報道写真のスタンス
エールフランス機の中で、フランスの新聞や雑誌をいくつか流し読みしました。トップの見出しは、一部はリビア情勢でしたが、ほとんどは日本の原発についてでした。日本の状況を伝えながら、海外への影響も扱っているのが立場の違いという感じでしたが、おしなべて冷静な報道のように見受けられました。特に心に残ったのが「L'Express」誌の表紙です。物静かな様子で除染を受けている年配の女性の写真でした。この女性は、自分の写真がこんな風にフランスを始めとする世界に配信されているということをどこまで知っているのかなというのが、ちょっと気になりましたが、事の重大さを表しつつ静かに受容している日本人の姿は、きっと共感を呼ぶものだと思いました。一方で、日本でも大きな話題になっているのが「AERA」の表紙。「放射能がくる」という大見出しに、白い防護服とガスマスクに身を包んだ人のアップで、ゴーグルの奥に伏目がちの人の目が写っているところに、わずかに人間性を感じますが、正直、恐怖感をあおる写真だと感じました。この表紙はtwitterなどで大きな批判を浴びて、AERA編集部も自らのTwitterで謝罪しています。報道はいろんな観点で、自由に情報を伝えてくれたほうが健全だと思います。それでも、今回の表紙に関しては、「L'Express」誌のほうが人間味が感じられていいと思いました。注)リンク先は各誌の最新号紹介です。次の号が出たら、表紙の写真も差し替わります。