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詩集の中の栞のように~裏ブログ~

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2013/11/16
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カテゴリ:尊敬する先生方

入試問題というのは、作問している段階で、「模範解答」が作問者の頭の中に出来上がっていることが多い。このことは実際に入試問題や模試を作ってみると分かる。例えば、国語の傍線部問題を作る際、その傍線部の解釈や理由が出題者の頭の中に既に存在しており、その上でその部分に傍線を引くのだ。

これは、何も入試問題や模試の問題を作るなんて大げさなものでなくてもいい。たとえば、国語の授業中、文章を読んでいてふと気になる部分に出くわすことがある。指導者は「生徒達はこの部分の意味わかってるかな?」と頭の中で考える。そして、それを確認するために、「この部分の主人公の気持ちが分かる人いるかな?」と生徒に発問する。この時、先生の頭の中には「模範解答」が浮かんでいるはずである。これだって立派な作問だ。

塾講師というのは、授業中、あらゆる場所で「作問」を行っている。それを「発問」という形で生徒に提示する。もちろん、その全てに解答が存在しているとは言い切れないが、多くの場合、講師の頭の中に「模範解答」に近いものが出来上がっているはずである。


入試問題においても、問題作成者が作問した段階で、自然と解答例が出来上がっているという事実は、それほど不思議なことではない。むしろ、そのように考えるのが自然だ。そもそも、模範解答がなければ客観的な採点が出来ない。

 

つまり、日比谷高校の英語にせよ都立中学の適正検査にせよ、解答例を出していない学校は多いのだが、「それでもやはり模範解答は存在する」と考えることが受験指導の肝なのである。


1つ前のブログで述べたが、このタイプの入試問題は大変おそろしい。なぜなら、指導者の力量がそのまま入試結果に結びついてしまうからだ。


最近、入塾面談でこんな話を聞くことが多くなった。「(小学校の時に通っていた)塾の授業や模擬試験では良くできていたのに、都立中入試で不合格になってしまいました」というものだ。もちろん、本人が入試当日のプレッシャーで力を発揮できなかったという原因もあるかもしれないが、実はそうではない場合も多いと私は見ている。


入試当日、本人には手応えがあった。塾で指導されたように答案も書いてきた。しかし、それでも不合格になってしまった。


このケースでは、塾側の指導が間違っていた可能性を疑わないとならない


数年前、都立中高一貫校の指導をしている先生方とお話する機会があった。二人の若い先生であった。たまたま雑談中に見ていたテキストの問題で、お二方が資料の読み取り方を誤解していたので、僭越ながらアドバイスをさせて頂いたことがあった。

当塾は都立中高一貫校の指導はしてないのだが、実際の入試問題と、その塾で使用されている教材の解答を見て、少々模範解答に疑問を感じた次第である。都立中側が求めているであろう解答は、おそらくその塾で指導されている解答とはずれているだろう。そう直感した。

 

これは大変大きな問題を示唆している。すなわち、その塾やその教材でいくら頑張っても、そこの塾生は合格できないということを意味しているのだ。同様のことが、都立高校の推薦入試指導でも起こっていると私は予想している。

 

ところで、塾・予備校業界では、論述・記述問題の指導について、次のようなことがよく言われる。

「受験生は制限時間内に答案を作らないといけない。だから、小論文や記述問題の指導で、講師が入念に予習して作った完璧な解答例なんて意味がない。あんなもん受験生には作れやしないさ」というものだ。


確かに、この主張は間違ってはいない。その通りだと私も思う。しかし、だからといって、塾の先生は入念に精査した模範解答を作らなくていいという理屈にはならない。指導者であるならば、じっくりと入試問題を分析し、満点(近くになるであろう)答案も1つは作っておくべきだと私は考えている。

満点答案を目指して解答作成しなければ、大学側・高校側が要求している解答が分からない。もしその解答を作るのに数時間かかるなら、それでも構わないと思う。時間短縮は後から考えるべきことだ。スポーツでも勉強でも、最初から時間短縮をすることなどありえない。まずは正しいフォームを身につけ、その後時間短縮を目指すことが、物事の道理であると私は考えている。

それに入試問題を作る側は膨大な時間を作問に費やしている。それに立ち向かうためには、我々だって膨大な時間を費やし研究を行わねばならない。そうでなければ互角に戦えない。

 

都立中高一貫の適性検査は、採点者によって合否に有利不利があると言われているが、実際はそんなことはないだろう。そんな運不運によって、優秀な受験生を逃すことなんて学校側だってやりたくないはずだ。おそらく都立中学も都立自校作成校も、採点は「合議制」によって行い、客観的に合否が決められている。そして、その際、明確な採点基準は間違いなく存在しているはずである。


都立中入試や日比谷英語の恐ろしいところ。それは、塾で習ったとおりに解答を書いても、それが学校側の用意した「解答例」と大きくずれている可能性があるということだ。だから塾講師は研究を重ねねばならない。生徒が1勉強するなら、指導者は10勉強しなければならない。上江洲先生の授業を拝見し、上江洲先生と授業前後にじっくり話すことによって、そんな思いを強くした次第である。






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Last updated  2013/11/17 04:27:12 AM
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