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無尽の鎖 第33話 1/2

無尽の鎖 第33話/最終話「そして全てが・・・ 後編 ―Tears Of RALD―」 Page1/2
作者:倉麻るみ子&J・ラコタ


一方、カインたちは・・・。

カイン「なぁ、ブラウンはどうしたんだよ?」

カインは戦いながらすきを見つけて、ラザロに再び問いかけた。

ラザロ「途中でまた道が分かれていた時に、ブラウンと別れたんだ。」
カイン「それじゃ、またどっかで合流できるな。」
ラザロ「多分。」
ライディス「会話している余裕なんてないよ!!」

ライディスが、2人に向けて三日月の衝撃波を飛ばす。
もちろんの事2人は避ける。

数分前、ユリウス達が襲い掛かってきたときに、とっさにファラスが皆に指示を出した。
ファラスはユリウスにつくから、カインはライディス、ラザロはニィナにつけと。

そして、今の状況に至る。

ユリウスの攻撃は、ファラスが何とか食い止めていて、カインとラザロに及ぶことはないのだが、ライディスとニィナが問題だった。
ライディスはユリウスとコンビネーションがいいが、ニィナともコンビネーションが良いので厄介だ。

ニィナ「チャンス!え~い!」

ニィナが、強風と共に衝撃波を飛ばす。

カイン「ミラル!!」
ラザロ「リリス!!」

2人が同時に叫び、同時に守りに入る。
カインは水の波動を撃ち、ラザロはエネルギー弾を撃った。
2人の攻撃とニィナの衝撃波が衝突し、小規模な爆破が起こった。

カイン「ミラル、大丈夫か?」
ミラル「えぇ。ありがとう、カイン。」
ラザロ「リリス、大丈夫?」
リリス「うん・・・。・・・ラザロ、毎回こんなことになっちゃって・・・。」
ラザロ「別にいいよ。俺は全力でお前を守るって決めたんだし。」
ミラル「カイン・・・。・・・いつもごめんね。」
カイン「謝るなよ。・・・頼ってもいいんだぜ。」
ファラス「カイン!ミラル!伏せろ!!」

そんなファラスの声が聞こえた時、カインとミラルは、慌てて伏せた。
・・・飛んできたのは鋭い真空波と三日月の衝撃波だ。
後ろの岩壁の表面が、ゴッソリとえぐられてしまっていた。

ライディス「あーぁ、惜しいなぁ。」
ニィナ「今の避けなければ、確実に死ねたのにねぇ。」

・・・カインは静かに立った。
しかも、重苦しい雰囲気で・・・。

カイン「・・・お前ら、マジ、ビョーキだぜ!!」

そう言うと、カインは水の波動を打ち出す。
それをニィナは切り裂いて、無効化した。
カインの放った水の波動は、ただの水となって、ニィナとライディスをびしょ濡れにした。

ニィナ「まだやる気なの?」
ラザロ「・・・当たり前だろ!」

と、ラザロはライディスを狙ってエネルギー弾を飛ばす。

ライディス「懲りないねぇ。」

しかし、その攻撃も避けられてしまう。

ライディス「行くよ、ニィナ!」
ニィナ「えぇ。・・・どうせ、あいつらの攻撃なんて大したこと無いわ。一気に片付けましょっ!」

そう言って、2人が突進してくる。
だが、カインは目を閉じた。

ミラル「カイン、何するつもりなの・・・!?」
カイン「・・・まだ成功した試しはないけれど・・・。」

2人の会話の間にも、ライディスとニィナは突進してくる。

リリス「ラザロ・・・、どうするの?」
ラザロ「・・・失敗したら、骨は拾ってくれよ。」

ラザロは銃口にパワーを集中させる。
そして、ライディスとニィナはどんどん距離を縮めてくる。

ニィナ「・・・なーんだ。あんな事言っておきながら、」
ライディス「ふーん、諦めちゃったんだ。・・・張り合い無いね!」

だが、次にライディスとニィナがカインたちに飛び掛ろうとした時、ある事が起きた。

まず、ラザロがエネルギー弾を放った。
そのエネルギー弾は、いつもよりも、5倍近くも大きく、スピードも速かった。
ニィナとライディスはその攻撃を避けるものの、チャージされて猛スピードで飛ぶエネルギー弾によって、ソニックブーム。つまり、衝撃波が起きた。
その衝撃波によって、2人はバランスを崩した。

