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萬華鏡-まんげきょう-

トロイ

TROY


【あらすじ】
一つの国を破滅させかねないほど情熱的な愛それは皮肉にも、スパルタとトロイの確執の歴史に幕が下ろされようとしていたまさにその夜成就した。
スパルタ王メネラオス(ブレンダン・グリーソン)とトロイの王子ヘクトル(エリック・バナ)が長年にわたる戦いの終結を祝って宴を開くしかしそんな中、ヘクトルの弟であるバリス(オーランド・ブルーム)は、絶世の美女と謳われた、メネラオスの妻ヘレン(ダイアン・クルーガー)に、尾さえ切れない思いを抱いていた。
許されぬ愛と知りながらも、若さゆえ、情熱のままにバリスはヘレンを奪い去ってしまう。
その振る舞いが、史上最大の「愛」のための戦いを引き起こすことを、二人はまだ知らずにいた。
バリスの行為は、メネラオスにとって侮辱であり、ひいては一族、ギリシャ全体への侮辱でもあった。
名誉のためにもヘレンを奪回する。メネラオスの兄であり強大な力を持つアガメムノン(ブライアン・コックス)は、4万ものギリシャ軍をトロイへと進軍させる。
だが実は、アガメムノンにはさらなる欲望と真の目的があった。
トロイを征服し、己の強大な定刻をより強固なものとすること。
アガメムノンのあくなき欲望の達成のため、バリスの行為は都合のよい口実となったのだ。
トロイのプリアモス王(ピーター・オトゥール)は、ギリシャ軍と戦うか、
王妃を返し、己の愛に忠実だった息子を処刑するか、選択を迫られる。
トロイはいかなる軍も破ることの出来ない城壁都市として知られていた。
”トロイの民は決して異国に屈しない”王の誇り高き決意と共に、その国はギリシャ軍との全面戦争へと発展する。
難攻不落のトロイを攻める・・・その鍵を握るのは、ギリシャ軍最強の戦士と呼ばれるアキレス(ブラッド・ピット)だった。
戦うのは自分自身のため、そして歴史に名を刻み、限りある命を不滅のものとすることを何より切望する男だった。
彼は預言者でもある母テティス(ジュリー・クリスティー)から、この戦いに向えば死ぬ、と予言を受けていた。
だが、その運命に抗うようにアキレスはトロイへと向う。
そして、その激動の中、彼は自分の運命を大きく変える事になる女プリセウス(ローズ・バーン)と出会う。
最強とおそれられる自分にも屈しない信念を持ったプリセウスに惹かれるアキレス。
しかし、かねてからアキレスに侮辱的な態度をとられていたアガメムノン王は彼女を連れ去ってしまう。
アキレスはプリセウスを取り戻すが、これ以上、王のために剣を抜くことを拒否し、船を故郷へ向けようとする。
アキレスの抜けたギリシャ軍の士気はみるみる下がっていくそして、ヘクトル率いるトロイ軍は屈強な敵へと姿を変えた。
だが運命はアキレスに予想もつかない悲劇を用意していた。
悲しみの中でアキレスは再び剣を取り、ヘクトルとの戦いを決意する。
それが両軍に恐ろしい破滅をもたらすこととなるのだった・・・


時を越えて、男たちは戦う。
ある者は権力のため、ある者は栄光のため、ある者は名誉のため
そして、ある者は愛のために・・・。

TROYプログラムより抜粋


【あめみこの感想:ネタバレあり注意】
まずギリシャ諸国での争いのシーンから始まる。
見るも恐ろしい大男とブラッド・ピット演じるアキレスの対決シーン。
ブラピの肉体は驚くほど頑強なボディへと変身しているのには驚かされます。役者魂・・・すごい!
あ・・・っという間の一撃で大男は倒され、アキレスは勝利する。

この逞しい男、アキレス。
いまでいえば、上司ともいえる『王(アガメムノン)』に対しても全く飄々とした態度でいるのです。
この男のため、もしくは国のために戦うのではなく、あくまでも「自分のため」
実力者ならではの自信からくるものでしょう。
戦士としては誰にも負けることのない頑強な肉体と精神力をもつが、その魅力はそれだけでなく、世俗から少し離れた雰囲気をも醸し出しているあたりが、
カリスマ戦士とした崇められた理由ではないか?と思うのです。

アガメムノンもアキレスがいなくては、ギリシャ諸国を統一する王にはなれない。
だけども、目の上のタンコブには変わりなく、非常に扱いづらいと逆ギレするあたりは見ていてもかなり面白い。
デキル社員に無能な社長。これは昔も今も、人々が好きな笑い話のパターンかもしれない。

オーランド・ブルーム演じる「バリス」
世にも稀な美貌を持つ、いわばプレイボーイ。この男が夢中になったのはスパルタの女王「ヘレン」。結婚したくもない男と結婚をさせられ、瞳から輝きを失ったまま拘束された
生活を強いられているため、ついにバリスの存在により解き放たれる。
絶世の美男子と美女。見ているだけでも絵になります。目の保養。

