彼氏編 遠距離恋愛哲学「ロングディスタンスラブフィロソフィー」第2話
店のHPを立ち上げるとまずはお客様からの問い合わせや予約確認を見る。数件のうちの一つ・・「今日の予約・・・神崎ですが午後の予約を宜しでしょうか?」私を指名した問い合わせが入っている。 実はこの神崎さんは以前飛び込みで来店してくれた美人奥様である。実はあれから数度来店して頂き常連さんの仲間入りをしてくれたのである。「神崎様、いつもご利用ありがとうございます。ご予約承りました、お待ちしております」返信を返す。 普通は施術中にはあまり話もしないで(施術に集中は当然だが、お客様にもリラックスしてもらいたい)時間が過ぎる。 当然のごとく自身の支度、店の支度準備を始めた。そして・・午後。 少しずつ恋の歯車が動き出していく。「予約させて頂いた神崎です・・・」 ブルーのワンピース姿が似合う。時間通りに来店して来た。「いらっしゃいませ、お待ちしておりました」 待合室に通すと冷たい物を差し出しながら話しかける「いつもご利用ありがとうございます・・今日は・・」 定型文のようにコースや要望を聞いてさっそく施術部屋に通した。 準備が済むと施術スタート。「先生はそういえばお酒とかお飲みになりますか?」「はい、強くはないけれど飲みますよ^^」「何でもお飲みになりますか?」 「そうですね、一番好むのはビールとかウイスキー水割りとか・・」お酒のお話なんて珍しいなあ。神崎さんもお酒飲むのかな?「神崎様もお酒はたしなむのですか?^^」 そう訊く私ににこっとしながら「私も飲みますが、実は駅前の商店街にある雑居ビルの中にカウンターバーを営んでおります」「ほぅ、そうでしたか。美人ママさんですね (笑)」 なるほどそう言われればそんな感じにも見えると今更ながら納得をした。 話によると、10年以上前に旦那様とは別れてその後は実家に長女と長男の二人を連れて戻ったという事だ。幾つかの職をこなしたりしていたが実家が所有していた駅前の雑居ビルの中に現在のバーを開いたという事。時が経って長女さんは現在は大阪で一人暮らしで働いているそうで、長男さんは中学生だそうだ。なかなか頑張っているママさんである。施術が終わるとよろしかったらとお店の名刺を渡してくれた。まあ社交辞令と営業なのだろうが、「機会あれば、一度行きますよ」とありきたりな返事を返した。ずいぶん今日は色々と話しをしたなあ。そして9月の終わり頃になって試しに一度飲みに行こうかと思い店に足を運んだ。そこで、初めて20歳になる長女さんに出会う事になるのであった。 つづく人生を危険にさらせ!/須藤凜々花/堀内進之介/現代位相研究所【1000円以上送料無料】