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灯台

灯台

安らかな空虚

 Spring has come.


 春が来ると、「アイ・アム・ザ・ウォルラス(I Am the Walrus)」を思い出す。ビートル

ズの曲。「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー(Strawberry Fields Forever)」と

並ぶ、僕にとっての春の曲だ。琥珀、ばらまかれた・・割られた硝子。打ち砕かれたベッド。

おや、学校のチャイムの音。驚異と感激と恍惚が腰を下ろす、椅子が歩く、電信柱が座る。

鴉が話す。――曲がりくねった山坂をよじ登って来る、季節の声。
    スポンジ
 ・・・海綿だ。一五○二年にクリストファー・コロンブスによって発見された。イスラス・

デ・ラ・バイアという所がある。僕が一番気になるのは、島の歴史ではなく、ヘヘンという

日本の蚊を小さくしたような虫のことで、これに咬まれると痒くてたまらない、とウィキペ

ディアで説明されていた。
 、、、、、、、、、、、、、、
 町ぜんたいに阿片を受け入れて・・・

 冬はたとえば、寝台車の上段のカーテンをピッタリと鎖しているようなものだ。

 「ブリキの時計に息吹を吹き込む、ということかい?」

 セム語で“主”を意味する。嵐と慈雨の神・・バアルよ!

 カエル、猫、または人間に似た姿で現われてくれ。――
 、、、、、、、、、
 サイケデリック音楽。リヴァプールにある戦争孤児院は閉鎖し、修道施設となった。

 何もない空虚の闇の中に、急に小さな焔が燃え上がる。祈祷や瞑想。

 ――背圧、と彼は言った。

 ――原動機における排気側の圧力。

 付け足すと、正常動作できる背圧の最大値を臨界背圧と呼び、排気側の圧力がこれを越え

ると、吸気側への作動流体の逆流などを起こして大惨事になる。

 原動機にとってはそうだろうが、人の運命にとっては、こう言い表わされる。
  、、、、
 「即死する!・・」


 *


 周囲がまったくの無であったら・・まったく系統のちがった、違和感に満ちた社会が存在す

ることになる。ストレスは皆無。プレッシャーは無し。人もいなければ、物もない。

 僕はそんな時、多座配位子と金属イオンからなる連続構造を持つ錯体のことを考える。も

ちろん、超限数でも、ユークリッド空間でも、小数点でも構わない。

 鼠の色に似ているハイイロアザラシに無限を感じ・・て――もらっても構わない。

 でも配位高分子だと、二座配位子Lと二配位の金属イオンMからは(-M-L-M-L-)構造が無限

に連なった配位高分子が生成し得る。

 この感じは一九八四年にフィンランドのヘルシンキで結成されたヘヴィメタルバンド、ス

トラトヴァリウスの「アイ・ウォーク・トゥ・マイ・ワン・ソング(I Walk to My Own Song)

」を僕に想起させる。――もちろん、二、三度バウンドしてから落ちたボールや、硬貨のこ

とを僕は考えている。ヘヴィメタルって大体そんな感じである。
        
 遠景に弧形の地平線が現れ、その上部は次第に白光を放つが、ある日気付くと、ジャック
                            うが
と豆の木風の安普請の庭に、よくわからない内に鑿たれている、広場の小石。不条理だが、

誰にもわからない。何故広場の小石があるのかも、どうしてそれが鑿たれなければならない

のかも。でも、まわりに雑然と、何らの組織も配置もない気分の時、僕等は大抵バイクに乗

る。サイド・スタンドを外して、変装する二の腕は把持しながら兵士のように脳内の指令者
         るいじゃく
に随いながら、羸弱な感電体となり、唯一のストップモーションであるエンジン・キーをい

れる。差し込んだこの鍵が、旅という鍵の拡張を始める。清々しい少年の姿、黒髪で、煙草

をふかし、ブランデーを呷る、発作的に詩人ランボーの代名詞となる若さの神経を纏った孤

狼。アクセルをひらくと、鍵サーバーから鍵をインポートする機能が追加される。キーボー

ド入力、ワード登録。さながらトイレタンクに浮かぶ聖書。

 ――革手袋の下のグリップがすこし硬い。楚囚の詩の北村透谷のように硬い。

 ハイ・ウィッカム空軍基地に一九四四年から一九四五年にかけて、アメリカ陸軍航空軍の

部隊が駐留している、イングランドにあるイギリス空軍の基地にして、バッキンガムシャー

のウォルターズ・アッシュ村である回りくどい表現も少し硬い。

 ハードボイルド作家だけに夜の生活も野生的である、というのも硬い。
 、、、、、、、、、、、、
 せいいっぱい爪先立ちをし、クラッチの操作をし、かじかんだ両手にいち、に度軽く息を

