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カテゴリ:木の話
2月はじめの社員旅行の際、清水寺からの帰りに、あまり意識せずに下から撮った写真なのですが、もっとちゃんと撮っておけばと後悔した一枚です。 手前に葉を落とした木々の枝があり、清水の舞台の骨組が見えにくいのですが、それでもこれは冬だから見える、ということでもあります。 これから、春になってくれば青葉が茂って、このアングルから骨組みを見ることは難しくなるでしょう。 縦には丸太の柱が等間隔にたくさん立っています。 高さは13m。 林立する柱を、縦横に桁を組んで支えてあります。 筋交い(すじかい)といわれる斜めの材がないのが特徴です。 筋交いというのは、水平、垂直の材料の間に斜めの材料を入れることで、三角形を形成し、壁面の変形を防ぐものです。 四角の枠組みは変形すると平行四辺形になりますが、辺の長さが決められた三角形は変形しません。 では、なぜ、清水寺など、日本の伝統建築においては筋交いがほとんど入っていないのか? 三角形というのは、材料強度、接合部の強度を超えて力がかかればその先には「破損」しかありません。 縦横だけで構成された構造体はゆれに対して「しなって」対応します。 本当に強烈な地震がくれば崩壊の危険がありますが、そうでなければ、全体がしなることでゆれを吸収し、地震が終われば元に戻ります。 そのために、金具を使わずに「くさび」で締めて固定してあります。 その様子は、上からみるとよく分かります。 雨の影響を受けにくいように、桁の上には雨よけの笠が取り付けてあります。 その桁は、柱に差し込んであるのですが、その隙間を傾斜のついた材料を差し込んで締めてあります。 これが「くさび」です。 柔をもって、剛を制す、というところでしょうか。 日本人の知恵って、すばらしいですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013/03/01 08:20:13 AM
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