カイン「今だ!!」

次にカインの手から、水色の光が放たれた。
その光はニィナとライディスを包み込んで行った。

ライディス「な、何だ!?う、うわあぁぁぁぁっ!!」
ニィナ「さ、寒い!!い、いやあぁぁぁぁっ!!」

水色の光に遮られて、2人の様子は見えないものの、悲鳴だけは聞こえていた。

ユリウス「ライディス!ニィナ!!」

ファラスの剣を爪で受け止めながら、ユリウスは叫んだ。
光が止むとそこには・・・。

―キィンッ、

・・・氷づけの、ライディスとニィナがいた。
まるで氷山のようなものに飲み込まれている。
2人とも苦しいような表情を浮かべながら凍っていた。

カイン「ふぅ・・・、成功っと・・・。ラザロ、サンキューな。
この氷が溶けたら元に戻っているはずだぜ。」
ミラル「でも、これだけ凍っていてホントに溶けるの?」
カイン「・・・多分、溶ける。」
ラザロ「(そういうところだけは信用できないんだよなぁ・・・。)」

ユリウス「・・・チッ。」

ライディスとニィナの状況を見て、ユリウスは舌打ちする。

ユリウス「けっ!あの二人がやられても、俺一人でだってやれるぜ!!」

そう言って、ファラスの剣を払いのけ、腕を振り上げた。

ユリウス「これで終わりと思うなよ!!」

ユリウスは爪を振り下ろす。
その前に、ファラスはすかさずユリウスの腕を掴む。
もう片方はラザロが掴んだ。
両腕を掴まれ、身動きが出来ないユリウスは暴れ出し、2人を振り払う。
そこに、カインが殴り掛かるが、交わして蹴り飛ばす。
一旦距離をとり、カインに向かって走りながら爪を立てる。
そこにラザロがエネルギー弾を飛ばし、命中させる。
ユリウスは1~2mほど吹き飛ぶが、何の支障もなくまた突進して爪を振り下ろす。
それを、ファラスがすかさず剣で受け止める。
ユリウスは、受け止められていない方の腕を振り下ろそうとしたが、ラザロが放つエネルギー弾と、カインの放つ水の波動が見事に命中。
ファラスはユリウスから離れる。
ユリウスは、その場に倒れるようにして座り込んだ。
「ハァ、ハァ」と荒い呼吸をしながらも、ゆっくりと立ち上がる。

ユリウス「(くそ・・・やっぱり1対3は無理があったか・・・。)」
カイン「ユリウス、まだやんのか?」
ファラス「もう諦めろ。」
ラザロ「ユリウス、君の体には限界に来ているはずだ。」
ユリウス「・・・諦めるかよ・・・俺は・・・テメェらをブッ倒さなきゃいけねぇんだよ!!」

そう言って、ユリウスは突進するが、足が縺れて転んでしまった。

ユリウス「・・・くそっ・・・体がいうこときかねぇ・・・。」

カイン「だから諦めろって。それに、俺らは弱ってるやつを殺したりはしねぇよ。」

ユリウス「・・・この借りは、いつか必ず返す!!」

ユリウスは叫ぶようにそう言ってから、シュンッと姿を消した。

カイン「(絶対、元に戻してやっからな。)」

カインは、心の中でそう決意した。

カイン「さて、どうっすかなぁ~。溶ける気配ないし、これ。」
ミラル「カインが自分で溶かせばいいじゃない・・・。」
ラザロ「そうだよ。このままじゃ可哀相だし。」
カイン「・・・そだな。」

そう言ってから、凍ったライディスとニィナに手をかざす。
氷から水蒸気がでてきて、段々溶けてきた。
そして、暫くすると、氷は全て溶けた。・・・だが、2人が起きる気配がなかった。
まさかとは思ったが、ただ単に気を失っているだけであった。

リリス「・・・で、どうするの?」
ファラス「待っている時間はない。暫くしたら、目を覚ますだろう。・・・行くぞ。」
カイン「ちょっと待った。」
ファラス「何だ?」
カイン「ミラルが怪我しているから、手当てだけさせてくれないか?」

