「仮想儀礼・下」篠田節子著・新潮社08年12月刊
仮想儀礼(下) 私:下巻がようやく俺の順番がきて図書館から借りられた。 上巻を読んだブログが8月9日だから、約5ヵ月半の間が空いたね。A氏:こういう連続した小説は、あまり間が空くと上巻の記憶がなくなるのではないの?私:そうでもないね。 下巻を読み出したら、結構、上巻のことを思い出すことができたね。 下巻も、上巻同様、4百頁を超える大著だね。 上巻では、宗教団体みたいなものを作り出した一サラリーマンをやめた主人公が、次第に成功していくまでを描いているが、最後に、ある大手の宗教団体に買収されそうになる。 この話を蹴るところで終わっている。 下巻は、それを受けてその宗教団体のいやがらせなど、次第に、敵対する勢力の抵抗にあうようになる。 信者の中には、親とうまく合わず、出てきた女性もいる。 その親が、娘を帰せと叫ぶ。 マスコミもそれを取り上げ、スキャンダルのように扱う。 ある大政治家の家族がからんでいて、そのしつこい攻撃にもあう。 主人公は、もともと、神仏を信じているわけでもないので、冷静なんだが、次第に自分の意図とはかけ離れた行動を信徒がしだす。 最後に殺人事件まで発生する。 自壊していく過程が詳細に描かれているね。 サスペンス的なストーリーで思わず、一気に読んだね。 しかし、エンターテイメントとして時間つぶしにはいいが、一体、俺はこの本から何を得たのだろうかと思うと、何か当たり前の話を聞いたようで特に強い印象が残らなかったね。 年のせいかね。 すれてきたのかね。 余程の意外性がないと感銘しなくなってきたのかね。