お婆さん、スーパーへ
歩道を歩いていると、自転車に乗った八十歳くらいのお婆さんがまえからやってきて、わたしのよこで止まった。スーパーの場所を尋ねてきた。ちょうどいまむかっているところだったので、いっしょにいくことにした。いったん自転車を降りると、ふたたび乗って走り出すのにたいそう手間がかかるようだ。三十秒くらいかかった。歩き始めた。最初はよこを走っていたが、気がつくと後方十メートルくらいのところにいた。そんなに速く歩いているわけじゃない。歩足をゆるめた。ハンドルがゆらゆら揺れていて危なっかしい。こころなし不安げな表情だ。いつもの五倍の時間をかけてようやくスーパーに着いた。安堵した顔でありがとうございましたと礼を言われた。では、と言って分かれた。母が生きていればこんなふうな感じなのかな。------------------------------------------<ほっと一句>そっぽむきよこめでこちらみてる鶴