そう言って、ポケットからガーゼと包帯を取り出した。
それを使ってミラルの足に巻き付けていった。

カイン「ごめんな、ミラル。・・・俺がもう少ししっかりしてれば、怪我せずに済んだのにな。」
ミラル「うぅん、カインは十分頑張ったわ。ありがとう。」
カイン「・・・うん。」

そして、包帯を巻き付けた後、カインはミラルをおぶる。

カイン「ミラル、痛くないか?」
ミラル「大丈夫。」
カイン「そっか・・・ファラス、皆、待たせたな。」
ファラス「よし、じゃ行くぞ。」
ラザロ「きっとこの先が・・・、」
リリス「プラノズのいるところ・・・。」

こうして、5人は目の前の暗い入口に向かって歩き出したのだが・・・。


―シュタッ

と、ユリウスがプラノズのところへ戻ってきた。
獣化は解けている。

プラノズ「ユリウス・・・。」
ユリウス「申し訳ございません、プラノズ様。
奴らを倒すことが出来ませんでした・・・。ですが、次こそは必ず!」
プラノズ「・・・その必要は無い。」
ユリウス「は?」

プラノズは黙って、ユリウスに近付き頭を掴む。
そして空中に持ち上げた。

ユリウス「プ、プラノズ・・・様・・・?」
プラノズ「ユリウス、よくもしくじったな。・・・今まで散々失敗を犯してきたお前のような奴は、もう必要ない。・・・用済みだ。」
ユリウス「そんな!プラノズさ・・・!」

―ズサッ

ユリウスの言葉が途切れる。
ユリウスは、プラノズに胸を刺されていた。
しかも貫通している。
そして、プラノズはユリウスから腕を抜き、ユリウスを掴んでいた手も放す。

ユリウス「プ・・ラノ・・ズ・・・さ・・ま・・・どう・・・し・・て・・・。」

そう言いながら、まるでスローモーションでも見ているかのように倒れた。
床に血が広がり、ユリウスはこれ以上動くことはなかった。

プラノズ「永遠に眠れ・・・ユリウス・・・。」


一方、ブラウンはシルビィーたちが罠にハマった部屋へとたどり着いた。
そこで彼が見たものは・・・。
・・・倒れた子供たち。地面に倒れ、二度と動くことの無い屍となったマイケル。
そして、岸壁にぐったりと横たわる、2人の姿があった。

ブラウン「イディン!シルビィー!!」

ブラウンは2人に駆け寄った。
そして、2人を起こそうとする。

ブラウン「なぁ、2人共!!返事してくれよ!!」

そう言いながら、2人の体を揺する。
・・・シルビィーは目を覚ました。非常に疲れた表情をしていた。

シルビィー「ブラウン・・・?」
ブラウン「良かった・・・、まだ生きていた・・・!」
シルビィー「・・・マイケルはやっぱり死んだのね・・・。」
ブラウン「2人共・・・。よくこんな大勢を・・・。」
シルビィー「これで最後と思って・・・、お互いに最大出力で攻撃したのよ・・・。」
ブラウン「最大出力って・・・それじゃぁ・・・!?」
シルビィー「もう私たちは動けない。・・・というよりも、死ぬわね・・・。
疲れの溜まっている状態で最大出力を出したから・・・。」

と、シルビィーは、イディンの体に寄り掛かる。

シルビィー「・・・彼の体、冷たくなり始めているわ。それに私だって・・・。」
ブラウン「そんなこと言うなよ!せっかく、ここまで来たのに・・・!!」

ブラウンは涙目でそう言った。

シルビィー「ブラウン・・・。カインたちと一緒にプラノズを倒し・・て・・・。」

シルビィーは、静かに目を閉じた。イディンのほうも動く気配がない。
2人も死んでしまったことが解った。

ブラウン「・・・くっ・・・。」

ブラウンは、涙を腕で拭った。
そして、彼らが進めなかった、洞窟の奥の奥へと進んでいく・・・。


―シュタッ!