吐いて暖める。そんな時、僕は決まってオニオングラタンになってしまったような気持ちに

なる。確かに、ピッツアだったらよかったのに、と思う時もないわけではない。

 いや、グラタンとピッツアはまったく別物である、と思う時もないわけではない。

 ――しかし、実社会とは直接何ら関係もない淋しさが硬いのだ。

 つい、先刻まで僕は力の発散する湯気のようなものを思い描き、しかしそれが沈澱して固

形の石鹸のようになってゆくイメージに随分やられていた。部屋の中でぼうっと過ごしてい

る、暇人という僕にも、美と名誉くらいある。

 ロードレース世界選手権で活躍していた、僕の好きな選手が事故を起こし、そのまま、病

院に担ぎ込まれた。ニュースの扱いは不当なほど小さななものだった。

 咽喉をしめあげてゆく憎悪が蛇の斑に思えるまで、花弁は散った。

 ――ああ、マルク・シャガールの“散歩”が思い浮かぶ。・・


 *


 ・・・・・・友だちの死に想いを馳せた。

 呼びだす世界に分け入る平野、第一次的第二次的、

 音楽の吹込みに立会いながら、思い出の深い踊り

 曲の奏されるのを聴きながら、

 それは哺乳類固有のパイエル板・・。
                           バイオアベイラビリティ
  ひろびろと見晴らしのいい曲がり路へ出ると、生物学的利用

  有機生命体の脳・・腐敗させない、常に一定の温度の液体のなか、

  計算するのではなく人間の脳のように考える、コンピューターシステム。

  情報パフォーマンスの向上・・反応速度を引き上げる常に最適な電圧変化!

    凹凸のはげしい石畳・・・夕方にする、紫蘇の匂い――

 「ポーズ機能の中にヒントが入っている、誘導装置・・」

 彼は高校生。自国風に異なった発音で、コーコセイ。

 毎日、東から出て、西へ入るたびに、それは少しずつ失われてゆく。

 今朝は、その希少価値的現象(VS両親。)

 ホール正面の、階段のあるステージ。校門前で僕と出会う。

  観覧車止まる静止画像――エンドレスリフレインしますか?

  『宇宙探査機パイオニア一○号・一一号に取り付けられた

   金属板に描かれた、人間中心世界思想』


    カウントダウン・・カウンタック――

 おはよう、の代わりに、糞、という国民的悲運を表現した彼は、

 接近戦向きの武器であるサブマシンガンの性質同様にに唾を飛ばした。

 そして、その映像は美化修飾され、高感度ガンマイクさながらである。

 隣室から電話の通話を聞けるし、一km先の微弱な音声もキャッチできる。

  「凝った水を啜っているかと思うよ」

     「アイエッリ (Aielli) は、人口一五○六人のイタリア共和国

      アブルッツォ州ラクイラ県のコムーネの一つで・・」

       一つで・・ひと つ で――(遅れてゆく、思考

    「瓦の形に似てる」

  食堂、シャワーカーテン、・・グラウンド、屏風のように、

  薄っぺらな建て方で、校舎が見える。(ズームしますか?

   (しなくていい)と打ち込むが、死に切った静けさの闇夜、

    ヴァンパイア達が群れる・・謎の隕石に精神を操られる――

     ゆえに、獣は曲った毛むくじゃら。

   「セクハラすれすれの発言やモロ出しの危ない発言に、

    いわゆるバキューンと呼ばれる銃声音による自主規制・・」 

      (教育機関は社会にとって有益な博物館だ)

 彼は野球の話をするのが好きで、ささやかな核家族の息子役。

 一斉に賑やかな行進曲! 勇ましいかな行進曲!

   ――他人の眼を気にして、情報の操り人形と化す子供たち。
 
   大人の素晴らしい美徳である、イジメ、シカトをする子供たち。

    「・・・おい、君!――話がずれてきたぞ・・!」

    (スミマセン・・ス・・ミ・・マ・・セ――以下応答不能)

     ――僕の大嫌いなチームを応援していた彼。

 ピアノの前に坐り、いきなり嵐のような幻想曲!
 
 ミサ・・「違う」――美砂?・・・「そう」・・美砂先生は、やさしく、

 息子にピアノを教えた。「そう・・」

  (僕は彼の母親から、ピアノを少し習っていた。――

   もちろん、月謝も払った。そして、ひとつ重大なことを学んだ。

   僕はピアノを弾けない。・・ハンドパワアで鍵盤を動かせる!)
 、、、、、、、、、、、、、、、
 でも嫌いなものが互いを結びつけ、

 成長させる法則のもと、僕等は不思議と仲がよかった。

  (友達の母親のアクティブなスキンシップは無視しますか?)

  「俺は言うが――母さんは淫乱だと思う」

     「世も末だ、・・名刺サイズのコレクションカードみたいなことを言う」

      (いいかい、坊や!・・そ・れ・は・嘘・だ!

