「コミュニケーション力」斎藤 孝
家族はコミュニケーションする集団だ。コミュニケーションするから家族なのである。「エネルギーは、出せば出すほど湧いてくる」(私はこの一文にすごい納得)緊張して固くなると、視野が狭くなる。すると全員が何を感じ、どうしようとしてるのか五感で感じ取りにくい。<積極的受動性>の構えが、場の雰囲気を感知する基本の構えということ。まず息をゆったり吸って吐く。気を肚(はら)に落ち着け、周りをしっかりと見渡す。目を配り、気を配るのである。誰が退屈しつつあるのか、仲間はずれの感情を持ってないか一人で舞い上がって喋りすぎてるのは誰か、場に対して冷えているのは誰か、など一人ひとりが場に対してどのように関わっているのかを見極める。「沈黙は言葉なくしても存在し得る。しかし、沈黙なくして言葉は存在し得ない。もしも言葉に沈黙の背景がなければ、言葉は深さを失ってしまうであろう」コミュニケーション力は、沈黙の感知力に支えられている。コミュニケーションの基本かつ奥義は「沿いつつずらす」ことである。