1980186 ランダム
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灯台

灯台

砂時計

頭上高く巻き上げられた黄色い(つぶて)

重力のもと地面へ叩きつけられる

 

だから僕の瞳には 絶えず転がり落ちる大石を

山頂へと運ぶ シジフォスみたいに見える

 

砲丸でも投擲するように見えてしまうのは

かのアトラスの悲壮な雄姿を見るからだ

 

僕は万有引力を 無暗(むやみ)に信じるのをやめて

天空を支えんと 敬虔な気持ちで砂時計を見る

 

びゅっと細長い煙突形の筒のような雲より

円錐型の吹き矢が() 時はたゆまぬ川の流れ

 

でも僕の砂時計はまだ落ちきっていない

そうでなくとも まだ最後の一粒だけは

 

葉裏を返して色を変える山のように

砂粒の表と裏がひらりと翻り 宙返りする

 

地動説と天動説が 自転と公転 太陽系 万有引力も

はにかみながら一言で説明づける コペルニクスさと

 

そしてそんな風にまた僕は 時の砂時計を見る

黄色い砂が巻き上げられ 放たれつくしてなお

 

最後の自由をもたらさんと 空は震え 瞬きをし

誰の掌にも落ちてゆこうとしている ざあざあと



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