 夕陽のシルエットのなかで膝をかかえて、愚痴やため息を、

 キャベツに変えて、・・シンデレラとデートする喫茶店。サラという子。

 冬の女王と異名をとるサラ。相手を一瞬で凍らせる超冷凍波を放つ。

  「やあ、今度デートしようぜ!」

    「ごめんね、今度はまぐり拾いに行かなきゃいけないの、また誘ってね」

     (はまぐり拾うなら仕方ないさ、と慰め合う二人の男の子)
 、、、、、、
 僕等はいつも、その教室でクラブ活動をした。

 生徒たちがいなくなるまで、色んな話をした。サラや、

 ベトウヴェンのような顔のマスターも混ざって。煙草やビールも少々。・・

   「そして、塩と胡椒と砂糖を入れると、王国になった!」

     「羽ばたきになった・・暮れてゆく空の色をうつして――」

  将来かれはトラック・ドライバーになるのもいいな、と言った。

  口癖のように、時速120キロで暴走して、――(樹木、潅木、草

   ・・・色んなことを忘れてゆくよ、広葉樹、針葉樹、森林、サバナ、砂漠。

    「サラ、あの時、・・君はこんなことを話してた」

       「サラ、日本の中でも他に見られぬ固有のもの・・・」

      違う・・言語がおかしい、そうじゃない、感情の使い方が間違ってる!

 機能回復・・他校との練習試合?――そう。・・サラが、僕等以外の奴と、

 話してる。そう・・サラはニコニコしているが、――内心困っているのは見てとれた。

 デートの誘いを断れずに・・マスターもいなくて・・そう――僕等は突然、

 金属バットで奴をこてんぱんにするために、・・トラック運転手になった!

   「うちの兄ちゃんさ、この前、自分の彼女を口説いた奴、半殺しにしたって!」

     大きな声で――もっと、大きな声で!

      男は逃げ・・サラっていう、おまわりに追っかけられるんだ。

 そしてそんな風に僕等はバイクと、ビリヤードと、

 クラブ活動の生活をおくっていた。ぺこぺこお辞儀している。マスタ-と、
  バイオメトリクス
  生体認証・・・でも指紋はもうない、パリやロンドンの町に降る雪が、

   彼を攫ってしまったから・・リップムーブメントではもうわからない!

 時計とカレンダーはそこにはなかった。がらんとした、喫茶店。

 ただレコードのうえに黒い鴉が居座っている。――(またとない!


 *


 ――若い僕等には、有り余るほど時間があった。ジョルジェット・ジウジアーロのカーデ

ザイン。俗に「折り紙細工」と言われる直線とエッジの利いたデザイン・・で、ホメーロスの

『オデュッセイア』の中で、オデュッセウスはキュクロープスの国を脱出した後、風の神ア

イオロスの島に着き、西風ゼピュロスの詰まった袋を渡される・・(第十歌)――何は

ともあれ一週間しても一向に帰って来ない返事にも割と平然としていられた。たとえば、悪

質な電話勧誘販売への対策として、ナンバーディスプレイによる相手側番号の識別や非通知

通話を受けない電話機設定などが一般化するに伴い、着信時にフリーダイヤルの電話番号を

表示させるように電話勧誘販売業者が「フリーダイヤル番号通知サービス」を利用するケー

スがある。・・そこに一つの形が決定せられ、時が止揚せられると考え、――意識は必ず意識

された内容をうつすと信じ・・走りながら想った――単調な窓外の景色である!と。

 「時計はその一つの便宜的説明にすぎない! 時計のリズムは脈拍にすぎない!」

 時々近くで雷が起こった――曇天の下に吹きつけられて来る白い煙、腹の減り方や眠けの
                  コーディアライト
催し・・地歌のように思えた。まるで菫青石、多色性が非常に強い。観察する角度によって色

が群青色から淡い枯草色に変わる。・・まるで森の深緑に光線の直射している強烈な色彩の泳
            スリッター
ぎ。もつれている・・錻刀切断機。

 「サラ、どうしてお金がなくてもよかったのか、と思うよ」

 もう隣の席に座らない彼・・しかし彼の代わりに隣に座る、サラ。

 動く絵と新しき夢幻――要塞建設のためにリベラ区(es)が廃止され、一二○○軒の住宅

が壊され、修道院のあった場所は灌漑用運河にされ、約四五○○人が住む場所を放棄して退

去したシウタデリャ公園みたいに。気長く待っているうちは、三十秒が三分間になったって

いい。三時間となれば一か月になるとしても。

 ・・・でも、紅茶を啜っていると気付く。汽車の時間だ!

 入口は一つしか無い。入口は即ち出口だ!――

 「アイ・オブ・ザ・タイガー(Eye of the Tiger)」はアメリカのロックバンドのサバイ

バーが一九八二年にリリースした楽曲。面倒な台所を、非難するのに飽きてそこを厨房にし

たくなったら、大抵この曲を聞いた。・・試験前――

 あまりに空を意識している、・・僕の心・・・そしてサラの心。

 ブラジルの見えない壁=ジウベルト・シウバ。

 「それは多分、僕等が学校生活に心底うんざりしている、劣等児であったからかも知れな

い。学校にうんざりしていたのは、時間と金をかければ良い作品ができる、という映画の迷

信を思ったからさ。才能を・・でも、わかっていた。僕等には有り余るほどのお金がなかった

ことを。でも、そうでもない、二五○○○以上の座席がある、アイオワ・スピードウェイを

僕等はやっぱり駆け抜けたのさ」

 何でも、自由なものを書いたら、うねうねした坂道になり、ポエムになり。・・いま、何時

と聞くようなものさ――地に足がついてない。背中に翼が生えてる。でも仕事をすると顔つ

きが変わる、人はどんどん社会に操られてゆく。

 ――乾燥の声の如く、ああ、奇体な無関心さ!
 エンスタタイト
 頑火輝石の・・バターの匂い!

