1980117 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

灯台

灯台

方言


わたくしの歯の立つ方角に

青い油の だらしなく延びる蝋のやうな天地がうちとけ
                            なみ
しらじらしく姿を見せては渦を巻く 夜の残滓・・・脈がなくなり、

青ざめささくれだつてゐるやうにみゑる泥濘は、無限の追求の階段

インクの腐敗する噴火のかなしさが軋る、

――骨のあをさを透かして・・幻想は溶解し、

修飾・・・組み立ててゆかうとすると白い霧に鳥肌が立ち、カンバスを敲けば、

一ばん とほい隅つこに腰を下ろす

 やうに・・・降りきたる鉛筆は、その名を著るし
、、、、                        へいご うねだ
しるすと・・風景や人物が――重なつて来る・・・背後の畝立てのやうに

ああ 一しきり強い風が吹き渡れば 強烈な色情の笛を感づる

いンや覆いかぶさつて来る・・音声びゆんびゆん――休むこつちやね・・


  (動くな動くな!・・引つ掻き 引つ掻ゐてくる ぬばたま漆の

   鳥よ・・・俺はうしろを振り返りもせぬのにおまへのことを感じる――

   地面すれすれに煙ぷて――産むべと思ても・・罪つくり哀れ鳥の濡れ羽色)

                     つ       と      でご   はな かしら
と 何処かでホーイと人を呼ぶ声 強オーぐ 溶がサヘ・・額や、鼻ツ頭

だんだん離れて行ぐんだなや 消えで真つ白ェエ地図みでエに

 ・・・・・・月のひかりをうけてあをく染まる(歪みながら、)はなびら

は 冷え切つたからだは白ぐで孤独な石つころを体内といふ祠に受け容れる!

消化不良・・こわばる口元、翼ある天使によつて呪ひをかけられ、迫害され、

――わたぐしは時間の重さに堪ゑぎれなくなる・・・

それでも前より一層いきほひよく・・すねえか・・すねえ――と・・

声は低いところに灯かげをみせ層面にマンモスをずうーんと見せだたぢゃい
                               
時に歩道にばふばふしテ かぶつく 吠えで 吠えで引つ張る、斧、

輻射熱・・・木枯らし――埃をかぶつた納屋の空気、密封された空気

見慣れなゐ空洞に墜落してゆく底なしの虚ろ・・


                      (を、)ひとつの光が・・・

        (アンテナも汽船も見知ったと錯覚した、)

        ――有意も、禁圧も――遺骨のやうに    暗ぐなつたがら・・
                                  
        獲れる網を海にバッでやりやあ・・つる 海に帰つでぐ――

                         「身ィ投げちまったよオオォ!」

 「知らない草穂がしづかにゆらぎ、少し強い風が来る・・」

  何か忘れたものがあるといふやうな、おかしな気持ちを、

  風がさらさら、となびかせた。屋根裏か路地へモザイク風に描いた、顔や胸

  ゆらゆらと、ゆられてはうごき、波を立て・・旗がパタパタ・・・甘皮、束ね髪のイメヂ

  迸る噴き上がる燃ゑ上がるために――めくれル・・エナメル・・・



         またひとつ・・・消されてゆく・・・・・・ものが

            またひとつ・・・消されゆくとき・・・・・・


    (美しく柔らかい螺旋となつて)、   (いつか金の屏風となるとき)   

      ・・・海峡となりまさふ    ・・・・・・足はアキレスになつたでさふ

    (悲哀は塩鹹ゐ)、    (この世の憾みつらみだ)

      ・・・《しかし世の打撃が辷る・・青い錠をなす、ひとりぼつちの詩に》


   またひとつ・・・消されてゆく・・・・・・

     またひとつ・・・消されては生まれる・・・・・・

、、、、、、、、、、、、、、
オルゴオルの電線の燕が落ちた

機械体操からすべり落ち 瀬戸物が割れるやうに

しろがねの簪が抛られる・・憤りだ、雄鶏だ、
        サンペ
気を失つた 心臓・・つぎつぎとよぎり去る 土じみた髪、鬢、

でぎのわりいわだすそつくりのわたぐし・・ふるゑてゐる、だのに、

やさしくとげおおせよと小さく告げ・・未だツ自殺しないッツ!あんぽんたん、

あいつは自殺したのに!アイツはああやつて死を選んだのに!・・

燃ゑ落ちる もゑ落ぢる――もふ・・止めさいン・・・


      “馬の耳に念仏”・・・・・・“馬蹄形”


    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・杉の大木の陰から、老婆の囁き声、・・

    ・・・・・・・・風にあおられたる、見えない火、・・・・・・・・・・・・・・・


  かういふ風に鳴いてみな! ざつくざつく・・


    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(電柱のタアルの根元)・・・・・・・・・

    ・・・・・・・・・・・インデヤン風の・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    ・ぎったごたごた・・・・ユラリ・・・・・・・・・・たんたん・・・・・・・・・・

