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無尽の鎖 第27話

無尽の鎖 第27話「危険なアジト ―Juno―」
作者:J・ラコタ

カインは新聞を広げて、ある記事に注目した。

カイン「「ヨーロッパ各地で誘拐事件」・・・、「主にターゲットは子供狙いか!?」」
ラルド「何しているんだ?カイン。」
カイン「ちょっとした情報収集。ミラルの家にはテレビとかはあるけど、俺の家にあるのは、せいぜい新聞だしな。」
ウラン「貧乏だね。」
カイン「五月蝿いな・・・って、おい!」

ラルドはサッと、カインの手から新聞を取っていった。

ラルド「「ヨーロッパ各地で10代の少年、少女の誘拐事件が多発。EU加盟国、及び非加盟国の警察が連携体制に入っているものの、未だに誘拐犯を逮捕できず」・・・。」
カイン「しかも、その事件の件数は83件ぐらい。
イギリスやクロアチア、フランスとかの国の警察は、その誘拐事件の犯人は「ロシアンシンジケート」っていう組織だと睨んでいるらしい。
お前らも外歩く時には気をつけろよな?」
ウラン「大丈夫だって。ボクらには力があるし。誘拐犯が来ても、ボクとラルドで倒しちゃうもんね。ね?」
ラルド「(なんで私ばかりが引き合いに出されるんだ・・・?)」

ラルドは半ば呆れていたが、新聞の記事に見入っていた。


一方、ミラルの家では・・・、

リリス「はぁ・・・。」

リリスはため息をついた。
1週間前から、ラザロとブラウンの2人はセルビア政府の要請を受けて、ロシアンマフィアのNo.2を捕らえるための仕事をしている。
当然、リリスは留守番。
しかし、リリスは出発する前の2人が、何か張り合っているように見えたのを気に掛けていた。

ミラル「ただいま。」

ミラルが帰ってきた。

リリス「おかえりなさい・・・。」

元気の無い声でリリスはミラルに返答した。

ミラル「リリス、どうしたの?元気ないけど。」
リリス「はぁ・・・、2人とも大丈夫かな・・・。」
ミラル「・・・わかった。」
リリス「な、何が!?(汗」
ミラル「ラザロとブラウンの事でしょ?」

―ドキッ、

ミラル「例えば、・・・2人の事で何か心配事を抱えている。とか。」

―ドキドキッ

ミラル「今、心拍が上がったわよ?ということは、私の言った通りね。」
リリス「・・・。」

と、リリスはミラルにその時の事を打ち明けた。


―1週間前―
ラザロ「掃除屋だって!?」
ブラウン「俺たちに家の花瓶でも磨けと!?」
ミラル「そっちの「掃除屋」じゃないの!政府の仕事を請け負って、例えば、大統領の護衛とか、凶悪犯の確保とか、そっちの「掃除屋」のこと。」
ラザロ「・・・まさか、ブラウンと一緒に行け。と?」
ミラル「そういうこと。」
ブラウン「お断り。やっと静かに暮らせると思ったら、また危なっかしい任務をさせられるのか・・・。」
ラザロ「俺だって、コイツと組む気はないよ。」
ミラル「ふーん。なるほどね。何かを巡って争っているんでしょ?」

グサリコ→
と、2人の心に何かが突き刺さったような、聞こえない音がした。

ミラル「だったら、これで決めたらいいじゃない。」

その言葉で、2人の目つきが少し変わった。
・・・実際には、今まで一方的に、ラザロがブラウンに挑戦を挑んでいる傾向だった。
2人が張り合う原因も、第26話で、ラザロがブラウンを恋敵と勘違いしているためなのだが、ブラウンはそんなことに気付いてもいない。
しかし、ブラウンがリリスをどう思っているのかも分からないため、ラザロにとって気が気ではなかった。
ブラウンも、本当はラザロを相手にする気は無かったのに、いつの間にか、2人とも張り合っている。
が、その状況はミラルの能力に掛かればお見通し。

それに、運動神経で言えば、2人とも互角。
武器の扱いに関しても、フランス警察の特殊精鋭部所所属の警官だったラザロと、イタリア民権派レジスタンスに参加して、何度も戦場を駆けたブラウン。
お互いに使う武器は違っても、今まで何度も仕事をこなした中では、実力は互角。

