たらいこぎ選手権
せんだって、お盆に田舎に帰省した私だが、「たらいこぎ選手権」に参加もした。 大会の様子はこんな感じでした。http://picasaweb.google.com/taraikogi/23# 町おこし的な感じの夏のイベント。いちおう「元祖」と謳っている。 池に浮かべたたらいに乗って、手でこいで進むレースだ。 大会の前の日に公開練習ってのがあって、会場の池で練習させてもらえるようになっている。 だってさあ、たらいに乗って手で水をこいで進むなんてやったことねえだろ。予行練習はしておきたいよね。 やってみてわかったコツとしては、たらいの真横で水をかくと進みが良い。しかし、その部分はたらいの直径部分なわけで、最も幅がある。つまり腕が長いほうが有利な競技ってこと。 何往復もさせてもらえるので、たらいの中のどの部分に座ったらいいのかとか、上半身を伏せたほうが長い時間水をかけるなとか、いろいろと試しつつ、池に浮かんで遊んでた。 翌日の本番は案の定アレですよ。筋肉痛。 上腕三頭筋を酷使する競技なんだけど、そんな部分は普段使わないから、もうガッチガチ。 明らかに稼動域が小さくなっている。痛いので動かせないのです。 しかし、もう参加申し込みもしてるし、レースしてみたいし。 出るからには全力。それが祭りの楽しみ方だ。 最初は勢い良く出ましたよ。隣の選手と競り合いましたよ。後ろになると水をぶっかけられるのだ。予行練習でつかんだコツを意識して、脳内で筋肉痛のスイッチを切って、伏せてガンガンですよ。 乳酸が貯まる。 知識としては知っていました。自転車マンガ『OverDrive』を読んでたからな。 脳が指令を出しても、筋肉が動けなくなっている。 腕を動かすことが、マジでできない。「…この境地かッ!」と、ちょっと感動したね。 痛覚は騙せるんだけど、筋肉に乳酸が貯まると本当に動かなくなるんだね。 もう気合とか根性じゃない。 なぜ自転車ロードレースでは、走りながらクエン酸を摂取するのか。意思とは無関係に筋肉が動かなくなるからなんだなあ。(某国で格闘術の軍事教官をしていた友達に聞いたら、動かなくなってから動かすのが「根性」って言われるヤツで、スポーツの世界の根性論は、この境地からじゃないと意味が無いという意味の話をされた。動かすのか、精神力で!) いや、びっくりした。 子供でもジャバジャバ進んでるのに、上位の人はすでにゴールしてるのに。 オレは池の真ん中へんに浮かんで、たらいのフチで手首だけ回してる。それしかできないし。 練習のし過ぎで、本番をしくじったでござる。 とりあえず、実況の兄ちゃん姉ちゃんから「いじられキャラ」の役割をもらって会場のマスコットとなり、ボートに乗ったスタッフにたらいを押されてゴールイン。 進行を遅延させてしまうなんて、屈辱だッ。恥だ。 汚辱にまみれながら、沼臭いカラダで妻と一緒におにぎりを食べていると、アキアカネが池の周りを飛んでいるのが見えた。ツクツクボウシの声も聞こえてくる。 盆の東北の山はすでに秋の気配を出し始めていた。 オレの公式記録は2分54秒16。 コースレコードは1分15秒80。 距離は42.195メートル。