 「・・・両親のこと、上辺で付き合う友だちと呼べない人々のこと――口では利口なふりをし

ていても、矛盾と知りながら、正義や理想を想ってる。学校は社会の縮図だ。一日のうち何

時間か働く代わりに勉強して、何時間かは休息して生活している。でも会社ではないなら、

もっと青春してみたいと思う。でも僕等は醒めてた・・古い礼拝堂の方にある、土塀の間にあ

った小門へとロートレアモンの影、ポーの影が消えてゆくみたいに、とても象徴的な瞬間だ

った。悲しみが僕等を生かした。切なさはむしろ生きる教訓だった。夜ふかしする癖に、タ

イムレコーダーは冷たい。締切はさみしい。でもそれを趣味だのという商品陳列所の方へ行

ってしまうのは馬鹿げてる。僕等に必要だったのは、自分の肌で感じられる哲学だ。その時

、その時に見た色や、景色や、感じ方だ」

 マーク・ガートラーの“メリーゴーランド”という感じだ。・・

 「ねえ、顔をしかめて立去る、ゲームの話題。流行さ、・・その風邪を僕等は嫌った。女の

話をもっと嫌った。口先でサラと接したことはなかった――僕も彼も・・」

 知ってるわ、という風に、磁場中のある一定面積を通りぬける磁束線の垂直成分を足し合

わせたもの。磁束・・磁気誘導束――でもたとえば頭脳はそういうものを愛した。愛しながら

、気に入らない僅かな素振りや言葉に、不機嫌になった。

 趣味は読書、ゲームかい?・・なんで漫画って言わないの――面接で。いや、その作られた

プロフィールに心底腹を立てながら思った。可愛い社会か? 女も付け髭をし、腋からぼう

ぼうと汚いものをぶら下げればいい。

 ああ、理論上の成長率。内部成長率。サステイナブル成長率じゃない、本当の資産とは何

だ。心の糧を送るのは、本当に余裕のある心なのか?・・
 
 ねえ、ピアノ演奏の技術を身につけても、誰かに自慢する・・あるいは自慢できない程度の

技術だから、プロにならないのかい、・・特技なのかい?――それ、必要なのかい?

 「多くを与え多くをうけることは、不自由な要素じゃないか、と学校生活を見ていて想う

。青春なんていうご都合主義的な概念の期間を死ぬほど嫌った。夏休みの宿題が嫌いだった

。サボテンのツンツンしているところがどうにも好きになれなかった」

 ――ほら銀蠅が恋を口にするぞ、ああ蛆のシャワーだ!

 思ふぞんぶんにXYZできるといいんだけれど、完璧な現実の予感の前で、欠陥の多い現

実世界は大手新聞のようなものだ。身体じゅうがしいんと鳴りをしずめる・・本当に欲しいも

の、本当になりたいもの――福音書を書くような態度で、熱意で、この世がまだ望みあるよ

うな態度で尾鰭があることを望んでいた。未来がある。・・各人各種の技能の花を咲かせる。

でも、すうっと熱が引くように、しみじみとはかない身の上。

 疼痛・腫張・発赤、発熱・・自己形成の時期だ、第一人格から第二人格へ、小さな戸を押し

開いているみたいな毎日だ。時間は。そう。・・時間とは、愉快にすごすのも退屈してすごす

のも、空虚な大元に操作されている、感情任せという現象によって生まれている。規則を破

れば堕落する。でも人には、あのいやないやな落ち着くことの出来ない、孤独しかないのか

。絶望しながら過ごす、でも生きている・・サラと一緒にいる瞬間。

 特技がバスケットボール、スノーボードだということを、愛せそうだ・・

 この時間、砂にもなる。花にもなる――本質的教示を含んでいる、満腹することのない、

この怨霊から、眼をそむけること、・・

 「なんだ結局僕等、いちばん青春していたんじゃないか――?」


 *

 
 ニア・ソーリーと言えば、ピーター・ラビットの作者であるビアトリクス・ポターが半生

を過ごした土地だ。半生の懺悔がわかるほどの年齢じゃないが、杭が残る、無数の追憶的風

景画を残した絵本を想像するたび、世間的、人間的な苦酸を十分埋め合せるほどのものはな

い気がする。ただ、その対蹠点に、炎に触れるがはやいか、役には立たないものの脂肪の燃
                きょしょう いんいん     しょうらい
焼力のようなものを思った。巨鐘の殷々たる響き。松籟の爽やかな響き。

   「そしてそれが美なのだと思った。」

     張り切った鋭い矢音・・槌音・・張ってある網の絡み・・

 ・・・なぎさふりかへる我が足跡も無く(尾崎放哉)

