誠実すぎるお人好し大学生×二重人格で猫な音高生
待望の完結巻です。結局恋愛として成立するのか、するのなら誰と誰になるんや?! って頭を悩ませてしまいましたが、白と黒のどちらが主導権を握るのか最後までドキドキさせてもらいましたよ。(苦笑) 宮城とおこ/著『G線上の猫』 (第3巻 '07年 全3巻) B6版 太陽図書 CRAFT COMICS/出版社・シリーズ 巻頭から篤志が自分の気持ちを認めて佐紀さんにその気持ちを宣言してしまいましたが、元々幼い頃からの理也の立場に危惧を抱いていた佐紀さんの伝わりにくい(苦笑)愛情は、理也にとって唯一の見方であったんだなぁと。佐紀さんに来日するたびに挨拶代わりに抱き付かれては、猫のように毛を逆立てている理也だけれど、その辺は何となく分かっていて感情が表に出ているのかなぁという気がして微笑ましいです。 それにしても、先輩…。寸止めですか…。1巻の終わりに対して、2巻での台詞に疑問が飛び交っていましたが、何のことは無い。『黒』は触られてB止まりであっても『寝た』と言っていたんであって、それを聞かされた篤志はそれこそ『最後までヤっちゃった』と思い込んでドンドンぐるぐるして、そして自分の気持ちに違和感がある事に気付き始めちゃった訳だけど、その度にキワどい駆け引きの元に一度ならずとも流されるんだけど、その度に引き下がっちゃったりして、相手の迷いに付け入らない『誠実さ』がじれったくて、でもそこが良くて、最後まで美味しく読み進める事が出来ました。(笑) 最後の『父との本当の意味での対決』を心に決めて日本を旅立つ決心をした理也に、そこまでの決意をさせてしまった一夜の出来事が切なくて、でもそれが無かったらこんな結末に辿り着く事は無かっただろうし、二人の関係も違った物になってしまっていたのかなぁって。やはり『黒』がその分岐点を選ばせてしまう立場になってしまった為に、翌日の結末は驚きだったなぁ…。 だから日本を発つ日に、先輩のそっと手を取られての『…好きだ 今でも』の言葉が重かったなぁ。もっと早く正直になれよ、と。1巻でそう出ていたら全然違った話になっていたよ? ホント不器用な先輩…。(泣) だからと言って、先輩に対しては思い入れも感情移入も出来なかったけれどね。あくまで篤志派だから。(笑) 3年後。空港に降り立つ理也。カッコイイ青年に成長を遂げた彼の後ろから、帰国の出迎えにと成川音楽事務所のスタッフの声が。 いや~。最後はほのぼのとしたエンディングで満足でした。マスターキーを手渡して別れた篤志を想う理也がいい感じで苦悩してます。良かったら3冊一気に読んでみてください。お勧めですよ。