春の思い出『春の思い出』春は進級、進学、卒業、入学、就職と色々面倒くせえ行事がたくさんある。 期待と不安の入り混じった、と世間では言うが 俺はそれらに焦りと不安しか 感じたことがない。そう、進級や卒業するための「追試」に頭を抱えていたのだ。 正確に言えば「3度の追試に落ちた後の本当~に最後の最後の追認」という テストに悩まされたのだが、そんな事書くと俺の成績が悪かったと勘違いされそう なので止めておこう。たまたま理数系の全教科が苦手だっただけなのだからな。 就職にしたってあのお利口ちゃんブリした自分に腹が立つ。みんなもそうだろ? 「この会社を志望した動機は?」と訊かれて口ではキレイ事並べてても心の中じゃ (少しでも楽な仕事でカネが良くって周りから「ほぉ~」と言われてえから)なんて 思ってるだろ?実は俺もそうだった。無職の時にハローワークで見つけた仕事は 家から近く9時始まりで休みが多く・・・まぁそれが最低条件だわな。 中には「苦労したって給料少なくたっていい、とにかくこの仕事がしたい!」と 熱い思いを持って就職に臨む人もいるだろう。そんな時は面接係の人の目を 見据えてこう言えばいい。「まずは採用してから判断して下さい。働きぶりが 悪かったら即日クビでも結構です。給料はお任せします。」人材を雇う方も バクチなのである。それにはこちら側のリスクを提示してフェアに挑めば きっとうまくいく。ちなみに俺が受けた面接の最短ではこんなのがあった。 履歴書も見ずに「根性はあるか?」「はい」 それで決まりだった。(笑) この仕事は何だったかは読者の想像にお任せしておこう。 そういえば小学校の入学式の日、すげえ忘れ物を俺はした。 本当は俺のせいじゃなく親のせいなんだが、親孝行の俺は親の失敗を とやかく言わない。あれは楽観主義者の母親がカマしたご愛嬌だと 自分に言い聞かせている。で、何を忘れたかというとランドセルを忘れたのだ。 当日の朝、母親は「入学式なんてランドセル要らないわよ。授業ないんだから 何も入れてく物ないじゃん」と言ったのだ。母は記念撮影というイベント感覚を 持ち合わせてなかったのだ。そのくせ自分は着物でめかしこんでたが。 美容院にまで行ったのも知ってるぞ。 さて校門の前ではナフタリンの匂いがプンプンの親子が記念写真を撮っている。 当然みんなニコヤカだ。ランドセルを背負ってなくてガックリきている俺のオーラを 察したのか、近所の明美ちゃんのお母さんが「うちの子のを貸してあげるわよ」と ありがた迷惑な言葉をくれた。拒否する事も出来ず、俺は男のくせに女物の 赤いランドセルで写真に納まったのであった。写真の俺のまゆ毛は 8時20分状態だったことをここに報告しておこう。 |