それにしても、かなりこの二人。無謀なことをしてしまう。
気づけば、スパルタからトロイ王国に向う船の中にちゃっかりヘレンを隠している。
お兄さんのヘクトル(エリック・バナ)も「勘弁してくれ、弟よ(T_T)」と言った感じでしょう。
それでも、意を決して弟のために国に戻っていくのは弟を思うがこそ・・・
このままスパルタにヘレンを返しに行ってしまえば、弟バリスは間違いなく処刑されてしまう。
このヘクトル、バリスの父王プリアモスにおいても、息子の愛への忠実さを知り、スパルタとの戦争を受け入れるに至るシーンでは、つい感動してしまいます。(戦争はいけないことですけどね)

ついにギリシャ軍が進軍。
アキレスが先頭となり、全くの少人数でトロイの浜辺で戦いの火蓋が切られるが、圧倒的強さで浜辺を侵略。
アキレス一人の存在が、他の軍の士気を左右するとは「王」も利用せざるを得ないのです(くやしそうだけど)
ここではアポロンの像の首をアキレスは切り落としてしまいます。これが後々、神アポロンの怒りを買う結果になったのでしょうか???

バリス王子とメネラオス王との、ヘレンを巡る愛の決闘。
バリスは兄ヘクトルと違い、全く剣は使えない状態。結果は目に見えてバリス劣勢。
危うく首を切られそうになったとき、ヘクトルに追いすがるシーンはちょっと情けなくて残念でした。
CMではまさに「ブラピVSオーランド」のような宣伝だったのに・・・。
ロードオブザリングのレゴラス役で一躍スターダムにのし上がったイメージが強いため、弱弱しいヤサ男ぶりにがっかりするオーランドファンはかなり多かったことでしょう(^^;←それでも美しいから許す、うん。
だけどその後、ヘレンに「なんて自分は情けない男なんだ」と嘆くバリスの様子には、世の女性の母性本能をくすぐったに違いない(笑)

何と言っても、この映画でブラピの次に目立ってカッコよかったのはヘクトルでしょうか。
勇敢で、強く逞しい、そして家族思い。また気高き王子でありながら民衆に優しく、将来の良き王となる存在だったことでしょう。

アキレスと思い込み、パトロクロスを殺してしまい、復讐にやってくるときには既に自分の死をも覚悟しているが、逃げ出すことなく勇敢に立ち向かう。ハラハラしました。どっちにも死んでほしくなかったから・・・
しかしアキレスの剣の前にヘクトルは倒れ死んでしまう。
城内で夫が殺されてしまった瞬間の妻と王プリアモスを見ているとこちらまで胸が引き裂かれそうになりました。
今も昔も、兵士を送り出す妻や母、家族たちは「なぜ戦わなければならないのか、命を投げ出さなければならないのか」
考えなければならないのは同じような気がしました。

トロイ王プリアモスが身分もかえりみず、家来を一人のみ連れて敵地アキレスの下へやってくるシーンは泣けます。
アキレスに対し、「あなたの父上は幸せだ、なぜなら息子の死を見ずに死ねたのだから」と言う。
さすがのアキレスも、この言葉に心を動かされてしまったようです。

アキレスの心の動きが、ブラピの演技により素晴らしく映像化されています。
名を残すため最強の戦士として戦い続ける・・・その倒した相手には、その死を悲しむ家族が必ずいるということ。
なぜ殺さなければならないのか、なぜ自分はそういう生き方をしなければいけないのかを常に自分に問いかけ苦悩する姿が見ていても辛い。
プリアモス王にヘクトルを引き渡す直前、彼の遺体に向かい涙を流し「兄弟よ・・・」というシーンでは血も涙もないと思われている戦士アキレスの優しい心を垣間見ることができるのです。
自分でも自分の運命に逆らうことの出来ない歯がゆさが彼の中にあったのだと思う。

アキレスが、プリセウスに愛し始めたことも、彼の人間として元々あった優しい心を蘇生させたのだと思う。
ようやく、愛する人と巡りあい、もしかしたら母テティスの言うように子孫を残し幸せに暮らせていたかもしれないのに・・・

トロイの木馬。
これが噂のトロイの木馬か、と思いました。
「いけない、それを入れたらダメダメ」・・・だけど、ギリシャ神話でも有名なこの木馬がトロイ王国に入らないと話は結末を迎えないのだから仕方がないですね。
それにしても、よくも長時間、あの木馬の中に潜んでいられたものです(笑)

トロイ炎上。難攻不落の城が陥落した。ものの終わりはこんなにあっけないものなのかと王プリアモスも思ったのではないでしょうか。
息子の愛を貫かせるため招いた戦いと災い。ちょっと、いやかなり・・・かわいそうです。かなり立派な王であったのに、神はどうしてギリシャ軍を味方したのでしょう??全く、神々は気まぐれです。

アキレスはプリセウスを探し、やっと巡り会えます。ヘクトルの遺体をプリアモス王に返すときに、捕虜としてでも傍に残しておけばよかったのに・・・・・・(爆)

