風地蔵日記

新そばの季節です。

熊本　黒川温泉の近くに　そば街道があります。


そこには　行列のできる　そばやさんが　あります。


そば街道の　一番奥　３０００坪の蕎麦屋


「戸無のそばや」（となしのそばや）です。







どこかで見たことありませんか？？

この雰囲気。



そうです。


黒川温泉です。

まねをした？？


いいえ、戸無のそばやの　ご主人こそ、黒川温泉人気急上昇の火付け役だったのです。


その名は　小笠原和男　　さん。


いまの、黒川温泉のまえは、ふつうのどこにでもある　温泉場でした。

唯一、はやっていたのは、洞窟風呂を自分で掘り、雑木を植えた

新明館。

そこの大将に、　｢雑木を植えろ」と言われて、手ほどきしてもらったのが

当時、美人湯の「いこい旅館｣の主人だった　和男さん。



しかも、雑木だけでなく、この雰囲気、旅館、建物のつくりのセンスは

この人ならでわだ。

「今のままではだめだ。男性客を相手にした会社の慰安旅行で

送迎をつけ、夜はもっぱら飲み会の温泉宿は　もう流行らない。

女性が好む　温泉宿を作る｣と　露天風呂を　つくりだした。


しかも、混浴なんて無し。

男性は喜べど、女性客は減る。ましてや、酔っ払いのドンちゃん騒ぎなど

もってのほかだ。




ところが、和男さんは　それだけでは終わらなかった。


黒川２４件(当時)の　旅館全部が　にぎわうことが大切だと考えたのだ。



全旅館に　そのセンスを　すべて教えた。



いまは、いこい旅館とは　お別れになり　おなじ　南小国で

そば街道を　つくった。

そば職人を　養成するため、自ら　そば教室を開いた。

戸無しを筆頭に　つぎつぎ　蕎麦屋が生まれていった。



週末は　どこの蕎麦屋も　大賑わいだ。



そんな和男さんの　センスに　惚れ込んだ私が

風地蔵を　ＯＰＥＮする前に　相談に行った。


大垣の仲間　私の周りの人たちは　　みんな反対した。


風地蔵の背中を押してくれたのが、この和男さんと、坂口芳枝さんだった。



ふたりは、生みの親である。



黒川の、だんなさんやおかみさんが　来られたとき、

｢黒川とは違い、お金がかかってないし、まだ中途半端で、

恥ずかしいです｣　とわたしは本気で言った。


みなさんは　おっしゃった。

「黒川は、全旅館で　あの雰囲気をだし、宣伝だって組合として

お金を出しあうけど、風地蔵は　たった１件で　ここまでやってる。

私たちこそ　みならうことばかり。感心しています。｣

　
わたしは、うれしかった。



だけど、やはり１件では厳しい。


黒川へ行くときは　必ず　戸無しか三川草木（姉妹店)の　和男さんがその日いるほうに寄る。


ダンディーで　目から力が　感じられる人だ。



あまり、人前には出てこられないが、行くと必ず出てきてくれる。

いつも忙しいので、長くは話さないが、顔を見るだけで安心する。

エネルギーがわく。

また　がんばろう！！と思う。



そんな　和男さんから　きのう宅急便が届いた。




あけてみると手紙らしきものは何にも入っていない。

袋を振ったけど、やっぱり入ってない。






前はなかったけど、作ったんだーー。

パッケージの字は　和男さんの直筆だ。


和男さんらしい　と　スタッフと　笑った。


春にはいこうね！！

よおし、がんばるぞーーー。





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