい男の手に渡った。 やがて船と船とを繋いでた桁が外されている。 「では、義経殿。よき航海を、いや、失礼いたしました。これから先の事。我々 の預かり知らぬ方。我々は義経殿には合ってはおりませぬ。ただ、海の中から、伝来の行方知らずの太刀を、拾いあげただけの事」 両船は、少しずつ、離れて行く。 「が、義行のこと、必ず約束を…」 義経は船にむかい叫んだ。 「わかり申した。文覚様にそう告げます」 「大丈夫でしょうか」 吉次が疑問を投げる。 「まあ、西行殿、鬼一殿、生きておわす間はな、大丈夫であろうよ」 義経は、遠くをみながら言った。 (続く)●山田企画事務所 Manga Agency山田企画事務所 ★漫画通信教育「マンガ家になる塾」★ ★you tube★ 「源義経黄金伝説」 飛鳥京香/SF小説工房 最終更新日時 2012年4月26日 15時44分3秒
源義経黄金伝説■第54回 [ 源義経黄金伝説2010版(短縮版) ] 作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 Manga Agency山田企画事務所 ★漫画通信教育「マンガ家になる塾」★ ★you tube★ ■.文治五年(1189)鎌倉 文治五年(一一八九)六月一三日。 「九郎義経殿の首、届きましてございます」大江広元が、源頼朝に告げていた。 「何、義経の…」 「いかがいたしましょう。御館様直々に」 「いや、止めておこう。顔を見知りおく軍監、梶原景時と、和田義盛に行かせるのだ」 これが義経が首か。 塩漬けにされた首が、漆箱から出された。梶原景時は思った。 何とこやつは不思議な奴よ。数々の新しい戦い方を考えつきながら、言う こと、話すこと、考えることは、まるで童子のような奴であった。 義経の首は、塩漬けにされていた。 奇麗に彫金された漆の箱から取り出される。 されど、泰衡も可哀想な奴よ。自らの首を絞めよったわ。頼朝様が自分の 弟をこのような目に合わした奥州藤原氏を許す訳がない。なんと政治的見解の ない男よのう。所詮は奥州の田舎者。祖父、父よりはずーっと人間が下がりお る。梶原は思った。 頼朝様の怖さを知らぬ。あの方は自分の思いどおりに動かぬ者、あるいは頼 朝様の思いを読み取れぬ者を非常に嫌われるのだ。が、それに義経に対する兄 弟愛を泰衡は気づかなんだか。 義経を捕縛して、頼朝殿に差し出せば何とかなったかもしれんな。いや 、まてよ、やはりだめか。 頼朝様が欲しいのは、奥州は金の打出の小槌よ。頼朝様が言えば言うだ けの金が送り込まれて来るわ。 これからの戦略を梶原は思った。 源頼朝は忙しげにあちこち歩き回っていた。 頼朝は自分で命令しておきながら、義経の首は見たくなかった。 「どうであった」 不安げに頼朝は、大江広元に尋ねた。 「梶原曰く、確かに義経様の首であったということです」 「むう、泰衡め。我が弟を殺しおったか。早速、奥州を打つ。我が弟が敵だゃ」 頼朝は、急に怒り出した。 その怒りの激しさに、広元は驚いている。 なぜだ。ご自分が命令なさったくせに。この殿は、京の女子のようなところ があるな。 「院宣はいかがいたします」 「そのようなもの、必要あるまい。この頼朝の弟を殺したは許しがたい。奥州藤原 氏め、余が総指揮をとって攻め滅ぼそうぞ」 頼朝は甲高い声で、上ずって、まるで常軌を逸してに命令してい た。 「御意。いよいよ日本は、頼朝様のもとに」 「大江広元よ。日本よりも、俺は義経を殺した藤原泰衡めが憎いのじゃ。父、藤原秀衡があれほどかわいがっておった義経を、自分が王国支配したいがゆえに、 殺してしまいおった藤原泰衡めがのう」 「はあ…」 広元は急に気が抜ける気がする。 一体、何を考えておられるのじゃ。が、まあよい。今は奥州藤原氏を滅ぼせ ばよいのだ。 大江広元と、源頼朝は、しばし無言でみつめあう。 