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西條剛央のブログ:構造構成主義

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西條剛央

西條剛央

2006/01/28
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カテゴリ:絵本
25日は,某出版社で絵本の打ち合わせ。2年弱放置しておいた案件である。

ということで,今週の前半は絵本のネームを作っていた。

どういうわけか絵は得意な方だった。写生大会などあると,中学の頃まで学年ではだいたい最優秀賞だったから,1位/200人 ぐらいの実力はったのだろう。といっても素人の中での話だからたいしたことないのは言うまでもないのだけど。

絵なんて描いたのいつぶりだろう。鉛筆とか消しゴムとか持っていないので,妹がきたときにもってきてもらう。

最初は寝ながらなんとなくイメージをすると映像が浮かんでくる。おお,これいいじゃんとか思いながら,シーンを進めていく。

自分はイメージ力が多少ある方なのかもしれない。

たとえばめをつぶって「小さな男の子が走っている」映像が浮かんできたとき,もうちょっと斜めの方がいいかなとか,あたかも実際の人間をみる角度を変えるかのように,映像をいろんな角度から捉えることができたりすることがある(他の人がどれぐらいできるのか知らないからなんともいえないけど)。

これは心理学でいう「メンタルローテーション」ってやつになると思う。

もちろん,コントロールがうまくできなくて,像が真上から捉えるようになったり真下からになったりすることはあるし,はっきり映像化できない対象の場合,当然ローテーションしようもないのだけど。


さて,ネーム作成は初めての経験だったので,どの程度までちゃんと作るべきかわからなかったため,とりあえず全部のカットを描いてみた。

実際の絵を描くときは,ゆらちゃんと妹にモデルになってもらってシャメでとったのがディテールを書くときの資料として役立てることができた。髪型が斜めなのはゆらちゃんモデル。

昔も僕の絵の描き方は,点画ではないけど,わりと少しずつ書き足していくなかでだんだんできあがるなと思っていたが,これは今の自分なりに言い直せば「自己組織的」な描き方だなと気づく。

これは自分の本や文章の書き方と同型だ。

最初からイメージできない動物などについても,うすく鉛筆で,こうかな,こうかなとか線を描いているうちに,ああ,こんな感じだなと見えてくるのである。なんというか,おおげさにいうと線と線の関係の中に構造を見出すというか,ロールシャッハみたいな感じかな。

だから一度も描いたことのない動物などでもよくわからないなりに描けてしまうので,「へえ,自分ってこんな絵書けるんだー」というものができあがる。 これが自己組織化の妙である。たぶん小説家や漫画家などもこうした感覚を味わっているに違いない。

といってもデッサンみたいなものだし,レベルとしてはたいしたものを書いてるわけじゃないのは重々承知しているけども,その感覚自体がおもしろくて,夢中になっていて,気づいたら徹夜していた。

家に帰ってシャワー浴びてから出かける。

間に合わないので特急に乗ったら偶然知り合いの人に会っていろいろ話す。特急で一休みというわけにはいかなかった。

そうこうしているうちに講談社着。30分ぐらいで着いた。

さすが大手出版社という相当立派なビルである。

かならず受付で用件を伝えてからバッジを付けてとシステマティック。

そこここに警備員がじっと立っている。あんなにじっとしていて疲れないのだろうか。いっけん真面目に見えるが,頭の中ではいろいろなことを考えて退屈を紛らわしているのかもしれない。

講談社の幼児図書出版部長のNさんに久しぶりにお会いした。ざっくばらんでとてもいい感じのひとである。どうやらネームに絵は必要なかったようだが,絵があった方がイメージしやすいとのこと。久しぶりに絵を描いて,自分でもいろいろ気づきはあったので,まあよしとしよう。

いろいろアドバイスをもらう。当然なのだが,さすがプロであり,もっともな意見ばかりであった。

「じゃあ,最後のオチをこんな風にするのはどうでしょう?」

「あ,いいですねー。そういう案も持ってたんでか?」

「いや,今話を伺っていて,思い付いたんですが」

等々やりとりが続く。

研究書とはまたちがったおもしろさがある。

漫画家の打ち合わせもこんな感じなんだろうか。

次回の予定を決め,お礼をいって,講談社を出る。


池袋のジュンク堂にNさんも認める絵本の達人がいるらしく,品揃えがいいということを聞いたので,帰りにジュンク堂に寄る。

しかし,あまり絵本を立ち読みする気にはならず,また今度にしようと思って他のコーナーへ。


いつも思うのだが,巨大な本屋をまわっていると,その膨大な本の群れに圧倒される。

自分の書いた本は,この膨大な本の海の中の,数滴に過ぎないとか思うと何やら自分がやけにちっぽけな存在のように感じながらも,関連する書籍の多さに,「こりゃ自分で考えちゃった方が速いぞ」と不遜なことを思ったりする。


本屋は危険である。特にジュンク堂は。

ぐるぐる回っているうちに,いつの間にか数冊を手にしている。

いかんいかん。

本棚に戻してくる。

あ,でもやっぱり必要かも,なんていってまた手にしている。

専門書は高い。初めから母集団が少ないからだ。「専門家」とは少ないから「専門家」なのであって,みながみな専門家ならそれは専門家じゃなくなる。

あ,ここで言いたいのは値段が高いのは,決して価値がある(その内容が万人にとって良い)からではないってこと。

簡単にいうと,対象となる母集団のでかい方が一般的には売れるので安いのである。

ゆえに,基本的に本は安いに限るのだが,専門書としてどうにも必要なものは四の五のいってられない。

途中で,もういいやと思って予算を考えることをやめて,カゴにばっさばっさと本を入れていく。そのうちカゴをもっているのも疲れたので,その辺に放置することにした。

当然,盗まれるわけもないし,万が一盗まれようものならまた本棚から抜いてくるのみだ。

自分の本も検索してみると,びみょーな在庫。そりゃそうだ。まったく無かったり,わんさかあまり過ぎていたりするよりいい。

池田清彦で検索。

おお,『構造主義科学論の冒険』はやたら在庫があるが,これはコンスタントに売れてるってことである。 なんだか自分のことのように嬉しくなる。

とはいえ,池田先生の本ですらびみょーな在庫のものもある。まあ他の本もそうだから,そんなもんなのかも。

検索して遊んでから,1階のカウンターにいき,本を大量に購入。2冊だけ持ち帰りにして,残りを郵送してもらう。

池袋のジュンク堂には喫茶店があり,たくさん本を買うと400円の無料券がもらえるのだ。

喉も渇いたので,そこでコーヒーを飲みながら池田先生の本を読む。

『虫の目で人の世を見るー構造主義生物学外伝』。

おもしろ過ぎ!池田先生の著作群の中でもトップクラスのおもしろさだ。

笑いをこらえるのがたいへんで,肩をふるわせていた。しょうがなく本を閉じて深呼吸。落ち着いてから再度本を開くまた笑いがこみ上げてくる。周りの人や店員にはきっとヘンな人だと思われたに違いないが,どうしようもない。

この際まだ手に入れていなかった池田先生の本を買ってしまおうと思い立ち,再度4冊ほど購入する。

うーん,どの本もおもしろい。大量にレビューを書いてみた。20冊ぐらい書いたか。そのうち順次アップしたいと思う。


ということで,今日も徹夜してしまった。

実は今日から集中講義で群馬に向かわねばならない。授業の成否は,徹夜のテンションをいかに維持できるかにかかっていることは言うまでもない。






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Last updated  2006/05/29 08:03:34 PM
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