カインたちの目の前に何者かが現れた。
服装は灰色チェックのワンピースのようなもので、襟と袖の裾が深緑。
目と髪の毛。共にエメラルドグリーン。
・・・そう、まさしくその人物はラルドであった。
不思議なオーラと鎖が、ラルドを纏っている。

ラルド「・・・邪魔者・・・排除する・・・。」

ラルドはそう言うと、シュンッと姿を消した。
かと思えば、ラルドはラザロの前に現れ、ラザロを蹴り飛ばした。
その攻撃力は尋常ではない。ラザロは、部屋の隅まで飛ばされてしまったのだ。
次いでファラスを蹴り飛ばし、リリスも蹴り飛ばす。
最後に、ミラルをおぶったカインをも、蹴り飛ばした。
カインは必死にミラルを守るために、常態を変え、ミラルを前にした。
そして、そのまま壁に激突した。

カイン「・・・ぐ。」
ミラル「カイン!?大丈夫!?」
カイン「このぐらい、平気・・・くっ!」

カインは左肩を押さえた。
どうやら、壁に激突した時に、左肩を骨折したようだ。
そのためか、左腕は全く動かない状態になっている。

ミラル「カイン・・・ごめんね・・・。」
カイン「だから謝るなって・・・。」

ミラルが責任を感じ、涙を流す。
そんなミラルを、カインは自分の胸に寄せ、慰めるように頭を撫でた。

カイン「左腕は使い物にならなくなったけど、まだ右手がある。」

そう言って、ミラルをその場に座らせ、左肩を押さえながら立ち上がった。
他の3人もヨロッと立ち上がる。

ラルド「まだ・・・やるつもりか・・・?」
ラザロ「当たり・・・前だろ・・・!」
ファラス「お前を元に戻すためなら、何度だって立ち上がってやる!」
ラルド「愚かな・・・貴様らごときに・・・俺はやられない・・・。倒すことなど・・・不可能だ・・・。」
カイン「そんなの・・・、やって見なくちゃわかんないだろ!」
ラルド「ならば・・・これを受けるがいい・・・。」

ラルドは突然目を閉じた。
すると、ラルドの体が黄緑色に輝き、その色が段々と濃くなっていく。
最終的には黒色に染まったと同時に、輝きも大きくなっていた。
そして、カッと目を開き両手を広げ、真っ黒な波動が部屋全体に広がった。
当然、全員はその波動に吹き飛ばされた。・・・皆、身動きが取れなくなっている。
その一瞬の隙を突き、ラルドは自分の纏っている鎖を伸ばし、全員に巻き付けた。
ラルドは鎖を剣のような物に変え、カインに近付いた。

ラルド「まずは・・・貴様からだ・・・。」

そう言って、カインにトドメを刺そうとした、その時だった。
ラルドに向かって、衝撃波が飛んできたのだ。もちろんラルドは避ける。
衝撃波が飛んできた方向から、誰かが歩いてきた。
外見は若い青年で、髪はセミロングの金髪。赤い八巻を付けている。
服装は、薄水色の袖無し。だが、肩が見えるような袖がある。
下に履いている長ズボンも、服と似たような色をしていた。
ラルドはその青年に攻撃を仕掛けたが、どんな攻撃をしても、腕一本で全て弾かれてしまう。
攻撃を弾きながら、ラルドに近付いていく。

カイン「誰なんだ!?ラルドに何するつもりなんだ!?」

と、カインが言うと、その青年は一度目線だけをカインに向けるが、すぐにラルドに目線を戻す。
ついには、ラルドを壁際までに追い込み、ラルドはその青年に怯える。
青年は何も言わず、ラルドの額に片手を翳し、僅かに、青年の手が光り出す。

ラルド「ぅ・・・ぐ・・・ぐあぁあああぁぁ!!!」

ラルドは頭を抱えて叫び出した。そして静かになり、ラルドは倒れるように座り込んだ。
・・・それと同時に、全員を巻き付けていた鎖が消えた。

カイン「ラルド!!」

カインはすぐにラルドに寄った。
そして、青年のほうを向く。

カイン「あんた・・・何者なんだ?ラルドに何をした!?」
青年「安心しろ、彼の洗脳を解いただけだ。・・・すぐに目覚めるだろう。」
ラルド「うぅ・・・、みんな・・・、どうしてこんなところにいるんだ・・・?」

ラルドは頭を抱えていたが、いつもの口調に戻っていることに皆気付いた。

カイン「ラルド・・・!?」
ミラル「良かった・・・、元に戻ったのね・・・!」
ラルド「私は・・・どうしてここに・・・?ここは・・・どこなんだ・・・?」

倒れているラルドに、カインが一歩前に出て、手を差し伸べた。

カイン「・・・。」
ラルド「カイン・・・、」

ラルドはカインの手を握った。
カインはラルドを引っ張りあげて、立たせた。
が、次の瞬間、皆が予想すらしていない事を起こした。

―パシッ!