  ざ・ざざ・ざざざ

 空隙に現れた心の影。犇と棲んだ喪心――夢遊病者・・。

 長い漂泊の苦痛。たとえば、アメリカ合衆国ノースカロライナ州に拠点を置き、かつて存

在したタバコ製造販売企業。ブラウン・アンド・ウィリアムソン。

 ・・・なんだか、まるで映画の台詞みたいだ。

   「ところで、ブラウン・アンド・ウィリアムソン?」

     白粉を真白に塗っている、喜劇役者みたいに、沈思な一心がすぎる。

  ざ・ざざ・ざざざ

   ちちち、と千鳥が鳴く。

 なお、僕はビアトリクス・ポターのことを、イアサント・リゴーの描いた『エリザベート

・シャルロット』のように思っている。――

 
 *


            気層の底の、そらぞらしい響き。

 底空の果てからの、頭を抱え込みたくなる響き。


    僕と彼は大抵バイクで海岸へと出掛けていった。

   そして聞いた、――ボッボッボッボと・・

  切符売場で切符を求める時のような、響き渡ってやまない、誘惑を・・

                     熱情の底に漲っている、人の会話。
 
                               レストランのBGM。

 缶コーヒーを飲んで、掌、足の裏に到るまで、闇の底を感じながら、黄昏の海を見た。

 ・・・クラスメートの誰かが死ねばいいのに、と呟いていた。

 きれぎれな語法のように、リズミカルなベルの音、次第に濃くなる闇。

             “ゴク”という液体を飲む咽喉の音が絶滅してゆく。

              歌劇的な情味の――《賭博》・・ちりばめられた言葉の響き。

 建築材、排水溝、トイレ。階段。何の前触れもなく頭上から舞い降りてくる落ち葉。

 そんなの命の遣い方じゃない、そんなの無駄遣いだ、全然輝いていない。

                       ――ハーブやドライフラワー、ポプリ。

                 ――自動車、船舶、航空機などの移動発生源。

 ・・・少なくとも、そう言えるだけの感覚――、眼に映じ、耳に響き、肌に触れ、心に感ずる
                           しず
様々な事物が、・・不幸な生存を伝えた。隠れて窃まりかえっている海岸にも、無意味に思え

る工場や煙突があって、遊園地があった。滑稽だと思えた。

                       「猟犬でもあるまいに」

              ・・「まして、鉄道線路でもあるまいに」

 イアン・クロッカーが二○○四年のアテネオリンピック代表選考会では、一○○mバタフラ

イで自らの世界記録を更新する五○秒七六を出して代表に選ばれるが、本番ではフェルプス

に一○○分の四秒及ばず、銀メダルに終わった。

            気層の底の、そらぞらしい響き。

 底空の果てからの、頭を抱え込みたくなる響き。


 滑稽で、そのじつ、中身がないことを知っていた僕等の。

 「ある意味では・・という意味の――手紙。」


 *


 バッティング・センターから出てくる親子の姿に混乱した。

 カラオケから出てくる友達親子の姿に吐き気がした。

 政治家のポスターを見るたびに僕等はブルースだと思った。

 演説をしながら自分に酔っている校長にパイナップルを投げつけたかった。

   ――慰安婦関係調査結果発表、と官房長官は言う。

   ――伊江島空港、と地方管理空港は言う。

 自分が嘘をつくことを認められない僕は、キチガイじみたアンダアスタン!

 小狡い大人になれよ? やだよ、・・仁王門通り? ジャシュウモン!

 中間管理職で、イジメをへいきで見過ごす教師はキングな牧師!

   ――窒息死した牛の写真。

   ――空気に触れ酸化したため、赤く変化した僕等の血液。


       「ライク・サムワン・イン・ラブよ・・永遠に!――」

 

 *


 喫茶店のアルバイトの女の子サラは可愛い奴。

 マスターは風変わりでラムネの瓶を買っては水槽にビー玉を落としている奴。


  (以下永遠に繰り返し)


