* 第七話~謎の訪問者~ *
協力者:Dead-Angel様
あれから結局、ルトの描いたラビリーとメットールは、ペットとして扱われていた。もちろん学校に連れて行くわけにはいかないので、そういう時だけ、監視役として、置いて行く事にした。
ルトはそれを拒否し続けたが、何とかコバルトが納得させた。
そんなある日の事…
「コバルト、学校行くぞ!ルトもな!」
「あぁ…分かっている……ルト、いつまで構ってるつもりだ…早く行くぞ…」
「…え?あ、うん!…ラビッチ、メットール行って来るね♪」
「ラビィ♪」
「メットー♪」
ラビリーのラビッチとメットールを置いて、健人、コバルト、ルトは学校へ向かった。
その数時間後……
「ラビッ?」
「メットォ?」
ラビッチとメットールは、健人のパソコンに何者かが入って来る気配を感じた。
その者は、青少年のような姿だった。銀髪の長髪をなびかせ、こちらに向かって来る。
そして、残り5mほど近付いて来た時、
「ラビラビィ!」
「メットォ!」
二匹は声を上げた。
恐らくは「何者だ!」と言っているのだろう。
その青少年は、立ち止まり、無表情で声を発した。
「敵…いや、紛い物か…存在する価値もない…」
そう言って、ラビッチとメットールを跡形もなく、斬り捨てた。
ラビッチとメットールは細かなデータとなり、消えていった…
――――
「…ん?」
「…っは!」
「どうしたんだ、コバルト?それにルトも?」
何かを感じたコバルトとルトに、健人は首をかしげた。
「…嫌な予感だ…あの二匹…誰かに消されたぞ…」
「…うん…ぼくも感じた…」
「って言っても、今授業中だぜ?」
小声で話しかける健人。
「だが…健人のパソコンに強い力が感じ取れる…」
「うん…何だか…怖いよ…」
「健人…俺はルトを連れていったん家に帰る…健人は仮病でも使って早退して来い」
コバルトとルトは家へと帰って行った。
「はぁ!?ど、どう言う事だよ!!おい!」
健人がつい声をあげると…
「健人君?何がどう言う事なんですか?」
担任、まりこ先生に問い質された。しかもちょっと怒り気味。
「え?いやぁ…そのですね…(汗)」
「言い訳無用!廊下に立ってなさい!」
クラス全員に笑われ、しぶしぶと廊下に出る健人だった。
が…まりこ先生にバレないように、そのまま家に向かって、走って行った。
――――
コバルトとルトが家に着いた時、二人が感じた何かはまだそこにいた。
「貴様か…ラビッ…」
「ラビッチとメットールを消したの、キミなの!?」
ルトが、コバルトの言葉を遮って言った。
その者は、少々睨んだような顔をしてこう言った。
「私だが…目障りだったので消させてもらった…
怒り…それもかなりの…、奴らが消えただけでそこまで…たかがデータだろう?あのようなデータならそこらじゅうにあるだろう?一つや二つ消そうが別に支障は無いと思うのだが…」
「確かに…アンタの言う通りだ…あいつらはコピーだから、いずれ、本人の手で消させて貰おうと思った…だが…こいつがなんて言うか…」
コバルトは冷静に話し、ルトを見た。
ルトはその者を見つめ、今にも泣きそうな顔になっていた。
そして、震えた声でルトはこう言った。
「ひ…ひどいよ…ぼく…大切に…してたのに…消しちゃうなんて……ひど…いよ…」
ルトの涙は、今にも溢れそうである。
だが、そんな事はお構いなしに、その者はこう言いのけた。
「いつか消えるのだろう?だったら今消えようが後で消えようが同じだ。
それに長く友達といると別れが辛くなる、今以上に…その覚悟がなければ呼び出すな…」
そう言われ、ルトはついに声をあげて泣き出してしまった。それを、コバルトがルトの目線までしゃがんで慰める。
そして、そのままコバルトはこう言う。
「まぁ、アンタの言った事は間違いじゃない…だが…こいつはまだ子供だ…そんな覚悟とか考えずにやるんだ…まぁ、あとで俺が、しっかりと言って置く…」
コバルトはそう言い、そして立ち上がり、
「もう、アンタはここには用はないだろうな……最後に聞く……アンタは一体何者だ…」
そう、問い質した。
「私は自分よりも強く、尊敬する者にしか名を明かさぬ。お前が私を仕留めたら私は全ての質問に正直に答えよう」
「そうか…なら…戦うしかないな…ルト、下がっていろ」
そう言い、戦闘体勢を取る。
するとそこに、ちょうどよく健人が部屋に入る。
「おそいぞ…健人…」
「わりぃわりぃ!って誰だよこいつ?」
「話は後だ!」
「OK…バトル・オペレーション・セット!」
「イン…!」
健人はすぐにHPサーチをおこなう。
結果はこうだ。
謎の青少年、HP10。
コバルト、HP130。
体力的にはコバルトが上である。
そして、健人はソードをスロットインし、コバルトはソード片手に突っ込んでいった。
「スグに終らせてやろう
雷神剣」
そう言い、剣を出し、コバルトよりも速く攻撃を仕掛けた。
その青少年の剣がコバルトにヒットした瞬間、落雷が訪れコバルトを撃った。
攻撃力は60。
「ぐぁっ…」
コバルト、残りHP70。
コバルトは倒れ、だが、また何とか立ち上がった。だが、少し息があがっている。
「大丈夫か?」
「…あぁ…何とかな…」
「よし…スーパーバルカン、スロットイン!」
コバルトは10連発のバルカンを撃った。
「見切った…!
ガードインパクト」
銃弾が当り、次の時にはコバルトの体に激痛がはしる仕組みだ。
ちなみに、攻撃力は100。
「遅い…」
コバルト、HP0。
コバルトは倒れた。たぶんもう、立ち上がれないだろう。
そして、コバルトの体が少し消え掛かった。
「コバルト!」
「兄ちゃん!」
健人とルトは叫び、健人はコバルトが完全に消えてしまわない用に、PETに移した。もちろんルトも一緒だ。
「己の不運を嘆くがいい…
………」
そう言って、チップデータを残し、その場を立ち去り、秋原エリア方面へと消えていった。
「…あいつは一体…何者だったんだ…」
チップデータを拾い、健人はそう呟き、コバルトの修復作業に取り掛かった。
(第八話に続く)