マンガ原作者への道
「マンガ原作者への道」(林律雄・著)表現のアプローチ方法を広げようと参考になりそうな本をいろいろと読んでいる。この本は10年ほど前に買って、いつか読もう、いつか読もう、と積ん読状態にあった本だ。今回読んで実に役に立った。同類の本を何冊も読むとわかってくるのが、作家の力量の違いだ。例えば、この本の作家、林律雄氏は回想シーンまたは夢のシーンの書き方を具体的に教えている。が、ある著作者は、「回想シーンは、絶対に書いてはならない」と記している。理由は、回想シーンは漫画家の演出範囲なので、原作者が書くべきではない、ということらしい。が、林氏は漫画家がシーンを描くときに迷わないために、キチンと回想シーンと記すべきだと書いている。「~の書き方」類の本は大きく二つに分かれている気がする。基準は前述した作家の力量の違い。力量のある作家は一言で言って「大らか」。逆の作家は「せこい」である。「大らか」な作家はルールを具体的に語りはするけれども、結果、「自由である」ことを強調する。対して「せこい」作家は、些末なルールに拘り、「不自由さ」を強調する。ヒット作を生み出し、長年現役でいる作家とそうでない作家の違いだろうか。で、これは、自分自身の力量とも関係してくる。例えば、芝居を始めた最初の頃に「大らか」な演技論を読んでも理解できない場合がある。が、年数を重ねて経験を経ていく内に段々と理解できてくる。まあ、それが成長すると言うことなのだろう。演劇を志している人は試しにピーター・ブルックの「何もない空間」を読んでみるがいい。そして、10年後、読んでみるがいい。どれほど理解度が深まったかが、あなたの成長の度合いである。話が逸れた。で、この「マンガ原作者への道」に書き込みをしてしまったので、保存用にもう一冊買おうと思ったら、アマゾンで6,000円もした。もともと1,500円の本である。近くの本屋さんで調べて貰ったら、出版社がつぶれていたとのことであった。貴重な一冊になってしまった。良い本なのでどこか別の出版社から再版されることを願っている。ホント、面白いんだから。