女相続人 (1949年・米)
医者の娘・キャスリンのつぶやき「ワタクシの名はキャスリン。お医者さんの一人娘で裕福な身分でございますの。 それにとっても奥ゆかしいの。唯一の趣味は刺繍。腕はプロ並みでございますの。 そんなワタクシの欠点は社交性がないことかしら? 舞踏会によばれた時も殿方と何を話してよいのやら。事前にこんな会話をしようって文章を作っておくんだけど、殿方にはなぜか不評みたい…。なぜかしら?」医者のつぶやき「亡くなった妻は完璧な女性だった…はぁ~っ…。美人で明るくて…。 それなのに…あぁそれなのに…妻の血をひいたはずの我が娘はなんでこんな風に育ったんだろう…はぁ~っ…。 せめてもうちょっと明るく賢く育ってくれれば良かったのに…。 外に出すのも何だし、家に閉じ込めて刺繍でもさせておくか…。はぁ~っ…。」医者の妹のつぶやき「姪っこのキャスリンは良い子なのよ、ちょっとババ臭いけど…。まぁ居候の私とは気が合うし、年寄りとは上手く喋れるのよ。 年頃のこの子になんとかいい男をくっつけてあげなくっちゃ…。 そうそう、私のお気に入りのモーリス君を紹介してあげようかしら? 彼、イケメンだし優しいし。私があと20歳若かったら自分でアッタクしたいぐらいだゎ。うふっ♪ 欠点は無職ってとこかしら? まぁいいわ、キャスリンは相続人でお金持ちだし。頑張ってくっつけちゃいましょ!」青年・モーリスのつぶやき「俺、イケメンだし人当たりもいいから誰からも愛されるんだよな。ネックは金がないことぐらいかな。まぁいいや。金持ちの娘とでも結婚すりゃなんとかなるさ。あのキャスリンって娘は超オクテだし、俺が囁けばイチコロだろうな。まぁちょっと根暗で愚図だけど、なんたって膨大な財産の相続人だからな。」再び医者のつぶやき「くそっ…あの馬鹿な愚図娘ときたら…ミテクレがいいだけで中身のない男なんかに惚れやがって。我が娘ながら馬鹿すぎてあきれるわい。あんな男は金目当てに決まってるじゃないか。俺が追い返してやる!」再び医者の娘・キャスリンのつぶやき「モーリスさんはワタクシを愛してくださっているわ。あぁ…ワタクシは世界で一番幸せだわ。でも…なぜかお父様は反対なさるの…。非の付けようのない良い方なのに…。ワタクシ、悲しいわ…。」さてさて…それぞれの思惑が交差する中、ある事件が起きます。奥ゆかしさだけがとりえの根暗で愚図な娘。彼女の性格が180度変わってしまいます。まるで昼ドラか大映ドラマのヒロイン並みの大変身。このまるで一人二役に近い役を見事に演じたのはオリビア・デ・ハヴィランド。この役でアカデミー賞主演女優賞を受賞しました。モーリス役はモンゴメリー・クリフト。さて、愚図女の逆襲はいかに???『女相続人』1949年アメリカ映画