ガイド病【ガイド病】7月の終わりに高2の息子とオーストラリア人のデイヴとの3人で槍ヶ岳に登って来た。 現役高校生の息子と、週3回のジム通いでトレーニングを積んでいるデイヴに対し、 日頃ボールペンより重い物を持たない俺では体力の差は歴然である。 それでも1人だけヘバっているのはシャクなので無理して奴らにペースを合わせたため 翌日なんて便座に座る時も立ち上がる時も「ぬおお~!と」雄叫びをあげるほどの筋肉痛だった。 隣りの住人がなにごとか?と救急車を呼ばなかったのは幸いである。 今回の槍ヶ岳ハイキングでは中高年の団体ツアー(ガイド付き)を多く見かけた。 25年程前、俺が山歩きを始めた頃は中高年団体ツアーなんていなかったが、 最近は毎年団体客は増える一方で登山ガイドはかなりの需要があるらしい。 登山ガイドの仕事はなかなか大変なようだ。今回も8人の団体客を連れたガイドを見かけたが、 そのうちの1人が体調を崩しガイドさんがその人の荷物も担いでいた。 俺がガイドだったら他人の重い荷物を持って歩くなんてまっぴらゴメンである。 別途料金を請求するわけにもいかねえだろうしなあ。 数年前ヒマラヤトレッキングに行った時に俺はガイドどころか地図も持って行かなかった。 村があればそこで¥50以下の宿に泊まり河の水を飲み、自由気ままに歩いていた。 ある日俺は無料でネパール人ガイドと歩いたことがある。 彼のお客さんが足をくじき、ロバに乗せられて途中下山してしまったからである。 お客のいなくなった彼は1人で下山を始めたのだがその時に俺と出会ったのだ。 「ニホンジン、俺を雇わないか?」「必要ないよ、俺は自分のペースで歩くし寂しくもない」 「ニホンジン、どこまで行く?」「村がある所まで」「ニホンジン、あれがダウラギリだ」 「へえ、そう」てな感じで彼は延々と俺に話しかけてくるのである。 きっとそのガイドは急にお客を失って寂しかったのか、あるいはガイド職業病なのか、 まあもちろんお金目当てなのだが色んな事を話して聞かせてくれ始めた。 最初はウゼえなあと思っていた俺だが、いつしか2人はすっかり打ち解けて一緒に歩いた。 そして俺が見晴らしの良い丘の上で2~3時間休憩していく、と言った時に 彼はガイド料を請求してくることなく別れて先に下山して行った。 数日後、麓の村の居候先に帰り着いた俺は夕方の通りをぶらついていた。 すると「ニホンジン!」と呼ぶ声がして先日のガイドとバッタリ再会したのであった。 一緒に夕食を食べることにしたのだがその時も彼は「このカレーは豆を煮詰めて・・・」とか 「この料理は・・・」とか解説を色々つけてきた。もう完全にガイド病である。(笑) その時の彼の分の食事代も請求されることなく、俺は彼との時間を楽しむことが出来た。 ネパールの彼は今でもヒマラヤで登山ガイドをやっているのかな?と、 お客の荷物も担いでいる団体ツアーのガイドを見て思い出したのだった。 ※読者さんの中でヒマラヤトレッキングを計画してる人がいたら俺をガイドに雇ってくれ。 日本カトマンズ間の往復チケット代だけで手を打つぜ! ジャンル別一覧
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