・・・カインが右手でラルドを平手で叩いた。
その光景を見た全員が唖然とした。
ミラルは慌てて、ラルドに駆け寄り、カインに言う。

ミラル「カ、カイン・・・、どうして・・・、」
カイン「・・かやろう・・・、」
ラルド「・・・!?」
カイン「バカ野郎・・・、心配したんだぞ・・・!!」

そう言って、カインはラルドに抱きついた。
と、ラルドは、カインが片手でしか抱いてないのに気付いた。

ラルド「カイン、その腕はどうした?」
カイン「色々あってなぁ・・・。今も痛くてさ、・・・全然動かないんだ・・・。」
ラルド「それなら、私に任せろ。」
カイン「でも・・・。」
ラルド「安心しろ。」

それだけ言って、カインの左肩に両手をかざした。
ラルドの両手から、あたたかな光が零れだす。

ラルド「・・・これでよし。カイン、腕を動かしてみろ。」

カインはゆっくりと左腕を動かしてみた。
見事にカインの左肩は、完治していた。

カイン「・・・さすが。全く痛みが無いや・・・。ありがとう、ラルド。」

そう言って、再び抱きつく。先ほどより力強く。
ラルドは少し恥ずかしがっていた。
そして、カインは「ミラルの脚の怪我も治してくれ。」といい、ラルドはミラルの脚に手をかざし、瞬時に治した。傷は跡形もなく消えていた。

ファラス「・・・どうやら、完全に洗脳が解かれたようだ。」
リリス「これで一件落着ね。」
ラザロ「めでたし、めでたし。」
青年「いや、まだ終わってはいない。・・・プラノズを倒すまではな。」
ファラス「ところで、・・・お前は誰だ?」
イグニス(=青年)「私の名前はイグニス・アイガー。・・・プラノズの片割れだ。」
全員「!?」

イグニスというその青年が口にした「プラノズの片割れ」という言葉を聞いた途端に、皆、身構えてしまった。

ファラス「お前・・・、プラノズの手先か!!」
イグニス「違う。正確には、私は奴を追ってきた。」
リリス「追うって・・・、どういうこと?」
イグニス「・・・時間軸に影響は無さそうだな・・・。
・・・私は、22世紀末の世界からやってきた。そして、プラノズもだ。」

・・・だが、突然、洞窟が揺れ始めた。

プラノズ「イグニス・・・。まさか、この時代でお前と出会うことになろうとはな・・・。」
ユーリィ「・・・そろそろ、彼らが成熟する頃ね・・・。」

・・・揺れが収まった。

イグニス「・・・急ごう、この先にプラノズがいる!」

そう言って、イグニスは洞窟の奥の奥へと走り進んでいく。

カイン「で、でも・・・!」
イグニス「早く来い!訳は途中で話す。」

カインたちもイグニスに続いて走り出した。



ライディス「ぅうぅん・・・。」

同じ頃、ライディスは目を覚ました。
様子を見れば、洗脳は解けているようだ。ちゃんと目の色も元の色に戻っている。
辺りを見回すと、近くにニィナも倒れているが、この状態で出会うのは初めてであり、お互いに名前を知らないのだ。
ニィナは静かに目を覚まし、体を起こした。
ぼやけた目で辺りを伺うのだが、今自分がどこにいるのかさっぱりの状況だ。
しかし、ライディスが視界に入ると、ぼやけが一気に晴れ、怯えてガタガタと震えだし、少しずつ後ろに下がっていった。
ライディスは、何故ニィナがそんな事をしているのか全く解らなかった。