リリスにも気付かれるほど、2人の争いは表に出ていた。
が、リリスは一体何故、2人が争っているのかが分からなかった。


リリス「で、ミラルさんが無理やり2人をその仕事に行かせて・・・。
お陰でこの1週間、ずーっと、胃が痛いままなんです!」
ミラル「で、でも・・・、」
リリス「それなら、2人が争っている原因は何ですか!?」

―ガンッ

ミラルは、その言葉が形を成して、圧し掛かってきた気分になった。
が、すぐに切り返す。

ミラル「・・・リリス。残念だけど、その理由は言えないわ。」
リリス「・・・。」
ミラル「でもね。2人の対立を解消するには・・・、」

と、ミラルは、チラシの山になっているところから、一枚の求人広告を見つけた。
その求人広告をリリスに見せる。

リリス「え・・・、」
ミラル「お互いが決着をつけるとしたら、コレしか方法は思いつかないけどね。」
リリス「ちょ、ミラルさん!まさか、2人に・・・、」
ミラル「そう。政府の仕事をしてもらっているの。今のセルビアは、確かに平和よ。
民族攘夷運動も掻き消えて、クロアチアやボスニアとの友好関係も成立している。
経済も回復。EUにも加盟していて、表向きでは問題は無い。
でも、それは所詮「表向き」。裏では民族攘夷運動の復活を支持する組織だって、少なからずいるのよ。」
リリス「その組織を2人に潰させるんですか?」
ミラル「確かにね。でも、だからこそ、2人は協力しなくちゃならないはず。」
リリス「そんな、無茶な・・・。」
ミラル「それに・・・、」
リリス「ミラルさん!・・・私、どうして2人が張り合っているかがわからないのが不安で、その上、2人ともこんな危ない仕事をしている・・・。
精神的に、もう限界なんです!!」
ミラル「・・・ふふ、それなら・・・、」
リリス「!?」

と、ミラルはスタンガンを使い、

リリス「きゃぁっ・・・。」

リリスを気絶させた。

ミラル「・・・リリスにも人質になってもらうよ。」


―ギリシャ領 クレタ島―
一方、ラザロとブラウンは、ギリシャのクレタ島に来ていた。

ラザロ「ここがクレタ島か・・・。」
ブラウン「・・・何だか、気味が悪い島だ。」

クレタ島。
それは、ギリシャ本国のある、バルカン半島の南に浮かぶ島の1つ。
この島は、ギリシャ神話に登場する、「ミノタウロス」という怪物の住む島だと言われている。
その「ミノタウロス」を満足させるために、古代ギリシャでは、何十人もの子供たちが男女問わずに生贄としてこの島に連れて来られていたのだ。

だが、現在ではそのミノタウロスのいたと思われる神殿はなくなっている。
その代わりに根付いているのは、ロシアンシンジケートのアジト。
今回、セルビア政府がラザロとブラウンに任せた仕事の概要は、この島に根付いているロシアンシンジケートの壊滅。
子供の人身売買を行っていた、ロシアンシンジケートのNo.2を捕らえること。
人身売買された子供たちの2割がたは、孤児院などから引き取られたが、拉致された子供たちはその3倍以上もいる計算になる。
その売られた子供たちの居場所などの情報を手に入れ、出来れば、彼らを連れ戻すことが今回の任務だ。

アジトの入り口まで、1km。

ブラウン「それにしても、どうやって、あいつらのいる入り口に近づくか・・・。
下手をすれば、マシンガンで撃ち殺されかねないからな・・・。」

ラザロは、持っていたバックから、サイレンサーを出して、持っていたライフルの銃身に付けた。

ブラウン「どうする気だ?」
ラザロ「このまま、スナイパーを潰しながらアジトに潜入する。」
ブラウン「正気か?バレるぞ?」
ラザロ「大丈夫だ。任せろ。」

と、ラザロは目にも留まらないスピードで走った。
そしてすぐさま、その近くにいたスナイパーを倒した。
そのあとから、ブラウンもラザロに続く。

ブラウン「やるじゃないか。」
ラザロ「前にこの組織の親玉を捕まえたことがあるし、スナイパーを倒したのは初めてじゃないからさ。」
ブラウン「この組織のボスを?」
ラザロ「あぁ。フランス警察にいた時の最後の事件さ。」

