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灯台

灯台

キャベツの試練

雫は旅をしていた
種子からの栽培は植物をそだてる一般的方法
だが幼苗期の生育期間の長さにわすれて
ジャックと豆の木のような冒険を葬り去り
いずれ竜蹄≪りゅうてい≫のいる厩舎≪きゅうしゃ≫ではないことにきづく
それまで雫はブルー・スカイを旅してきた
梯子をかけて降りてきたのだ!
一瞬の歓喜は永遠の至福のようにおもわれ
流浪することをやめ 煩悩をやめた
凍て付く山へとパラシュートした仲間もいる
驟雨≪スコール≫として洪水注意報の前触れしたやつもいる
てろりてろりと緑のうずまきをおりていき
やはり地獄への扉があるわけでもなかった
しかし最期の光景がうつしだされたとき
あしおとのような 芯の胸のかなしみを知った
わがひろやかな胸にきたれ・・・・・・
私には手がない! だがこの星雲の中心がある
あこがれを知る人よ来たれ・・・・・・
私には足がない! だがわすれるなこの土がある
ゴミの定時収集方式は一九六二年にはじまった
ゴミ箱がポリベールに変わったのもニュースだ
しかし胸が裂けてしまったキャベツにおいて
かれらのごつごつした手 はたらきものの手
それだけが生涯わすれることなき一瞬であった
たとえばゴミ袋を収集車に ぎゅっと鷲掴みで 
ビュッといれるような残酷なおしゃべり
それを知ってくださる方は 黄泉のとおいくに
いまはまるでその気配あるのみのように
夜の船室のささやきを だれもきかない


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