「日本企業社員が米国で『大量投獄』」月刊誌「選択」3月号
私:直近、6年足らずの間に日本の自動車部品メーカーの関係者64人が米国各地の刑務所に収監されており、社数にすると累計39社で、デンソーや矢崎総業などいずれも有名な自動車部品メーカーだ。 これは主要メディアの扱いは乏しく、俺も、この記事で初めて知ったね。 A氏:何の罪なのかね。 私:米国司法省が有罪とした罪状は「反トラスト法」違反だという。 しかも、米国内で談合など自由競争の原則に違反する行為を行ったわけではない。 日本国内で行った行為が米国の「反トラスト法」に抵触したという域外適用。 A氏:なんで日本国内の行為が米国で問われることになるのかね。 私:日本の自動車部品メーカーは組立てメーカーの絶え間ないコストダウン要求があるのは常識だね。 自動車部品メーカーはその要求に対応して競争力をつけてきたね。 実際、日本の公正取引委員会が組立てメーカーと部品メーカーとの取引で審査に乗り出したこともあるが、結果的には「悪質性はなかった」という結論で各社はセーフになった。 A氏:そう言えば、50年以上前に、「下請代金支払遅延等防止法」というのが作られたね。 しかし、日本国内でセーフなのに、なんで米国で問題になるのかね。 私:米国の「反トラスト法」は厳しいが、理屈は「日本国内の話合いで価格を抑えた部品を組み込んだ低価格の日本製自動車が米国で売られるのは公正な競争に反する」という決めつけだという。 そして、日本企業が次々と起訴されるのは、米国特有の「リニエンシー」という制度が関係しているという。 「リニエンシー」制度は、司法省に「反トラスト法」違反事実を認めた企業には刑事責任を免れる恩典を与える一方で、カルテルへの関与をすべて告白し、司法省の捜査に協力を求められるという制度だ。 A氏:一種の司法取引だね。 私:日本企業は、社員を劣悪な刑務所に送りたくないから、「リニエンシー」制度にすがりつくから、部品メーカーは「芋づる式」に摘発されるというわけだ。 さらに特徴的なことは「1年プラス1日」という刑期だという。 これは個人の場合、刑期が1年超える場合は、模範囚だと刑期が短縮されるルールがあるためという。 これらの活動は、すでにオバマ政権下で起きている。 A氏:自動車部品メーカーへの狙い撃ちの背後には「フォードを筆頭とする米自動車産業」があり、トランプ政権でその政策はもっと強化されるだろうね。 私:「選択」では、自社のために身を粉にして働く社員が、米国ファーストの生贄となり、恐怖の米国刑務所へぶちこまれ、これが日米関係の現実の姿であるとしている。