 *


 僕等がやって来ると店は closed

 たとえばサラはマスターの娘という nonsense


 *


 「ねえ、わたしのこと好き?・・」

 「サラ、わからないな――襟をつまみあげる、その響きをもって人の心を誘う」

 「あ、あの・・」

 「わかる――困惑する。泥濘とたのしい雨だれの響き」

 「泥濘とたのしい雨だれの響き」

 「繰り返し続ける、泥濘とたのしい雨だれの響き」

 「・・アンタ誰よ」

 「――サラ、人生を形づくる魂の完全な音楽の演奏」

 「・・・遠まわしすぎて、よくわからない」
 
 「想像してご覧、薄暗い電灯、カーテンの揺れ、車輪の響き・・」

 「薄暗い電灯、カーテンの揺れ、車輪の響き・・」

 「繰返し続ける、薄暗い電灯、カーテンの揺れ、車輪の響き・・」

 「ねえ、・・?」

 「わかってる、氷りを細かく砕く音。錐のような先端部のアップ。」

 「・・・・・・」

 「でも君はマスターの娘だし、しかも、彼は君のことが好きだ」

 「あのね、」

 「仄暗い封建のしきたりに閉されている、将来有望な男子」

 「う、うん・・」

 「光る電車がばっちり走ってる。きゃあ、何あれ、流星群? 何あのフォルム」

 「うん――」

 「席にいる友達に眼をやりながら、苺のへたがなくなってしまった、君の赤色に触れたく

なる。これは本当に重症だ。どうしてこんなに腫れあがってしまったんだい、オヤもう君と

きたら、すぐにこんなになるまで放っておいてしまう。不覚だ、しかし君の卵焼きは美味い

。なんという不覚だ、君の笑顔を夜の部屋にまで連れて行ってしまう」

 「クスクス・・・」

 「胃腸が弱い人を僕はずっと気の毒に思っていたけれど、今度から宗旨替えして、僕は心

臓が弱い人のことをすごく気の毒に思う。でも同時に、その人のことを、僕と共通の未熟さ

というものについてにしか反応しなくなってる」

 「あなたは、いつも気障・・」

 「ミルク色の海と湛えた霧のなかに、僕の魂がある。――見えるかい?」

 「いまはちょっと・・でも夜になったら、想像することはできるかも」

 「君なら想像するだけで充分だ。淡く溶けこんでいくと、きっと水の流れになる。目覚ま

しい水煙をあげてくれる・・・そして口笛や、朝の陽射しが見えてきて、周囲が少しずつ明るさ

を取り戻していく。すると、僕はそこを谷だって思う。いつしか、ひとりでに年を取ってし

まった、陽のあたらない場所。谷――」

 「光と熱の響きにからみついて緩やかな独唱をする彼の谷」

 「朝、そっと誰かに抱き締められてみたい時がある」

 「あるの?」

 「うむ、あるのです――たとえば、緑のへたを永遠に失ってしまった、詩そのものの苺に

。実を言うと、その苺、・・イチゴの味がしないらしいんです」

 「あなた、真面目な顔をして、冗談言えるからすごい、と思うわ」

 「でも・・ねえ、君――想像してご覧、その谷に、野生の・・野苺があってね、その野苺が大

好物の狼がいる。狼はその苺のことを、とても大事に思っていて、いつしか、食べられなく

なって、腐らせてしまうんだ」

 「うん・・」

 「でも一つの教訓がある。僕は狼じゃなくて、人間だということ」

 「ここ――笑うところ?」

 「ううん、・・キスするところ」


 *


 僕等三人に、多少の変化はあったものの、一八歳、ということでつながっているという

不思議な縁のもと、彼が死んだ。これほど忌まわしく、おそろしい言葉はない。ねえ、友達

、僕等はあれから幾度となく君の墓へ行ったけれど、そのたびに、墓の景色が変わるのを、
                                       、、、、
とても愛おしく思ってる。友達甲斐のない奴だって思うかい、友達、淋しいよ・・でも、人の

心の中にまで、君よ、触れないでくれ。僕等は親友だった。僕等がいた、その季節は永遠に

思い出のアルバムの中にあり――永遠に君は僕の親友だ。・・君の墓へ行くまでに、お気に入

りの樫の木があって、そこで、シートを敷いてサラが作ってくれたお弁当を食べてる。墓参
                 、、、、、、、、、、、、
り、まさか、ピクニックだよ。こんなに素敵な天気なのに、どうして友よ、君がいない。


 *


 Summer has come.


 鵜飼いがそうするように、僕はいつもいけない子の口から、竜胆いろの鮎を取り出してや
                               デッサン
らなければいけなかった。枯蘆の根のような水の中で。素描。緋の袴とおぼしき夏なのに、
とうもころし
玉蜀黍のことばかり考えてしまう。この日が暮れたら、君の声が起こりそうに思われる。
 、、、、、、、、、、、、、
 家出少年みたいになっている、夏休み。ホームレスに近い自由で気ままな生活・・