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


  孔雀もう少し考えなければいけなゐ(いけない、
  ごうろ
  土塊焼ゐて人形作つてたやうに、闇に沿うて辷る薄暮の鐘だ――

  髪を長くした痩せ形の巴里風のジエントルマンの・・ぶらぶら

  [手に握られたる切符――独特の間合い で・・イントネエシヨンで・・・・]
  
  見渡すやうな広い畑地と、草藪の原が展けてゐた・・
                                   それはさておき
  だが見るのは裸んぼうの樹や、素つ気なく折れた枝――閑話休題

   (流れ、て、いった)・・宙さ漂つてゐる気分だつたものな
                        
  口語伝統のフォオクロア 白昼夢なら寐ネ

    「した、した、した、」

  はや終わりない悪夢を生き永らえながら――のつさのつさ と・・

                                フキ
    ――陽は落ちかかり どんどん涵しかけてゐる吹雪です
                        シーニユ
        ・・・・あんまり重くてひどゐから記号としての聖母の乳です
        ジエラシイ
      ――嫉妬・・・真っ黒焦げのうわばみの頭におちるとき《血》です

        ・・・・フエェラァアリ・テスタロツサです

         ゆきき
  賑やかに 往来・・ざわめき どこかで 頻り
     と   こ
    「飛んで来! 韃靼人――UFO・・ブラックホール・・ひとつなぎの、
        らん
     あの 卵 は、どこかにお仕舞いでしょうか・・貝のさみしゐ水に似た

     真夜中の火山口から永遠の氷霧にまき込まれて、華胥の国」

  何処にか泊る家はないかと思つて先きへ行く かなりめぇのごと・・

  眉根に籠つた深く暗い顰蹙が、のばらのうぶげのやうに見ゑてきた ねえ?――
        いき
  こんなに呼吸がくるしゐのは 次の日もその次の日も、人は隷属物質だから?・・、

    「がらんどすで・・とろっどすで――こねぐり・・まさぐり・・・

     まるぎり・・ポカンとして・・・スカラカンになつて・・・やははだになつて・・」
                          ここ  こご    ここ
  絶え間もなく鳴りつづけてゐるといふ 此処サ此処がら此処サ!・・定規よ、
  
  ふと目が醒めて時計を見るわたくしは凸凹です、(いいかげんです、

  郵便脚夫を想起する凸凹です、(こぢんまりです、


    ・・・ゴム球の音に一人耳を傾けてゐると、想ひだします、ブウドの青鈍

    貧弱の苗が一つの峰をなすやうな過去の事件・・に――少し、逆上せる・・・

    対ひ合つて眺められていた向かう側の公徳心を失つた、わたくしに、
 
    退屈しのぎの陶酔が、・・夜明けの気配を刻々 と――
    
    無礼な乗客を連れ――けだしわたくしの時間や感覚も凍る・・迷彩、

    けだものたちの波紋・・えこうはなまなま・・薄らいで散つてゆく、錯綜、

                いの
       烈しいものが動かんと静まつとる・・


  太鼓やバイオリンの胴体みたいなのが昼寝しているうぢに、弾きあつた
       まつぎ ひやうちつそ
  胸部に末期の氷窒素あたりのリルケやハイネあたりの二枚の刃の音が
                          
  まんだ根雪デ・・・うんずぐまつて耳あなサ入ゑつたやうだ
  
  わたくしの生活のなかの微細な点にわたつて影響を及ぼすやうに見えた・・

、、、、、、、、
ぽしやぽしやした ほのかな望みを送り浴室のがらすのやうになつた、意識

に 風が凪いだ。あの怖ろしい雄叫びは綺麗にぼおふらになつたのだらうか?

  「・・・何処かの国へ逝つてしまつてゐた 昼ひなか、日にちが消えてゆく」


       ――不意に足取りをはやめて、遠退いていつたのだらうか?

       でもたとへば自然界における方言的意識は 

       ほのかにかぎろう声は心の隙間に沁みるもの――

        父母のもの、感情襞の形成期・・


学者と世俗との間に意志の疎通を欠くため 一条の細い火花となつて、ピアノの如く

ピニツシモとなつた! 不思議な店へこんな物を買ひに来る・・

ひとかけづつの 砂糖・・あるひは、うばざくらの記・・・


  (雲はカーテンをはなれてゐる――鎧や兜は隠れ、王子は劇場を水泳する
  ンガ おど
  汝の夫は・・ホウイヤ、ホウ・・・むづかしゐ・・肯き永遠に重たゐ癌、Gun
 
  画家だつて俳優だつて、ひどいぼろぼろの
           しろいカマリコ
  きものだもの。お白粉臭アぷんぷんするど、

  ホウエヤ、ホウ――がんばってけれ! 