と、銃弾が足元に飛んできた。
すぐさま2人は物陰に隠れる。

ブラウン「なら、何で、こんなにまだ活動してんだよ!?」
ラザロ「どうやら、ロシアンシンジケートはイモータル式組織のようだな・・・、」
ブラウン「イモータル式?」
ラザロ「組織の頭。つまり組織の首領が捕まったり、死んだりしても、そのままほとんど影響なく動く動ける組織のこと。それがイモータル式さ。」

ラザロは反撃しようとする。
しかし、相手は茂みに隠れているため、狙いが定まらない。

ラザロ「あいつら・・・、茂みに隠れていて、狙いが定まらない・・・、」
ブラウン「待っていろ、」
ラザロ「どうする気?」

と、ブラウンは離れて行った。

ラザロ「チィッ、逃げたか・・・、」

ラザロはブラウンが逃げたと思っていた。
しかし、次の瞬間、スナイパーたちのいた茂みが燃え始めた。
燃えながら、スナイパーたちが飛び出してきたが、何処からか飛んできた炎の竜が、スナイパーたちの体を貫通して、焼き尽くして行った・・・。

ラザロ「(な、なんだ!?この攻撃は・・・、)」

と、ラザロがそう思ったとき、炎の竜が煙を残してパッと消えた。

ブラウン「任せろって言ったろ?」
ラザロ「ブラウン!」
ブラウン「さて、アジトの入り口を探そう。」
ラザロ「(・・・なかなかやるじゃないか、コイツ・・・。)」


その後も、2人はアジトへの入り口に達するまでに、数人のスナイパーを倒した。

そして、アジトへの入り口であるマンホールを開けて、中へと入って行った・・・。

ラザロ「かなり深い・・・。」
ブラウン「落ちるなよ?」
ラザロ「言われなくても。」

2人はハシゴを下りながらそういう会話をしていた。
だが、一番下に降りるにしてもかなり深くて暗い。
途中で足場を見つけては休む。を繰り返す2人。

そして、遂に最下層まで来たが・・・、なんと、地下3000m。
つまり、地下3kmまで、このハシゴは続いていたことになる。
だが、暗いなかを懐中電灯で照らしてみると、目の前にエレベーターがあった・・・。

ブラウン「・・・一体俺達、何のためにハシゴを下ってきたんだろ・・・。」
ラザロ「ま、まぁ、とりあえず、最下層には着いたんだ。」

ブラウンは半ば呆れるが、ラザロは最下層が真っ暗闇なのが気になった。

ラザロ「・・・本当にここに、ロシアンシンジケートのNo.2がいるなら、何でこんなに暗いんだ・・・?
コウモリじゃ有るまいし・・・。」
ブラウン「暗いところが好きなのかも。」
ラザロ「それにしたって、この暗さは尋常じゃn」

―ガンッ、

ラザロ「いてて・・・、何かに当たった・・・。」

ブラウンはラザロのぶつかった壁に懐中電灯を当てた。

ブラウン「・・・これって、ただの壁じゃなさそうだぞ?」

壁の方をみると、縦に凹凸な線が走っていた。

ラザロ「何だろう・・・、この壁、コンクリートじゃないな。・・・金属だ。」
ブラウン「錆びてもいない・・・。・・・それどころか、懐中電灯を当てればピカピカに光る。」
ラザロ「・・・これドアだな。きっと。」
ブラウン「あぁ・・・。だけど、どうやって開ければ・・・。」
ラザロ「・・・吹き飛ばそうか。」
ブラウン「スティンガーミサイル(地対地ミサイル)があれば。の話だけどな。」
ラザロ「だな・・・。」

