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今日の毎日新聞に、篠田節子さんが体と気について書いてました。
なんか、最近睡眠障害気味の私、↓読んで、なるほどなぁと。 ちょっと長いけど、転載します。 ・・・・・・・・・・・・ 第7回 カラダの声を聞く=篠田節子 6、7年前のことになるが、たまたま学生対象の合宿ゼミを企画したことがあって、 一緒に委員を引き受けている先生方と、頻繁にメールのやりとりがあった。 ちょうど更年期真っ盛り、寝付きはいいのだが、3時間後、 なぜかきまって午前3時に目覚める。 中途覚醒(かくせい)ってやつだ。しかしそこは自由業の気楽さ。 さっさと起きて、まずメールのチェック、必要な返信を済ませた後は、 即、仕事にとりかかる。 後は短い昼寝で効率的な短時間睡眠。私ってデキる女……のつもりでいた。 数時間後、送信時刻を見た先方から深刻な調子で忠告のメールが来た。 「変な時刻に起きているのは止(や)めなさい。身体と精神のバランスを崩し、 さまざまな心の病気が出てきます」 学者としての業績もさることながら、合宿ゼミでは、 徹夜の議論で寝入った学生たちに毛布をかけて歩くような「子育て先生」だったからこそ、 生活パターンと身体の状態が、心の問題に結びついていくことを熟知していたのだろう。 その真摯(しんし)で説得力のある言葉に慌てて生活パターンを改めた。 同じころ、やはり企画委員の中に、はっと目を引く美貌(びぼう)の女性教授がいた。 同年代か年下、と思っていたら、とんでもない。遥(はる)かに先輩だった。 中世だったら火あぶりにされそうなその異様な若さの秘密は、 セサミン(ゴマの健康パワー)でもゲルマローラー(美容器具)でもエステでもなかった。 教授として母校に迎えられたとき、いきなり体育実技を担当させられたのだと言う。 50を過ぎた生理学の先生が、 18、19の男子も含めた学生の体育実技指導を命じられるとは、 私には嫌がらせ人事のようにも思えるが、先生はそれを機にランニングを始めた。 職務全うのための背水の陣。ところが思わぬ副産物があった。 それまで抱えていた不定愁訴に、あちこちの身体不調、不眠が一掃されてしまった、とのこと。 その後先生は、学生たちを引き連れ、駒場のキャンパスから代々木公園まで走る。 運動は学生たちに体力向上だけではなく心の活力をももたらした。 さらにその後のペーパー試験の成績も明らかに向上したとのこと。 心の問題に関して、すべてのケースをカウンセラーや精神科医に委ねるのではなく、 まずは走らせてみたら、と先生は語った。 こんな仕事をしていても、私は「自分をみつめる」という言葉が嫌いだ。 自分の心などいくらのぞき込んでも、 現れるのはめまぐるしく姿を変える幻覚めいた自己像だけだからだ。 病は気からと言うが、むしろ身体の状態と生活パターンの方が、 心や物の考え方を左右していくのではないか、という思いを、 二人の「子育て先生」の言葉に触れて強くした。 いずれにせよ、これだけの健康ブームと「見た目が9割」の風潮の中で、 実際のところ身体の問題がないがしろにされているような気がしてしかたない。 「そのあたり突っ込んだ指導をしたくても、 今度はセクハラだなんだかんだと言われるしね」と、件(くだん)の女性教授はボヤいた。 一部の不埒(ふらち)な輩(やから)のおかげで、 まともな指導や治療が妨げられている教師や医師も多いのだろう。 確かに、身体、と言えば、性の問題と切り離せず、歪曲(わいきょく)されて、 薄ら笑いや顰蹙(ひんしゅく)、羞恥(しゅうち)をともなって忌避される面があるのだ。 性、食、運動、眠り。心の問題に心を悩ませる前に、 身体と生理についてトータルに捉(とら)え、オープンに語り合う場があったらいい。 なお冒頭に挙げた私の不眠は、ジム通い等で多少は好転、 最終的にはホルモン補充療法を選択し一件落着したのだが、その経緯は別の機会に。(作家) ・・・・・・・・・・・・ 特に、↓ 本当にそうだなぁって思ったよ。 ・・・・・・・・・・・・ 自分の心などいくらのぞき込んでも、 現れるのはめまぐるしく姿を変える幻覚めいた自己像だけだからだ。 ・・・・・・・・・・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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