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カテゴリ:初音ミク龍騎
初音ライダー龍騎 第34話 「Berserk」 「ボカロ荘」のリビングではレンが土下座していた。その正面にはMEIKOとKAITOが座っている。 MEIKO「レン。皆で決めたでしょう?戦いを止めるって。」 レン「・・・ああ・・・」 MEIKO「だったら何で、ミクに攻撃するの?」 レン「・・・」 MEIKO「話聞いてたら、ミクを殺そうとしてたとしか思えないんだけど?」 MEIKOは黙りこくる末弟を詰問する。 ミク「レン、何があったか、本当のこと言って。」 レン「・・・リンはオーディンに捕まってる。リンを助けるにはミク姉を殺せって・・・」 レンはオーディンがリンを人質にして自分を脅迫してきたことを伝える。 MEIKO「・・・まったく。誰が何言ったか知らないけど、当ての無い言葉に乗せられて。」 KAITO「大体、何でオーディンが生きてるんだ。ヤツはこの手でキッチリ倒したはずだ。」 レン「…オレだって分かんねぇよ。でも、オーディンは生きてた。これは間違いねぇんだ。」 KAITOとMEIKOはオーディンが生きてるワケがないと、レンの言い分を否定する。彼らは確かにオーディンを倒したはずだ。そんなとき、玄関から聞き覚えのある声がしてきた。 がくぽ「む・・・」 がくぽが目を覚ましたのは中古の1人暮らし用下宿の中だった。 テト「お、起きたんだ?」 起き上がったがくぽに声をかけたのはテトだった。 がくぽ「・・・何故我を助けた?」 がくぽはストレートにテトが自分を助けた理由を聞く。 テト「君に協力してほしいから。決まってるじゃん。」 テトは助ける見返りにがくぽに協力を要請する。お互いに仮面ライダー、本来なら助け合うことはない。だが、がくぽはテトに生命を救われた。それは紛れもない事実だ。そう考えると、テトの申し出を断れなかった。 がくぽ「・・・手を組むのは構わぬが、卑劣な事は許さぬぞ。」 テト「分かってる。君にもちゃんとお誂えのステージを用意するから。」 がくぽは条件をつけて契約を通した。テトはがくぽの意見を尊重し、がくぽの条件を飲んで契約を成立させた。 テト「んじゃ、まずは準備が必要だよね。ちょっと待ってて。」 テトはそう言って、ポケットからガゼルのレリーフが入った茶色のカードデッキを取り出し、両手を突き出して交差させ鏡にかざす。 テト「変身!」 テトは両腕を交差したまま手首を回転させ、その後両腕を開いてカードデッキをVバックルにセットして仮面ライダーインペラーへと変身し、ミラーワールドへ入っていく。 リン「たっだいまー!」 「ボカロ荘」の玄関では鏡音リンが靴を脱いで元気に挨拶した。入院前と全然変わらない元気さに、ミクたち4人は驚きを隠せない。 ミク「リン…」 レン「リン、ホントに何ともないのか・・・?」 リン「うん。ピンピンしてるよ。」 レンの問いに、リンは元気に動いて応える。 レン「…よかった~!」 リン「ちょ、レン!」 レンは歓喜と驚愕のあまり、思わず双子の片割に抱きついた。 リン「離れろこの変態!スケベ!」 リンはレンを強引に引き離す。その後ろでは、MEIKOとKAITOが今だ怪訝そうにしている。 MEIKO「…あれだけの目にあって今こうしてピンピンしてるのが信じ難いけど、とにかく無事でよかったわ。」 KAITO「無事ならそれに越したことはないが、念のため精密検査でも受けてみるか?」 リン「いいって、そんなの。」 リンはKAITOの提案を軽く拒否する。KAITOはそんなリンをよそに、レンに声をかける。 KAITO「…レン、これはお前が使え。」 KAITOはライアのカードデッキから「SURVIVE -疾風-」のカードを抜き出し、レンに渡す。 レン「サバイブ?・・・いいのかよ?」 レンはKAITOが何故自分に「SURVIVE」のカードを譲るのか分からない。故に理由を問う。 KAITO「今のお前なら、このカードを使うべき時が分かるだろ。」 レン「いや、何でオレに?」 KAITO「俺の後は、お前が家族を守るんだからな。」 KAITOはレンに「SURVIVE」の使いどころを見極められると思っている。「SURVIVE」は強力なカードだ。一歩間違えばとんでもないことを起こすかもしれない。だが、戦う理由を明確にしているレンならそんなことにはならないだろう。KAITOはそう確信し、自分に代わって家族を守る役目をレンに託す。そういう思いで、「SURVIVE」をレンに譲った。 ミク「レン…がんばって。」 レン「ん?あ、ああ…」 ミクの励ましに、レンは照れ臭そうに応じる。その直後、ミクは「ボカロ荘」を出ようとする。 MEIKO「ミク、どこ行くの?」 ミク「黒い私に会ってくる。あの娘からもっと聞きたいことがあるから。」 ミクはそう言って「ボカロ荘」を後にした。 ミク「…とは言ったものの、どうやって探せばいいかな…」 ミクは黒いミクを探すが、何の手がかりもないことを忘れていた。前回のように適当に歩いていれば出くわす、ということはあり得ない。 そんな道中、ミクはミラーモンスターの気配を感じた。ミクは早速カードデッキを取り出そうとするが、その矢先に鏡面から仮面ライダーインペラーが現れた。 ミク「!?」 テト「おらッ!」 ミク「うっ!?」 ミクは左腕にインペラーの手刀を受け、カードデッキを落としてしまう。