バリスが弓矢によりアキレスのアキレス腱(神話では弱点とされている)を射抜きます。これはバリスが弓を射るのがヘタクソだったわけじゃないんですね(笑)アキレス腱を射たのはちゃんと意味があるのです。
弓矢を放つオーランドはレゴラスとかなりダブります。そしてさすがに様になっている。素敵です♪
どっちにせよ、無敵だったアキレスが矢によって倒れた、というのは、このトロイ戦争の冒頭でアポロンの像の首を落としたことの報いとなったのではないでしょうか。
神話でのアキレウスがアポロンを冒涜したかどうかはわかりませんが、ここに映画で見る話が繋がっていくのではないか?と思ったのです。アポロンは弓矢の名手だったようですから。

そして最強の戦士アキレスも、愛の前には無力でした。
今でも戦争は続いています。
愛があれば、戦いは起こらないのでしょうか?そして止めることはできないのでしょうか?
戦争により人が死ぬことに、将来の新しい展望は開けるのでしょうか?
今も行われている戦争と、その戦争へ送り出す家族たちの悲鳴がこの映画を観ていると痛感します。
そして、紀元前も現代の世の中も、人間は愚かしいということを教えてくれるような気がします。

ライン(文様)


さてここでちょこっとギリシャ神話です。
細かく話すとすごーく長くなるので、かなり端折ります。

そもそもトロイ戦争が起こったのはなぜでしょう?
(史実としてこのトロイ戦争が記されてるのではなく、あくまでもギリシャ神話として語られています。)

神々の住まうオリンポス。ここで、英雄ペレウスと女神ティティスの結婚式が行われていました。
ここにお呼ばれされなかった女神「エリス」が、超~ムカついて、悪戯を仕掛けるんです。

「最も美しい女神に」そう書いて1個の「黄金のリンゴ」をテーブルに置きました。

これを見つけた3人の女神たち。それはもう大騒ぎです(^^;
「ヘラ」(ゼウスの正妻で神々の女王)
「アテナ」(知恵の女神)
「アフロディーナ」(美の女神)

「それは私のものよっ!!」
3人の女神、一歩も譲らず。。。埒が明きません(^^;

そこで、3人の女神は「ゼウス(神々の王)」にその決定を委ねるのです。
「さぁー、誰なの???言ってごらんなさい」

さすがのゼウスもこの決断だけは出来なかったのです。
だって、1人を選べば後々恐ろしいことになるでしょう???
責任逃れをするために、「トロイの王子バリスに裁定を求めよ」と言い渡します。

そこで3人の女神はすぐさまトロイ王子バリスの下へ舞い降ります。

そして自分を選んでもらうために、3人の女神たちは「賄賂」を言い渡すのですねー。
女のプライドとは恐ろしい。(神も人間も同じ?)

ヘラは神々の女王なので、「地上での支配権」を約束しようと言い、
アテナは知恵と戦いの神なので、「全ての戦いに勝利できるよう知恵を授ける」と言い、
アフロディーナは美の神らしく「この世で一番美しい妻をプレゼントしよう」と言うのです。

バリスが選んだのはアフロディーナの「絶世の美女を妻にすること」でした。
地位より名誉より「女性」を選んだのは、プレイボーイのバリス王子らしいこと・・・

さてアフロディーナは約束どおり、約束を果たします。
バリスがギリシャのスパルタに親善使節として派遣するよう仕向け、スパルタ王の妃「ヘレン」を会わせるのです。
「ヘレン」は絶世の美女。バリスも一目ぼれです。
「ヘレン」もアフロディーナの息子エロスの射た黄金の矢を受けてバリスを心を奪われてしまいます。
これ、全部神々の「策略」だったのね・・・

ここから映画と同じように、バリスはヘレンをトロイへ盗んで帰るのです。
怒ったスパルタ王はアガメムノン王とトロイを攻撃することを決まるのも映画のとおりですね。

では神々がどちらの国の味方についたのでしょう。

当然、バリスから黄金のリンゴを受け取ったアフロディーナはトロイ側、アポロンもトロイのヘクトルを味方しています。
これに対して、自分を「美しい女神」に選ばなかったことに「チョームカついている」ヘラとアテナは当然、ギリシャ諸国連合を味方します。また海の大神ポセイドンもギリシャの味方。
ゼウスはというと、どちら側だったんでしょう。最終的にトロイが陥落したことを考えると、正妻ヘラが怖いのでギリシャ側を勝たせた?のでしょうか。
ゼウスは神々の王ですが、恐妻家だったようですね。
浮気者だったようですが、最期まで正妻ヘラにだけは頭が上がらなかった、と言われていますから(^^;

一人の女神が自分だけ結婚式にお呼ばれしない、そんなことで腹を立て不和のリンゴを悪戯に放り投げたために、トロイ戦争は起こったのですね。
ギリシャの神々も人々に崇められているものの、極めて人間的ですよね。


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