プリオン登場!!
みなさん、こんにちは。現在の流行中のインフルエンザA型(H3N2)には、昔からあるアマンタジンが耐性ウイルスが多いので使用中止という勧告が米国でありました。日本でも同じ報告が先日ありました。予防接種は効果なし、アマンタジンもダメ。いよいよタミフル一色となりそうです。(じゃタミフルはどうなのでしょうか?その発表がないのは何故でしょうか?)これは考えてみれば当たり前。昔から使われている薬のほうが耐性を獲得しやすいのです。ウイルスの進化は早いですから。タミフルも同じように年月が経てば、アマンタジンより多くの耐性ウイルスが増加するでしょう。1997年、スタンリー・プルシナー博士の名が世界に轟きました。ノーベル生理学・医学賞の単独受賞。(通常、一つの研究分野への授与に、大きな貢献を行った3人の研究者までが共同で名を連なれることができます。)それは、伝達性スポンジ脳症の感染体を未知の「プリオン」というものと特定した業績です。プリオン(prion)。これはプルシナーさんが名づけた病原体の名前。Proteinaceous infectious particle(タンパク質性の感染粒子)の略です。ところで、スポンジ脳症病原体は、次のような性質を持っています。1. ゲノムサイズは既知のウイルスよりずっと小さい2. 放射線、熱、殺菌剤などに強い抵抗性を示す3. 核酸分解酵素(遺伝子を分解)の処理でも病原体は死なない。4. 感染後、発熱など免疫反応がまったくない。これらの条件を満たす病原体としてプルシナーさんが新たに提唱したのが「プリオン」。病原体は何とタンパク質というのです。これは今までの常識では考えられないものでした。寄生虫。結核や大腸菌などの細菌。インフルエンザやSARSといったウイルス。これらはヒトに感染しますが、いずれもちゃんと遺伝子情報を持っています。ところが、タンパク質というのは、遺伝子を翻訳してできたもの。設計図が遺伝子とすると、家がタンパク質。設計図があると、大工さんは、どんどん家は建てることができますよね。寄生虫や細菌も人間の体内に寄生し、私たちの栄養を横取りして自分の設計図を使い、成長・増殖していきます。ウイルスは、ヒトの細胞に侵入し、自分の設計図にのっとって、ヒトの大工をこき使います。そうやって、自分(ウイルス)という家をヒトに作り出させます。しかし、プリオンはタンパク質。>設計図などありません。こんなものが、本当に感染するのでしょうか? また感染したとしても設計図もないのに、どうやって増殖するのでしょうか?