デコ物語~誕生
それは、耳がちぎれるほどの寒さが続いた2月中旬のことだった。まだ予定よりも1ヶ月も早く、だれもがそれには驚かされた。まったくの予想外の出来事であった。そう、それは、デコの誕生である。 2190g。素敵なる未熟児だった。しかも逆子。いまのデコを思うに、母親の胎内で、相当 暴れたのだろう。しかし、このことがデコの今後を決定づける事件へとつながっていくことになる。デコの胎内から引き出すとき、看護婦さんは不用意に足をつかんだのだ。そのときは、だれも気がつかなかったがこのささいな行為で、デコはショウガイの宝を手に入れることになるのである。 取り出されすぐ箱入り息子となり、1日、"ちょっとCCのミルク"での生活を送る。両親は毎日、無事に育つか気が気ではなかったらしい。いまからは、想像しがたいことではあるけれど。両親の心配をよそに、その後はすくすくと、成長し、箱入り息子も無事卒業し、そのあまりのかわいさで、周囲の人たちをとりこにしていった。順風満帆な人生のスタートだったのである。あの日までは・・・。つづく