昭和の戦国自衛隊
昨年話題になったリメイク版の「戦国自衛隊1549」に思いあまって前作をあらためて観た。舞台は戦車もヘリコプターもない戦乱の世、突如現れた自衛隊。というより愚連隊だろう。その奇怪な格好と持ち物に目をまるくする武将達。そのあたりは原作本の方が面白い。この完全武装の連中が下克上の世界で天下を取ろうとする。それはなぜか、歴史の復元力で 元の時代へ戻るために。..このへんがSFたる由縁のまどろっこしいところで、疑問をもっちゃいけません。はたして彼等は現代へ戻れるのか..。しかし、しだいに野望に目覚めるのがサニー千葉演ずるところの伊庭 三尉なのであった。この伊庭三尉の友となるのが長尾 景虎なる武将。やはりこの映画を一際ひきたてたのがこの役の夏八木勲の演技だろう。 鎧兜がこれほど似合う俳優はいない。自衛隊の戦闘服に比べ昔のいくさの装束が優雅にみえる。ほかにも懐かしい名優がでてくるあたりは、角川流といったところか。ムッシュかまやつの自衛隊員姿など二度とお目にかかれない。やはり原作に近いほうが個人的にはいい。「戦国の世に、もし自衛隊が現れたら・・」この発想がそのまま映画に生きている。小理屈やへたなCGなどに頼らず俳優でみせる。エンタメ満載?の昭和の映画だ。まあ好き嫌いはあるにせよ、あのリメイク版とは似て非なる映画であることは間違いない。セリフの中に「昭和の時代に戻る」というのがあるが、平成の時代にそんなセリフを聞くとどこか映画の結末と結び付けたくなった。そうそう平成の戦国自衛隊員は二泊三日くらいで戻ってきた。さしずめ国内出張だなあれは。