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憬月庵雑記

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2008年04月13日
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数ヶ月前に小津安二郎の映画をかためて見た折、いくつもの作品にチョイ役で出演する老紳士が妙に気にかかった。

確かに見覚えのある顔。セリフはないか、あっても数センテンス。たいていは飲み屋の隅で静かに酒を飲んでいるだけ。にもかかわらず、その強烈な存在感にはただならぬ魅力を感じた。

誰だったっけかなあ、この人。しかし調べるすべがなかった。

先週、今度は川島雄三作品をかためて鑑賞したところ、やはりいくつかにチョイ役出演。ところが、「わが町」では、かなりちゃんとした役を勤めていて、そのDVDのキャスト解説の中に紹介されていた。

ついに正体が判明。果してタダモノではなかった。

菅原通済。1890年生まれ。16歳にして馬賊に憧れて日本を飛び出し、各国を遍歴。その間、南方で真珠取引、南アでダイアモンドを覚えた由。30歳で帰国後、いくつかの事業を興し、政財界のほか、文壇、映画界、放送界に人脈を広げた。

宝石のほか、骨董、文化財の収集家としても知られ、鎌倉の自宅を開放して、仏像、墨跡をはじめ国宝級のコレクションを無料で展示公開した。

晩年は、罪滅ぼしと称して、売春、麻薬犯罪の撲滅に尽くした。いわゆるフィクサーとして、政界の再編にも影響力を持った。

趣味で、ラジオの司会者を務めるほか、テレビ、映画にも出演したから、子供のころの私もその風貌を見知っていたわけだ。

随筆も結構の数残している。すべて絶版のようだが、先日、アマゾンで中古の「あけっぱなし」を購入。飄々とした文体にその人柄がしのばれる。

器の大きさにはただ感服するのみ。彼のみならず、その交際仲間それぞれの生き方を思っても、そのスケールの大きさは、今の日本人とは異質のものさえ感じる。一体、この非連続はどこに原因するのだろうか。

しばらく追いかけてみたい人物だ。





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最終更新日  2008年04月13日 19時19分02秒


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