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2010.01.03
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カテゴリ:国際経済
 日航の再建策の迷走は、法的整理を踏まえた最終判断を下す段階になっている。巨額赤字の要因は国際路線の収益悪化にあるという。3年間で日航を黒字化させるには、国際路線の切り離しなども検討されていた。再生支援機構の方針は縮小黒字化に尽きる。経営規模を小さくして、赤字の要因を一つずつ消していく。しかし、数千億円の営業赤字をどうやって消していくかの方策は見えていない。
 航空業界に精通していない再生支援機構の再建案を日航首脳は強く批判している。日航を実質支配してきた国土交通省も、国際路線切り離しに批判的になっている。格安航空会社の進出によって、日航の国際路線が黒字化する見込みは薄い。再建案のどれもが、あるべき日航の姿を描き切れていない現状がある。
 そこに、全日空による国際線の買収が働きかけられて驚かせた。巨額の赤字を生み出している日航の国際路線を切り離して、それを全日空が継承する案になる。この譲渡が成功すれば、日航は地獄の赤字体質から脱却できる。国際路線を扱う企業が一本化することにより、航空産業の強化も図れるというシナリオになっている。成田空港には発着枠の制限があり、どの航空会社も自由に増便はできない。その意味で、日航の国際路線を全日空が継承する価値はある。航空産業を熟知している全日空が国際線の改革を行えば、赤字削減も可能になり、公的な資金の投入も減る。双方にプラスになる未来図を描きだそうという狙いだろうが、野望も見え隠れする。
 再建屋が紙の上の計算式だけを押しつけても、日航再生は難しい。運送業というものは、乗客の信頼がものをいう。日本人に親しみのある全日空に国際線を一本化したほうが効率化する。しかし、国際線の譲渡案は、日航の露骨な敗北を意味しており、小さな国内専門会社として再出発するしかなくなる。赤字削減が成功して、経営が再建できたとしても、小さな航空会社として地味に生きるしかない。これを日航経営陣や国土交通省が受け入れるかは疑わしい。
 ここから、日航政治ドラマが始まることは、ほぼ間違いない。短期間の黒字化を優先すれば、法的整理しか道は残されていない。それは信用の喪失につながり、滅亡に行きつく。年間数千億円の赤字体質をそのままにして、事業が継続できるわけがない。国が資金を投入して株式を買い取り、国営化してゼロからやり直す方策もある。しかし、国土交通省の干渉があるうちは改革は進まないだろう。分割譲渡案は有力な解決策になる。それでも、国際線を全日空に譲渡し、残された国内部門を海外資本に売り渡せば、見事に日航は消滅させられる。利権が複雑にからんでいる業界で、このような解決策が受け入れられるかは神のみぞ知る。





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Last updated  2010.01.03 11:30:25
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