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カテゴリ:物書き
バブルの全盛期の頃だった。 晩秋の朱の紅葉に染まる嵐山の小径で 白いふわふわしたものが肩に腕に手に舞い降りた。 その時、私は雪かと思った。 案内人がそっと囁いた。 「雪虫ですわ~ 小さな可愛らしい虫でしょう?」 祇王寺の紅葉や厭離庵の紅葉を見上げながら 歩いている内、ずっと私の前を飛んでいる。 赤い景色に白い雪虫が まるで、雪の妖精のように私の眼に映った。 それから、ずっと雪虫に出会うことがなかった。 今回、嵐山で久々の再会の「雪虫」‥ ふと思った‥ 小倉山を横に眺めつつ、定家も この虫がふわりと弱々しく飛ぶのを見たのだろうか? 「晴れくもる空にぞ冬も知りそむる時雨は峰の紅葉のみかは」(藤原定家) 「雪蟲のふくらむ綿毛薄衣」(緑仙) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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