労働滞在許可が下りる自由業は、ドイツでは法律でがっちりと規定されている。
誰でも自由業を営めるわけではなく、また、自由業に数えられる職業も決まっている。
まず、自由業は「Gewerbeordnung(営業令)」という事業法の一種に含まれないもの。
営業令に含まれるのはいわゆる商工業種なので、
そもそも儲けを図る商売ではないものということになるらしい。
加えて所得税法(Einkommenssteuergesetz) 18条や
自由業者のパートナーシップ共同体に関する法律
Gesetz über Partnerschaftsgesellschaften Angehöriger Freier Berufe
第1条には、
専門知識に基づき、他者に左右されることなく、個人の責任で、依頼人及び公共の福祉に役立つこととある。
なんか、こうしてみると高邁な職業…。
そういえば法廷通訳士とか認証翻訳士になったときは
裁判所で「宣誓!」
なんてさせられたわけで、
インディアンならぬ「翻訳士、ウソつかない」
って約束させられたりなんかして
約束を破っちゃた(つまり間違った訳をしちゃった)日には懲役3年未満だかの罰が待ってるし、
さらに裁判関係でお呼び出しがかかれば
「公共の福祉」のためにぎりぎりの報酬でお仕事へ向かう。
それもお役所仕事だから「生きられればいい」報酬な訳で。
でも、生きられればいいって、誤解したらいけない。
公的機関にかかわる報酬は通訳なら交通所要時間も含め一時間60ユーロ70ユーロ。
(2013年7月1日より改訂)
つまり、通訳中のみならず、
家の扉を一歩出た瞬間から帰ってくるまでの時間の全てに、この報酬が支払われる。
これはドイツの手工業者のお仕事と同じ数え方。
逆に考えれば、それが、
その職業をきちんと営むために鍛錬を積み重ねた報酬であり、
生きるために必要なお金として認められているということ。
自由業者はもちろん保険も税もその中から払うし。
学生のバイトとは訳が違う。
そう考えると、
日本の買いたたきの激しい通訳探しの方がよっぽどあくどい値段を出してくる。
それはさておき。
自由業に認められる職業として具体的に挙げられているのは、
例えば医師、弁護士、税理士、通訳士、翻訳士、芸術家、文筆家、ジャーナリストなど。
系列でいえば、学術系(研究職)・芸術系・文筆系・出版系・
医療系・理工(技術)系・法律経済の資格系・教授/教育系。
ただ、この中でも認められるものと認められないものとがある。
細かいところはそれぞれ検索してくださいまし。
さてさて、そうして、こんな職業を営む資格があると各方面から認められると、
晴れて自由業者として仕事を始めることができる。
しかし、税金を必死でかき集めている自治体は、
そうそう簡単には自由業に労働滞在許可を出さない。