ライディス「ど、どうしたの・・・?」
ニィナ「来ないで!!」

自分に怯えるニィナを見て、ライディスは何かに気付いた。
「・・・僕が彼女に何かしちゃったんだ・・・。」と心の中で思い、ニィナに話し掛けた。

ライディス「・・・僕、何をしていたのか全く覚えていないけど・・・キミが怯えているって事は、僕が何かをしてしまったってことでしょ・・・?
きっと、謝ってすむことじゃないと思う・・・。でも、謝りたいんだ。・・・ごめん・・・。」

ニィナは涙を流しながら、しばらくライディスを睨み続けたが・・・、

ニィナ「あなた・・・本当に何も覚えてないの・・・?」
ライディス「・・・みたいだね。思い・・・出せない・・・。」
ニィナ「そういえば、私も何でここにいるのかわからない・・・。」
ライディス「・・・僕らはどうやら操られていたんだね・・・。」
ニィナ「そうかもしれない・・・でも、誰に?」
ライディス「・・・プラノズって人だよ。彼が僕らを洗脳させ、操ったんだ・・・。」
ニィナ「だったら、私のお父さんとお母さんを殺した事、覚えているわけ無いわよね・・・。」
ライディス「・・・!」

ライディスは、ニィナの言った事に驚愕した。

ライディス「(そんな・・・まさか・・・人を、殺していたなんて・・・!)僕は・・・僕は・・・何て酷い事を・・・!!」

そう言いながら、頭を抱える。
そして涙が溢れだし、ライディスは狂ったようにこう言った。

ライディス「僕を殺してくれ・・・。お願い!!僕を殺して!!キミの両親を殺してしまったんだ!!
キミは僕が憎いはずだ!!早く!!早く僕を殺せぇえ!!こんな僕なんか生きていたって仕方ないんだぁ!!」

その言葉に、ニィナは戸惑う。

ニィナ「ちょっと、何言ってるの・・・?」
ライディス「僕を殺してくれないのなら自分で死ぬ!!」

ライディスは、近くにあった鋭く尖った石を両手でつかみ、自分の胸に向ける。
叫んで、尖った石を自分の胸に刺そうとしたが・・・、

ニィナ「やめて!!!」

ニィナの声で、ライディスは胸の寸前でとめる。

ニィナ「あなた、馬鹿じゃないの!?そんなんで罪が償えると思っているの!?」
ライディス「だったらどうやって罪を償えばいいんだ!!!」

ニィナは少し間をおいた。
・・・そして、自分の中にあるモヤモヤな気持ちをライディスにぶつけたのだが・・・。これは本人ですら、予想もしていないことを言い出した。

ニィナ「私と・・・一緒にいて。」
ライディス「ぇ・・・?」
ニィナ「・・・私と一緒に暮らすの。それから、毎日お父さんとお母さんのお墓参りに付き合うの。それが、あなたの罪の償いよ・・・。」

ライディスは、尖った石を下に落とした。

ライディス「こんな・・・、こんな僕でいいの・・・?」
ニィナ「・・・うん。」

ライディスは、静かに立ち上がる。

ライディス「それで、僕の罪が償えるなら・・・。僕は喜んでそうするよ。」
ニィナ「ありがとう・・・。」
ライディス「・・・そういえば、名前聞いてなかったね。僕はライディス。ライディス・ハワード・ユレス。キミは?」
ニィナ「私はニィナ。ニィナ・レミエス。」
ライディス「ニィナか・・・良い名前だね。・・・とにかく、こうしている間にもプラノズは何かをしでかしているはずだ。」
ニィナ「さっきも言ってたけど、プラノズってどんな人なの?」
ライディス「プラノズは、全世界を変えようと企んでいる人物。だから今は、・・・プラノズを倒さなきゃいけないんだ!」
ニィナ「そっか・・・なら、私もそのプラノズって人と戦う。」
ライディス「でも、ニィナに能力は・・・。」

しかし、ライディスがそう言った時、ニィナは自分の体を獣化させ、鋭い爪のような翼をライディスに見せる。
そして、また元の状態に戻る。

ニィナ「・・・どうやら私にも、ライディスのような能力がついているみたいだから。」
ライディス「・・・他のみんなもきっと今、プラノズと戦っているはずだ・・・。」
ニィナ「みんなって?」
ライディス「僕らの仲間さ。・・・行こう!」
ニィナ「うん!」

2人は、前へと走っていく。プラノズを倒すために・・・。
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