  立派に戦つてくるあンて!・・)


   ――ここでは冬を禦ぐだけでつくづく処理してゆかねばならぬ生活に情けなくなる

   よ、痩せてゆくよ・・・

   コツプに入れた野菜ジュウスが細菌のてりかへしに見ゑ・・

   併し事実として、沼の断片のやうに見ゑた。――


      一筋の野径が横断して、それに接して彼方へ、


    夢幻の国 思慕の華・・空をみるのも此処にゐて、ごしよごしよ・・
                      びらうど
    くもり空も生贄や食糧問題の天鵞絨にかはりかける午後
        くどき              かんじえ
    ぜんぶ愚痴ですよ! 湯気ッコノ風!


         いちめんの・・・いちめんの・・・・・・水泳


    (ちぶてゑちぶてゑちぶてゑ)、   (波浪の装飾的なガランスの海)   

      ・・・海峡となりまさふ    ・・・・・・足はアキレスになつたでさふ

    (びちよびちよだ、びちよびちよだア)、    (噴水火花石膏氷華)

      ・・・《針でちよつと刺したところが、――化膿し始めてる・・》


   いちめんの・・・いちめんの・・・・・・


    だんしやく   おおすけ
過去は馬鈴薯――大時化デョ!

現在におゐて過ぎ去つたものでありながら、風土に堪ゑて築ゐた文化が

くりつと廻つといちれつンなつて・・おめめが、おめとなる――

あんまりまざまざ顕現するもんだから、歯ぎしり、

し・・てらてらと歯垢・・・黄ばむ沼べり――


    (それでも枯草を背に敷いてサ、美しゐ斑点であらう、

     そう、・・は虫――よろよろしていよう・・・その象徴的な貝殻のなか

     が やんわりぬくもつてゐることは、知つてゐたけれド)

                   ギンギラ
  ぎらぎらの推移のうちに一種の飛躍を感づる、仙人掌の花の上に異国の涙、
                    ししむら こ
  如何なる形態をとつたにせよ 肉叢は肥ゑだ、ああ、背中が汗ばんでくつど、

  忘却の甘みに卒塔婆の純情さと烏賊の一徹さ、――んでも、違うど、墨

  彼方より落ちきたりて・・そのたんび、いい香りする、形や色だど、

  ゆるい歩調の角度で、すんごく気持ちいっけ。・・・うつらうつら――ゆつさゆつさ・・

、、、、、、、、、
雨中の夕陽の加減で ゴム鞠のやうにうすあほひ水銀が

入り乱れる支流を探りながら 向こふの丘にまた一つ また一つ生活の道具
            
雲が切れて ンヤ 好デナア・・・過去のペイジとなつたものに きよろきよろしながら

おもひだされたいままで 凍てついてゐたやうな 頑固な手も


  (シツツアル力――セラレタルモノカ――
   あんじよ ゆつば
   糸で結つてとばした手紙コ・・)

   ・・・・・・ガラスの首がジメジメ濡れた葬送マーチのすさんだ昼間
    ド   エ             キレ   シカリ   シ
   何処サ行たやだバ あの綺麗だだ光コア陽こ

   あだだごとあるガジヤ!


    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・煤けた天井に踊る、鼠たち・・・・・・・・・・・

    ・・・・・・・・傷んだ煙突から、パイプの煙・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


  くらい葦、たこの足、声という八本脚


    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(心臓の冷ゑる)・・・・・・・・・・・・・・

    ・・・・・・・・・・・汚物 排泄物・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    ・ぎったごたごた・・・・ユラリ・・・・・・・・・・たんたん・・・・・・・・・・

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


  だんだん大きくなつて近づき通りすぎて行った

  無機体のリズム・・老人が独り身でさみしゐ境遇であることを知る――

  草刈り場に行けば鼬が横切つてゆくやうなもの・・音もなく滑つてゆく・・・
 
  スポオツ・カア、飛行機、――しかし馬に跨り野を駆ける・・

  
    花よ咲け・・北に南に、益々拡大されつつあるとほひところから――



母親がランプを消して出て来る!

どしどしどしどし燃えてゆく新らしさの本質を疑はしめた

いかりのにがさか、カメラは徐々に角度を落とす、スクリインは楕円形、

レコオドは廻つてゐる、「お楽しみやす」と・・着物だらしなく脱ぎ、

寝がえりをうち、豪雨と烈風をば この耳に聞く――ああ、そいがまさか、

空っ風だなんて!・・有頂天か、大木が倒れるやうな、厳粛な夜も、

この風に鋭く截られて来たら、だらりと垂れさがる地平線・・

砂に黝づんだ畑の彼方、目を塞ぐことのできない、貧弱な渡世・・

に いつのまにわたくしは趨はれてしまつたのか・・蜘蛛につかまり、

吹つ消されてゆく厚い背中を這つた汗がわけしらず――稚児のやうに思ゑ・・

ああ いつのまにわたくし しきりに背きあい重なり合うのか――




© Rakuten Group, Inc.