 イエスタデイ・ワンス・モア(Yesterday Once More)――もちろん、カーペンターズ!・・

素敵な蠱惑・・最初よりずっと素敵になった、蝉の声。草原をなびく、夕方近くの風。

 ああ、子供の時っていいな、晴れた日が続く!・・嬉しく素敵な気分が続く!――

 このまま根なし草になってしまおうか、職を転々として、町から町へ渡り歩く・・人になっ

てみようか。小市民的卑俗さ、閉鎖的封建的な因習など忘れて――ただ自由に生きてみよう

か。棒を捨てて、石を捨てて、矢を捨てて、そう・・・文明に逆らって!・・

 ニキ・ド・サンファルのカラフルな作品! ポップでいて、マジカルな、ナナ!・・

 夏の雲・・夏の風!――童心に帰ったように、すごくはしゃでいた僕は・・やっぱり人間生活

の空しさを承知してしまったんだろう、と思う。

 彼の死から始まる夏の物語・・空気がいちだん澄みわたる。遠い物音が鮮やかに聞こえくる

・・時に打たれ、死の印象に引きずられ――金もないのに、別の人になったように、朝から晩

まで放浪した。十羽二十羽がひそんでいそうな夜霧に怯え、夜道。
 、、、、、、、
 静寂と汗で濡れ、また蒸れた僕のズボンやトランクス・・逃げ水・・地鏡――。

 イェータ運河みたいな川もあって・・全然違うけど――黄河だ!と信じていると・・アマゾン

河でピラニアを見つけ、鰐にも喰われちまいそうな自分の半身が見つかって・・・。

 「サラ・・」

 さらに遠くに見えるもの、遠くにあって、実はとても近くにあったもの・・。

 彼女のことを思うと意識が混濁して、――けれど、心入れ替えるような劇的な変化もなく

、敷石の上で寝ころび、シケモクを灰皿から拝借し、・・ジュース飲みたさに自動販売機の下

に指を入れたり、さりげなく、・・覗いてみたり。

 あんまりにも腹が減って、カードでお金を下ろすのも面倒で・・牛みたいに草を喰ってみた

こともある。不味かった・・こんなに不味いなら、走って泣きたいほどに!

 庇には白いレエスが揺れている・・・揺れ――て・・いる・・・

 漆のような夜・・穏やかなKeyの雨が降ると、菫の色。水玉模様が散る・・優しい人達に

さえ毒づきたくなる、土管の中・・あるいは森の中――飽き飽きする!

 ニキータ・フルシチョフのような彼・・でも、自分を知っていると言えるか、ランボー!・・

それでも葛藤は消えなかった。賽銭箱からあやうくお金さえ盗もうとする程に!・・・

 雨の音を聴いていると、レディオヘッドや、J・S・バッハのリュート組曲第3番 イ短

調BWV995第5楽章ガヴォットなんかを思い出してしまう。でも見なれたものから眼を

そむけていると、醜悪なものの前で色を失っていた自分が、やわだと思えた。未熟だと感じ

た。後ろ指をさされるのが、そんなに怖いか。人を信じなければ生きていけない、と考える

ことは弱いか?・・どうか――吹雪の恐ろしさ。

 でも時々にはおせっかいな慌て者が、僕に、お金をめぐんでくれたりした!・・

 本当に、不思議なのだが・・道を歩いていると、一万円札が落ちているのである!

 やったあ!・・ありがとう、とりあえず飯を喰い、パチンコ屋へ行き、フィイバアア!・・
 、、、、、、、、、
 嘘みたいな本当の話――素敵な夜で、風呂にも入れた、奮発して、漫画喫茶で眠ったりも

した。・・でも結局、ひとり楽しんでいる、自分で生きているわけではない、という真理が、

僕には信じられた。かれこれ二週間くらい馬鹿をやったのだろうか、目が覚めて・・サラのい

る喫茶店まで歩いた。彼女は僕を見るなり、いきなり僕をしばいた。既に精も根も尽き果て

ている僕にサラはドロップキックをかまし、よろよろ転がったところで、脛をすかさず蹴り

、転んだ僕に馬乗りになって平手打ちを数発かまされた。恐ろしき恋人!・・

 がばっと抱きしめられ、相当泣かれた。

 「なんて格好をしてるの? ・・・みっともない! 自分を粗末にして、何やってるの!」

 ――たぶん、その半分くらいは、いま君にやられた、と言いたい僕だったけれど、わんわ

ん泣いているサラは、取り乱しているようだったので、何も言わず、とりあえず、世捨て人

になりやすい僕と、激情に駆られやすいサラ、と考えながら、ドラマみたいな取り合わせと

感動を装ってみたりした。でも、世間から褒められるような話じゃないな、・・
 、、、、、、、、、
 帰りを告げる電話で、うっかり、放浪の旅をしていたというニュアンスを伝えたのがいけ

なかったのかも知れない おお――Lover, come back to me.