と、ラザロが辺りを見回すと、暗証番号を入れるためのキーがあった。

ブラウン「これでドアを開けるわけか・・・。」
ラザロ「でも、コードも知らないのにどうやって・・・?」
ブラウン「コードを知らないなら・・・、」

と、ブラウンはリュックを漁り始めた。

ラザロ「どうするんだ?」
ブラウン「コードを知らないなら・・・、・・・っと!」

ブラウンはリュックの中から何か出した。

ブラウン「割り出せばいいってこと。」

ブラウンはその暗証キーを割り出すために、その下にあったパネルをこじ開け、そこに暗証コードを割り出す装置の端子を差した。

ラザロ「(これって、どっかの映画で見たシーンだな・・・。)」

と、ラザロがそう思っている間に、暗証コードを次々と割り出していた。

そして・・・、

ブラウン「よし出たぞ。」
ラザロ「コードは?」
ブラウン「左から・・・、3、2、9、1、4、8、3、7」

―ピッピッピッピッ、ピピピッ、

ラザロは言われたとおりコードを打ち込み、

―ガァ

ドアが開いた。

ブラウン「よし、行くぞ。」
ラザロ「おぅ。」

2人はドアの向こう側へと足を踏み入れた。
そこで彼らが見たのは・・・、


ラザロ「・・・何だ?ここは・・・!?」
ブラウン「(・・・これもどこかの映画で見たようなところだな・・・。)」

2人が見たのは・・・、なんと、大量の保存冬眠用カプセルだった。
見る限りでも何百という数・・・。
カプセルにはウィンドウが付いているが、曇っている。
ブラウンはその内の1つのカプセルの曇ったウィンドウを手で擦ると、そこにいたのは・・・。

ブラウン「・・・子供だ。」
ラザロ「何だって?」
ブラウン「これがまさか・・・、誘拐された子供たちなのか?」

ラザロも別のカプセルのウィンドウを手で擦った。すると・・・、

ラザロ「・・・頭に耳が付いている・・・、」
ブラウン「頭に・・・耳?」
ラザロ「まさか・・・、嫌な予感がしてきた・・・。」
???「その考えは当たっているわよ。2人とも。」

その声のする方向に2人は振り向く。
そこにいたのは・・・、何と、ミラルだった。

ラザロ「ミラルさん。」
ブラウン「何故こんなところに・・・、」

とブラウンがそう言った瞬間、2人は吹き飛ばされていた。

ブラウン「ぐぁっ!」
ラザロ「うわぁっ!」
ミラル「フフフ・・・、惜しいわね。私はミラルじゃないの。」

ミラルの姿が歪んでいる。
が、その次の瞬間、代わりに姿を現したのは・・・、

ブラウン「・・・プラノズ!!」
ラザロ「誰だって!?」
プラノズ「久しぶりだな、ブラウン。それにラザロ・ヴァンベルデーン。」
ラザロ「な、どうして俺のフルネームを!?」
プラノズ「ユーリィから聞いた。よくも彼女の腕を切り落としたな・・・。」
ラザロ「ユーリィ?」
ブラウン「一体何をする気だ!?」
プラノズ「「何をする気?」・・・決まっているであろう・・・。この時代を滅ぼす。
彼らには私が「力」を与えた。」
ラザロ「力・・・、まさか!?」
ブラウン「チィ・・・、今まで誘拐された子供はこんなことに・・・、」
ラザロ「ということは、お前がロシアンシンジケートのNo.2なのか!?」
プラノズ「その通りだとも・・・。私がロシアンシンジケートを操った。
そして、セルビアの大統領を暗殺しようとしたのもこの私だ。」
ラザロ「!?」
プラノズ「元々は、セルビアの大統領を暗殺したら、すぐさま民族攘夷運動を再開しようとしていた組織に手を貸した。
すると、お前達は恐らく、国を出る。そして、私たちが捕まえるはずだった。
だが、そんなまどろっこしい計画はもうヤメだ。
ここにいる子供たちは私に忠実な特殊能力を持つ者となるのだ。
そして・・・、」

プラノズは後ろにあったドアをリモコンで開けた。
そのドアから出てきたのは・・・、

プラノズ「彼女も、私に忠実な部下となるだろう。」
ブラウン「リリス!!」
ラザロ「このぉー!!!」

ラザロは高速移動してプラノズに急接近しようとする。
だが、次の瞬間、ラザロが姿を現した時には、既にプラノズの攻撃を受けて、ラザロは吹き飛ばされていた。

ブラウン「ラザロ!!」
プラノズ「さぁ、どうする?私を撃とうとすれば、リリスは死ぬだろう。
・・・諦めて私と一緒に来い。2人共。」
???「サンダーボルト!!」
プラノズ「何?」

―ドォンッ!

