暮しの手帖第90号。
昭和42(1967)年夏・刊。
ほぼ半世紀まえですね。
お母さん、縫ってみませんか。
1型紙は、洋裁を少しも知らなくても作れること
2ミシンを使わなくても、手縫いで、いわゆる運針ができる人なら、
洋裁を知らなくても、誰にでも縫えること
3着せてみて、こどもが可愛くみえること
この三つを目標に、暮しの手帖の衣服グループが研究してきた結果です。
すばらしい。
そして、その作り方は
意外にも
直線裁ちよりはるかに本格的。
きちんと胸囲や着丈を測って型紙をつくり、
型紙にあわせて裁断、
えりあきや前立ては見返し
袖ぐりはバイアステープで始末。
一見シンプルですが
とてもオーソドックスな裁縫ですね。
胸囲の1/10を1マスにして方眼図をつくり、
そこに線をひいて製図してゆきます。
簡単ですが、既製服の囲み製図と同じ原理ではないでしょうか。
じつに合理的。
ボタン付きのデザインバリエーションもありますが
前あきはほぼスナップ止めのようです。
広がりをなくしてすそを短くすれば
男の子のシャツも。
えりとそでをつければ、本格仕立てのシャツ、
打ち合わせによって男女どちらにでも。
運動量の多いこどもたち、女の子なら共布でブルマーをそろえる心づかいを。
大胆なプリントや、はぎれをくみあわせたり
で印象も変わります。
まず、えりなしそでなしの基本型のワンピースを縫って着せてみて、
あとはえりやそでをつけたり、
切り替えやギャザーをよせてみたり、
好みで似あうスタイルを自分でくふうするのもだいじ
と暮しの手帖編集部は説きます。
この当時の育児中の若いお母さん、
1950~60年代に娘時代をすごしたかたは、
洋裁を学んだ人口(衣服も手づくりしないと物がなかった時代)が非常に多いので
多少なりとも心得のあるかたは手順通りに型紙をつくって
ミシンをつかえば1日で4~5枚はらくらく縫えたのでしょうが、
ぜんぶ手縫いで仕上げるなら、基本型1枚に1日、2日以上はかかりそうです。
「洋裁を少しも知らなくても大丈夫、ミシンもいりません」
という名コピーは
わが実母やお祖母ちゃんのようなタイプ(たいそう不器用なうえにお金もない、同じく私も)
にはひじょうに魅力的(笑)だったでしょうが
洋裁の前知識が全くない人が
教えてくれる人なしに、はじめから完成までぜんぶ自分でできるかというと
かなり難しかっただろうと思われます。
企画じたいは大好評だったらしく、翌1968年初夏の暮しの手帖95号に
新デザインふくむ続編が載りましたが
それきりで残念ながらロングシリーズにならなかったのは
そのあたりの逡巡があった、のかもしれません。
1967年
といえば、私はまだ生まれたての赤ん坊(恥)
でしたが、写真も素敵で今みるとなつかしいです。
東京湾付近でしょうか。
「ドラえもん」に出てくるような、土管がころがっている空き地で
縦横無尽に遊ぶ子供たち。
21世紀現代では見られなくなった風景です。
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