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国内ミステリー話をもう少し。連城三紀彦の感想を書いたので、次は鮎川哲也(敬称は略させていただきます)。
鮎川哲也はまさに今読んでるところ。傑作短編集(と書いてある)下りはつかり。これはもう、まさにトリック!トリックのオンパレードで、登場人物の名前なんかも遊んでて、まさに謎、パズルとしてのミステリー。読んでて楽しい。 ただこの作品集、1950年代から60年代にかけての作品集。文章は古びてない(これはすごいことだと思う)けど、ところどころ、さすがに時代を感じるところがある。 まず話し方が古い。「そんなことありませんわ」とか「よくって?」「~ですのよ」というようなしゃべり方をする人がほとんど。60年位前、東京の女の人はほんまにこんなしゃべり方してたんやろか?そして女性に関する考え方がいかにも封建的。まあ、しゃあないけどね。 それでもこの作品群には、働く女性や恋人のために探偵をする女性なんかがバンバン出てくる。刑事に煙草をすすめて、私は吸いませんと刑事が断ると、あらそうなの?それじゃって感じで、自分がスパスパタバコを吸ったりしてる。多分、当時としてはすごく進歩的な女性を描いてるんじゃないかな。 笑ったのは次のセリフ。 刑事:「(被害者は拳銃で2発撃たれたがまだ息があった)それで絞殺したのです」 女性:「まあ、むごい!なぜもう一発撃たなかったのでしょう」 何故もう一発ってあなた、刑事に、自分の昔の恋人が撃たれたあと絞殺されたって聞いていきなりそんなこと言うか?!って大笑いしてしまった。豪傑だよ。 戦後10年ほどたってから書かれた作品。たくさんの死を見てきたという意味で、女性も今よりずっと強かったのかもと思うセリフだった。そしててんこ盛りのトリックに、書く方も読むほうもエンターテイメントに飢えてたんだろうなあと感じる作品集だった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021年04月09日 09時07分01秒
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