最近の坊さん【最近の坊さん】この歳になると結婚式よりも葬式に参列する方が圧倒的に多い。 坊さんといえば高齢でガラガラ声を絞り出すようにお経を唱えるイメージだが、 最近は自分よりも若い坊さんが葬儀をしてくれたりする場合もある。 今回はここ数年で体験した坊さんと神主さんのことを載せようと思う。 子供が新築で家を建てることになり地鎮祭を執り行った。 地鎮祭を行う際にまず巫女さんが取り出したのはスマホである。 スマホにダウンロードした古典音楽をBGMにしながら執り行ったのだが、 途中「献饌(けんせん)」というものがある。 この時に神様に捧げる御神酒の栓を開けておく。 終盤になると「撤饌(てっせん)」という儀があって御神酒の栓を閉じるが その時になって神主さんが「あ、開けてなかった」とポツリと言ったのだった。 おぬしは献饌(けんせん)の儀の時に何やっとったんじゃい。(笑) もともとお寺と縁がなかったので母の葬儀の時は坊さんを葬儀場で選んだ。 読経してくれたのは浅黒い顔の健康的で精悍な青年だった。 サーファーがやってそうな髪型だったので翌日の葬儀の際に 「サーフィンやってます?」って訊いたら本当にサーファーだった。 そのお寺で法要をやった時は暑い日で、本堂では扇風機が回っていた。 厳かに法要が始まったが時折り扇風機の風がロウソクの灯を激しく揺らす。 そして遂にロウソクの灯が負けて消えてしまったのだが、 その坊さんは「ナムアミダ~、あ!灯が消えちゃった」と読経を中止して その場から小走りでロウソクを灯しに行ったのだった。 普通ならば読経が程良く途切れた時に何気なく着火し直しに行くだろうが 彼はその後も「自然即時入必定 唯能常 あ、また消えちゃった」と 読経の途中でもお構いなく立ち上がって着火しに立ったのだった。 それからはもうコチラとしてはお経を目で追うどころではなくなり、 扇風機がロウソクの方に首を振る度に「頼む、耐えてくれ!」と 笑いをかみ殺しながらロウソクの灯が風に耐えるのを祈っていたのだった。 法要の後の坊さんによる説法というものも大抵は極楽浄土に関する話とか 「こうやってお集まり頂くのが故人様にとっては何よりの供養でございます」的な まあ言うなればその説法こそが参列者の心に響くものであろうが、 先日の法要でのその坊さんの話は「今年はウナギが大漁らしくて」とか 「わたしの友人が6人離婚しまして残ったのはわたしだけになりまして」とか 冷たいお茶を飲みながら思いっ切り俗世間の話で盛り上がったのだった。 結婚相談所を経営してる俺の姉なんかそれ聞いて名刺渡して営業してるし。(笑) まあそういうのも有りかな、最近は派遣坊さんとかバーチャル供養とか もう宗教だかビジネスだか分からん時代になってきたからなあ・・・。 |