野宿の旅【野宿の旅】周りの知人に「今までに何回ぐらい野宿をしたことがあるか?」と尋ねたら 10人ほどの全員が「人生で1度もしたことがない」という返事が返ってきた。 俺は山歩きや星を見るのが好きだから野宿に抵抗はない。 インドのスラム街で野宿をしたこともあるし、アジアの海辺の安宿に泊まった際には 夜中に部屋から出て朝まで浜辺で寝たこともある。 街の中のホテルよりも「限りなく野宿に近い安宿」に泊まることがほとんどだ。 いかに自然の中に近い場所で眠るかが俺の宿泊の最優先事項なのである。 岡崎の康生地区で18年間店ををやっていた時は長期連休なんてなかった。 現在は店をネット販売だけに切り替えて昼はカメラマンとして働いているが、 カメラマンをやってる会社は年末年始、お盆、GWに長期連休がある。 その会社で働き始めた最初のGWに俺は「国内野宿の旅」をやってみた。 まず向かったのは山口県の秋芳台のカルスト台地。 昼間は秋芳洞鍾乳洞を見学し、コンビニで食料を買って秋芳台に着いた。 寝袋と食料を持って広大な草原を歩く。日本の風景じゃないみたいだ。 秋芳台にはクレーターのような陥没場所が無数にあるのでその中の1つに寝転んだ。 地平線近くからの街の光が視界に入らないので星空が良く見える。 星を見上げているのか見下ろしているのかの水平上下感覚は無くなる。 朝になって草原のあちこちから鳥達のさえずりが聞こえ始めて目を覚ます。 いやあ完璧な野宿だったな、秋芳台に来て正解だったなあと下山した。 下山して駐車場近くまで来たら犬と散歩しているおじさんと会った。 「ここで野宿してたのか?」「はい。いやあ良い所ですねえ」 「どこから来たんだ?」「愛知県です」「こんな何もない所にわざわざ愛知から?」 確かにおじさんの思うことは尤もである。地元の人からしたら何もないただの草原だ。 駐車場で朝露に濡れた寝袋を乾かしながら朝食のおにぎりを食べよう。 その前にトイレに行って手を洗って来ようと近くの公衆トイレに行った。 1分後、トイレから出てジュースとおにぎりが置いてある場所を見ると 1羽のカラスがおにぎりの入ったコンビニの袋を咥えてまさに飛び立つ所で 「こら!俺のおにぎりだぞ、待て~!」と手をあげて走って追いかけたが遅かった。 おっさんからは「わざわざ愛知からこんな所まで野宿をしに?」と怪訝がられ、 犬には吠えられカラスには食料を盗られの秋芳台だったが、 それも野宿ならではの醍醐味である。 翌日向かったのは山口県の日本海側に位置する青海島。 その島の高台に太平洋戦争時の軍施設の廃墟が残っており、 きれいな日本海が眼下に見下ろせるというロケーションらしい。 その施設で野宿する目的で山道の木々をかき分けて到着したのだが 確かに見下ろした海はめちゃきれいだったが軍施設で泊まるのは怖過ぎた。 すごすごと山を下りてその日は車で瀬戸内海まで行って野宿した。 夕焼けに染まる瀬戸内海はきれいだったなあ。 さて、今年のGWはどこかに野宿しに行こうかな。 |