 そして、もちろん僕は、都合の悪いことは何一つ話さない、飼い犬であった!・・

 「優雅な旅をして参りました。ひと回りもふた回りも大きくなって戻って参りました。・・

野宿?ハテ・・しておりません。あんなの咄嗟の誇張癖。草を食った?美味しいのですか、そ

のホウレンソ。――汚れた服、アアこれ実は貸し衣裳!」
 、、
 また、平手打ちを食らい、三十分後、喫茶店に隣接した自宅のお風呂にはいり、鏡を覗き

こむ頃には、ネコの爪痕!・・マスターは、頬の腫れあがった、そして、マスターのパジャマ

を着た僕を見て、かんらからから、と懐かしい笑い方をし、ともども飯を食べた。

 「尻に敷かれている・・というより、もうすでに、コレで」

 頬っぺたに傷があるような感じで、頬にジグザグ運動する指。すると、これか、と頬っぺ

たに手のひらをあて、オカマか、というジェスチャーで。

 でも不思議だけれど、自分の家より、ここにいる方が家族という気がした。

 「・・・いや、大分前からそう思ってたけど、もしかしたら、――いや別にリップサービスじ

ゃなくて、前世とかがあるなら、本当に家族だったかも知れないですよね。あるいは友達だ

ったとか。いや案外――コレだったのかも!」

 こゆび、いや違うかこれか、と、なかゆび。

 ――コツン、とサラに軽く頭をこづかれた夕餉である。

 結局泊まりということになって、サラが、廊下に布団を敷いてくれた。僕は、真面目に本

気でそういう洒落を受取ってしまい、・・なにしろ、僕、野宿していたのである!――ありが

とう、と言って本気でそこで眠りそうになった。しかし布団に潜り込むと、サラが、あわて

て言った。「じょ、冗談だからね・・」と。・・そうなのだ、気付きそうな話なのに、言うまで

、本当に僕は気が付かなかった。
 、、、、、、、、
 不思議な話である。――不思議だけれど、その夜、・・友達の夢を見た。

 目覚めると、何一つ覚えていなかったが、どうしてか、・・手鏡にうつった街を見たくなっ

て、朝――空を見た。雨が降っていた。・・その雨は、どんなに穏やかな雨のうちであっても

、一時間もすれば、ずぶ濡れになる種類のものだ。それがわかっていて不味いコンフレーク

みたいになるのは、ふやけるのは、あたたかい缶コーヒーが飲みたいからだ。

 Good‐bye for now.Goodbye till tomorrow.

 say good-bye or bid farewell


 
 *


 ジョーカーを取り出しているトランプゲームは紳士的だけれど、――きっとゲームはして

いない。たとえば日本人が人生八○年の間に出す尿の平均量は約三五トン。

   ・・・ああ、僕は夜の電柱に身を寄せて、ピストルの煙という自分自身をしごきたい!

   ほとんど戦々兢々たる態度で、完全な絶望というやつを、しごきたい!・・

 「尿道括約筋を、ウェーバであると考えるのは正しいだろうか?」

   ・・・その声で、浮き桟橋に留まっていた数え切れない

   数の鵜やペリカンたちをびっくりさせてしまった!ああ・・

 
 待った無し! 生か死か? 俺が無敵の磁束の単位! SI組立単位の一つ!

   ――ゲッティンゲンにあるガウスとヴェーバーの記念像は偉大!

  「モールスに先駆けて電信機を製作した偉人だが、・・ああ世界の歴史とは偉人!」

 イエー オーソドックスなダメージ方式の横スクロールシューティングゲーム!・・

  ウゥイエー ウェーバーの主題による交響的変容!

    ・・・その像は皇帝が枢機官に司祭の名前を尋ねるのに似ている。


        「ある閉曲線を通過する磁束の変化とその閉曲線のまわりの電界とを関連づけるファラ
        デーの電磁誘導の法則に基づいて定義することができる。一秒あたり一ウェーバの磁束
        の変化は、一ボルトの起電力を生ずる(E-B対応の場合)」


 
       このはづく、コノハズク、コノハヅク、このはずく


          ――意味不明!


       このはづく、コノハズク、コノハヅク、このはずく


                    ――意味不明!

      、、、、、、、、、、、、、
      すぐれた賢母について考える。立派にそだてることは、母として最高の義務。

  水夫に化けて乗込んで上海!・・何かがある小公園の浮浪者!・・・

     (自由を探す――町を探す・・・答えを探す・・)
 
  過敏な神経と、野生と――巧妙さと精緻さと・・ああ!とみに永年の懐疑も・・・

  氷解するほどに、偉人って何か凄いらしいゾ!――らしいゾ!・・ああ・・・

     (ピントが合っているから、・・虐げられてるんだって思う!――)

  ああ、僕のボケナスで、アホンダラな母よ!・・手におえないようなあばずれ者よ!・・・

  同性愛者の女生徒から贈られた義理チョコに、僕は――ウェーバの像だった!・・

  かなりいかがわしい内容の手紙が添付されてぶったまげた!・・ウェーバって何?


    ――冷蔵庫で冷やした! 高温多湿!

      ・・・背黄青鸚哥は言いました。「わたしがお母さんよ!おいでぼうや!」


     でもたとえば僕はこう思う。・・君がもし千年生きて――千歳になったとして・・・
 
    アドレナリンアレルゲンアンドロゲンインターフェロンクロロフィル!

   日進月歩、あるいは盛者必衰が骨身にしみるほど・・わかったとして――

  コレステロールジアスターゼジベレリンステロイドトリプシンパントテン酸!


    忠臣蔵の主要人物たちを早口言葉で言える人っているかな?・・


  どうだ、ボルヘス・・Idiot box(白痴箱。テレビ)――君は何を見る?・・・

  露骨で無害な好奇心と、他愛のない期待が過ぎ去ったかに見える千年!

  深刻なる印象!・・亡命者や被追放者の群れに立ち交じって、君がいたら・・・

  主義に反し、自由と平等と友愛とに反し、毒気と無知と暗黒とが底力となる!

  たとえば、・・沢山の人が貶めていた特殊なものが真に普遍的になる!・・

  邪念に驚異の瞼を開け!――腐敗さえ、汝たちの抽象となろう!・・・


        言葉を信頼するな、感情を信頼せよ!・・
        あめんぼきりぎりすごきぶりしょうりょうばった!・・
        舞い舞い蛾!・・まいまい(が、)・・






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