プラノズ「ぐぁぁぁっ!!?」
ブラウン「この攻撃は・・・、」

そう、雷攻撃だ。
さらには、空気圧の弾がプラノズを吹き飛ばした。

プラノズ「ぐぅ・・・、」
ブラウン「シルビィーにイディン!?」
シルビィー「何やらてこずっているようね。」
イディン「助太刀するよ。」
ラザロ「誰なんだ?」
ブラウン「・・・まぁ、話せば長くなる。」
プラノズ「おのれ・・・、お前たちまで私に逆らうのか・・・?
人質がいるのにか!?・・・いない?」
???「探し物はこれかい?」

リリスの入ったカプセルがひとりでに動き出した。
だが、そのカプセルを1人の少年が抱えていた。

イディン「ナイス、マイケル。」
シルビィー「お邪魔虫で普段は目障りなあんたがこんな時に役に立つなんてねぇ。」
マイケル「・・・なんか、褒められたのかケナされたのか・・・。」
ラザロ「リリス!」

ラザロはすぐにリリスの入っているカプセルを開けようとする。

シルビィー「退いて。」

シルビィーは指の先から電気ショックを発して、カプセルのロック装置をショートさせた。

ラザロ「ありがとう・・・、」
シルビィー「コレぐらい、カードの磁気データを書き換えるよりも簡単よ。」

ラザロはリリスをカプセルから出した。
・・・完全に気を失っている。

プラノズ「・・・フフフッ、」
全員「!?」
プラノズ「雑魚がそろいもそろって何を言う。・・・と言いたいが、」

プラノズは指を鳴らした。
すると、周りにあったカプセルが一気に光に包まれて全部消えた。
プラノズも同じような光に包まれた。

ブラウン「待てぇ!!」
イディン「逃がさないぞ!!」
シルビィー「行くわよ!!」

3人がそれぞれの必殺技を繰り出した。
しかし、命中する前にプラノズは消え、代わりに攻撃が命中したのは・・・。
・・・リアクターだった。

―ゴゴゴゴゴ

アナウンス『ビーッ、警告、警告。基地リアクター破損。あと5分で爆発します。』
シルビィー「大変・・・、」
ラザロ「あと5分で爆発!?逃げ切れないぞ・・・、」
イディン「エレベーターを使おう。あれなら、3分で地上に上れるはずだ。」

マイケル「ダメだ・・・、エレベーターが使えない。リアクターを破壊したのがマズかったんだ。」
シルビィー「もぅ、どうするのよーっ!?」
イディン「そんな、僕に言っても仕方ないよ!!」
リリス「・・・ょうぶ」
ラザロ「え・・・?」
リリス「私の力を使えば・・・、大丈夫・・・。みんなここから抜け出せるわ・・・、」
ラザロ「君の・・・力?」

リリス「みんな、手を繋いで。いくわよ・・・、」

リリスは目をつぶって念じる。
すると、その場にいた全員が宙に浮いていた。

マイケル「うわわわわっ!?」
イディン「そうか、反重力か!!」
リリス「みんな、手を離さないで!!」

と、リリスがそう言うと、一気に全員が地上に通じるあの穴まで、お互いに手を握りながら猛スピードで飛んでいた。
途中落ちてくる岩をそれぞれの能力で破壊し、そして、地上に通じるあの狭い穴をそれぞれの能力で穴を広げて破壊し、全員地上へ飛び出した。
まぁ、着地する際に尻餅ついたり、滑ったりと多少ドジッたが・・・。
とりあえず、全員無事に脱出できた。
リリスは疲労して気を失っていた。

イディン「まだこれで終わりじゃないぞ!」
ブラウン「へ、どうして・・・!?」

シルビィーはブラウンの手を引っ張り、イディンとマイケルも走り出す。

シルビィー「早く逃げないと巻き添え食うわよ!!」

リアクターの爆発まで残り90秒。
それまでにその穴から出来る限り離れないといけない。
ラザロはリリスを負ぶって、みんなその穴から出来る限り離れようと走った。


そして数十秒後、爆発が起きた。
・・・爆発が終わると、あの穴のあった辺り一帯には大穴が開いていた・・・。


第28話へと続く


※この話はフィクションです。実際の、人物名、団体、国名などには関係ありません。


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