頼朝は、急に昔にした義経との会話を思い起こした。 「兄上、父上は兄上に似ておられますか」 頼朝は、急に義経にこう聞かれたのだ。 「なんだ、こいつは…」 義経は真剣な眼差しで頼朝をじっと見つめている。 「こやつは子供か」 と頼朝は思った。 義経は、父のことを覚えていないのだ。 一二歳の時まで父親と一緒に戦い、無念にも負けた頼朝とは違う。 父親の愛情を受けたこともなく、父の記憶もまったくないのだろう。義経の心のどこかに、父を思う気持ちが常にあるのだ。 と、人間観察にかけては優れている頼朝は思った。 このような純粋な心を持っている奴は、かえって危ない。思い込んだらそ れこそ命懸けだと、頼朝は義経の心の純粋さを羨み、そして義経を憎んだ。 一方、大江広元は、鎌倉へ来られよという書状を受け取った日のことを思い起こしていた。 貧乏貴族である大江広元は、昇殿を許されていない。つまり、帝にお会いすることなど、かなわぬのだ。 しかしながら、幼少のころから蓄積された学問が、広元の自意識を肥大させ ていた。 私は大江の家のものだ。自分ほどの者が、なぜ重用されぬのか。藤原の阿呆 どもが、どんどん出世し、なぜこの俺が、このような貧乏ぐらしをしなければならぬのか。 鬱屈した意識が、一層勉学に打ち込ませていた。 そんなある日、源頼朝の元にいる知人から、ぜひとも鎌倉へという手紙を受 け取のだ。 新たな天地、 板東の鎌倉!。 新世界。 広元は迷った。 鎌倉などは町ではない。 この当時、日本で都市といえたのは京都、そしてかろうじて南都奈良。そして奥州藤原の平泉。それ以外は泥臭い田舎である。教養人など、一人もいないのだ。 広元は文化の香りが好きだった。知的な会話を欲していたのだ。その知識人のいない鎌倉へなど。 しかし、源義経の存在が、広元の意を決しさせた。 それは暑い日だった。 その日、木曽将軍を滅ぼした義経の軍勢は、都大路を行軍していた。 京の民は、「ほう、あれが義経か」と物見高く、都大路に並び、一目有名な義経を見ようとざわめいていた。義経は武巧一の武者であり、そしていわばアイドル スターだったのだ。 大江広元は興味にかられ、庶民の間に入って、義経の軍勢を眺めていた。 「うっつ」 広元は、衝撃を受け、急に道ばたに倒れていた。 何かが広元の額に当たり、一瞬気を失い、倒れたのだ。 やがて、気がつくと、額が割れじっとりと血がにじんでいる。 「くそっ、一体」 「だいじょうぶかい、お公家さま」 見知らぬ庶民が、不安げに広元に声をかけている。 「一体、私はどうしたのだ」 思わず、ひとりごちていた。 「お前さん、気付かなかったのかい。義経さまの馬が撥ねた石が、お前さ んの頭に当たったのさ」 額に手をあてる、じっとりと血がにじんでいる。 「何…、今、源義経殿は…」 怒りの勢いに、その庶民の男はのけぞり指さす。 「ほら、あそこさ」 大江広元は勢いこんで人込みをかき分け、源義経の顔を覚えておこうとした。 「おのれ、源義経、覚えておけ」 相手は凱旋将軍。何も覚えてはいまい。俺は単なる路傍の石。が、今に見て おれ。 何かが広元の中ではじけていた。 俺は、俺の知識で新しい国の形を作ってやる。源家が武威で国を治めるならば、わが家、大江の家は知識で新しい政治の形を。 急にそんな思いが、広元の心を一杯にした。思いもかけぬ考えだった。そんな ことを、今の今まで考えてもみなかった。 この日、しかし、民衆の羨望の目を浴びながら、にこやかに、すこやかに、 何の苦労も知らぬげに、都大路をゆったりと後白河法皇の元へ向かう源義経に、 大江広元は、どす黒い怒りを覚えた。 続く)●山田企画事務所 Manga Agency山田企画事務所 ★漫画通信教育「マンガ家になる塾」★ ★you tube★ 最終更新日時 2012年4月26日 15時44分49秒 |一覧| |