カトマンズ行き地獄の夜行バスさて、とっぷり日の暮れた国境でカトマンズ行きのバスを捕まえようとしている俺とHクン。インドでニセのチケットを買わされ途中で降ろされたので、チケットを買い直そうという気はサラサラなく、 何とかタダで行こうとしか考えてない。 俺達は昼間、「困った時はこの紙を見せな」と言って渡された紙切れを持ってバスの発着所へ行った。 そこでその紙を見せると何と1発で「わかった。あのバスに乗りなさい」と係員。 その紙には「彼らは困っている。もし神のご加護があれば彼らをカトマンズまで導きたまえ」 というような文が書かれているというのだ。 これぞ魔法の紹介状だ。こうして俺達は無事カトマンズ行きの夜行バスに乗せてもらえる事になった。 この3・4日、俺はほとんど寝ていなかった。 インドの夜行列車はスシ詰め状態のため寝れず、次の日はスラム街で野宿してみたが寒くて寝れなかった。 「よ~し、今夜の夜行バスではグッスリ寝るぞ。」と寝不足でフラフラの俺はバスに乗り込んだ。 しかし、その夢はすぐにボロボロに打ち砕かれる事になる。 この夜行バスも定員を2倍以上オーバーしているギューギュー詰め。 運の悪い事に窓辺の席。俺は壊れて閉まらない窓から吹き込む真冬のネパールのモーレツな冷風にやられていた。 しかもクッションも悪く、運転も荒く、谷間を走るってのにガードレールなし。 時々木の幹に白いペンキが塗ってあるだけだ。 空が白み始める頃、窓際の俺は強烈な恐怖にも襲われていた。 まるで朽ち果てたジェットコースターに定員オーバーでシートベルトなしで乗ってるみたいなのだ。 8時間後、朝もやの中バスはカトマンズに到着した。 ようやく辿り着いたカトマンズ。 後日、30ルピー(¥80)の超安宿の部屋の中で、イギリス人と焚き火をしながら話をした時、彼は言った。 「ああ、あのバスね。俺も乗ったよ、くそー。谷に落ちる確率1/45っていう恐怖のバスさ。 そして俺がその1/45に見事当たっちまったってワケだ」 髪をかき上げた彼のオデコには20針ぐらいの縫いキズがあった。 読者の皆さん、カルカッタからカトマンズまで陸路で行くのはあまりオススメできません。 ジャンル別一覧
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