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淀風庵の酒詩歌日記

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2011年04月25日
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カテゴリ:織田作之助
 日本軽佻派同人の織田作の原作・脚本、22歳の川島雄三による監督デビュー作(松竹映画)である。

 タイトルアップの前に「撃ちてし止まむ」の文字が画面に、昭和19年の戦争も末期に近づいた頃の緊張感が表れている。このスローガンは陸軍省が18年から採用しているもので、古事記の神武天皇東征のおり大和の国の敵に立ち向かうときの歌に4回詠まれている。「撃っておわろう」「撃たないでおくものか」の壮烈な言葉である。

 佐野周二が野戦から帰還した軍医役だが、これは織田作の文学仲間の中谷栄一をモデルにしたもの。平成21年に亡くなり、杉山さんが主宰する『文学雑誌』で追悼号が編まれた。その号には、中谷が織田作について14年前に書いた「織田作之助の眼」が掲載されている。
 なお、中谷は高津中、松江高、大阪大医学部を辿った軍医であり文人でもあって、杉山平一とともに「海風」同人であった。

 相手役は田中絹代であり、40代の笠智衆も出演していた。猛烈な戦意高揚型の映画ではなく、戦中の小学校の軍事教練や小国民の勤労奉仕の場面が取り上げられても、そこまで追い詰められた、か弱い庶民の姿でもあり、軍国への消極的抵抗が表現されているように思えてしまう。勇ましそうな態度も滑稽であったり、空々しく映るところが、織田作と川島が共有した軽佻的呼吸ではなかったか。
 戦中の口縄坂の風景が、寂しげで印象的だった。

  なお、昭和20年3月に川島監督から織田作宛ての書簡があるが、川島は「小生は何と超非常時用映画の編纂をやらされている始末。おそろしや」とある。だからこそ、つまり終戦で、思想を転向することに悩むことなく、織田作も川島も戦後いち早く、斯界で活躍することが出来たともいえよう。





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最終更新日  2011年04月26日 10時33分38秒
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