そしてその直後、ミクはギガゼールに背中から両腕を封じられ、呼吸を抑えられ気絶させられた。 テト「・・・よし、まずは上々。あとは・・・」 インペラーは連れのモンスター達を帰し、気絶したミクを担いで去っていく。 KAITO「…ミクのヤツ、帰ってこないな。」 KAITOはミクが長時間帰ってこないのを勘繰る。 MEIKO「…まさか、変なことに巻き込まれたんじゃ…」 MEIKOはミクが文字通り変なことに巻き込まれたのでは、と考える。 KAITO「あり得るな。やっぱ1人で行かせるべきじゃなかったか…」 リン「探しに行こう!」 レン「だな!」 リンとレンは勇み足でミクの捜索を提案する。 MEIKO「じゃあ、私とKAITOはこっちの世界を探してみるから、リンとレンはミラーワールド越しに探してみて。」 リン「ん、分かった!」 MEIKOは二手に分かれてミクの捜索を提案する。リンとレンはVバックルを呼び出す。 レン「変身!」 リン「変身!」 2人はポーズを取った後、レンはナイトに、リンはファムに変身し、ミラーワールドへ入っていく。 ミラーワールドに入ったナイトとファムは早速2匹のモンスターを見つけた。2人はクラゲ型のモンスター・プロパジェルとセミ型モンスター・ソノラブーマに挑みかかる。 まずはナイトがダークバイザーを振るってプロパジェルを斬りつける。しかし、プロパジェルのジェル状の体には斬撃が通らない。次はファムがブランバイザーを突き刺すが、こちらもやはりジェルに通らない。そうこうして攻めあぐねるナイトとファムの間にソノラブーマが割って入ってきた。ソノラブーマは口から超音波を発し、ナイトとファムを苦しめる。 レン「うあッ!?」 リン「うっ!?」 ソノラブーマは超音波で怯んだファムに狙いを定め、ファムに襲いかかろうとする。しかし、即座に態勢を立て直したナイトがそれを阻み、ダークバイザーでソノラブーマの鍵爪を受け止める。 レン「一気にカタ付けてやる!」 ナイトはカードデッキから「FINAL VENT」のカードを取り出し、ダークバイザーにセットする。 「FINAL VENT」 ナイトは上空からダークウィングの作り出す斬撃の竜巻を纏い、一気に急降下していく。超音波の巻き添えを食らっていたプロパジェルはナイトの斬撃のドリルをよけられず、直撃を受けて消滅した。ソノラブーマもまた、ナイトの必殺技の巻き添えとなり、消滅した。 レン「へへっ!どんなモ・・・ン?」 リン「うぅ・・・」 ナイトが勝ちを誇る最中、ファムは右手で頭を抱えていた。 レン「リン・・・どした?」 ナイトはファムの近くに行き、彼女を気遣う。ファムは膝を着き、両腕で頭を抱えた。ファム=リンの頭の中にしきりに激痛が走る。激痛は次第にリンの頭を蝕んでいく。 リン「あ・・・・ああ・・・」 ファム=リンの頭の中でくすぶる激痛はいつしか暗示のように「戦え」と語ってくる。そして暗示はリンの神経に到達し、闘争本能を一気に高ぶらせた。 リン「・・・嫌・・・嫌ああああああ!!!!」 リンの脳内で極限まで高ぶった闘争本能は瞬く間に彼女の全身を支配していく。そしてリン=ファムはひたすら戦いを求める狂戦士となった。 レン「おいリン、ウッ!?」 ナイトはファムの肩を掴むが、ファムはナイトの鳩尾を殴り飛ばした。ナイトは鉄拳をくらって飛ばされ、飛ばされた先の機材に体をぶつけた。 レン「・・・リン?」 リン「ガアァァァアァァァァァアァァア!!!」 ファムは暴走する闘争本能に捕らわれ、猛獣のような咆吼を上げる。そして起き上がるナイトに斬りかかる。 オーディン「始まったな。赤い靴が…」 オーディンは遠方よりファムの暴走を見ていた。 KAITO「めーちゃん。待ってくれよ。」 MEIKO「あんたが遅いの。」 KAITOは早足で歩くMEIKOに付いて行く。 KAITO「いや、そうじゃ無くてな・・・」 MEIKO「・・・何?」 KAITO「前から思ってたんだが、何でそう、よく脇腹をさすってんだ?何か傷でもあるのか?」 MEIKO「!」 MEIKOは驚いた。自分では隠してしていたつもりだったのだが、KAITOは見抜いていた。 MEIKO「・・・あんた、気づいてたの?」 KAITO「長い付き合いだからな。妙なとこはすぐ分かる。それよりその傷、一体何なんだ?」 KAITOはMEIKOに問い詰める。だがMEIKOは隠し通そうとする。 MEIKO「・・・ただの傷よ。戦闘でできた、ね。」 KAITO「俺はどうもそう思えないんだ。めーちゃん、何なんだ、その傷。教えてくれよ。何もできなくても・・・いや、できないなら尚更知って調べないとダメだろ。」 KAITOは親身な態度でMEIKOに問う。 MEIKO「・・・何であんたはそう付き合い良過ぎるのよ。」 KAITO「心配なんだよ。めーちゃんといいミクといいレンといい、何で皆そう1人で悩み抜くんだ?家族なんだから、もっと助け合えばいいだろ!?」 KAITOは人一倍家族の事を考えていた。その姿はMEIKOのよく知る、普段こそヘタレだが妙なところで頼りになる幼馴染の姿が一際成長している事が分かった。MEIKOは感服し、事情を話そうとする。 CONTINUE THE NEXT TUNE
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最終更新日
2019年06月07日 08時46分51秒
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