1980169 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

灯台

灯台

日記詩 3


  1月23日






 緑の大草原をさっそうと走り、

 夕焼けの空はとてもきれいだった。色彩の壁は、

 ベールイエロオと、コットンのオフホワイト、

 そして――――――

 メタルアイテム・・
 
 チャイムの音・・・・・・

  
   ほら、早く来いよ。わかってるだろ。

   なにか外の者にたいして弁護するような語調だった。

   不気味な流言もまま飛んでいた。

   早く来いよ。
 
   服装を見ると、まばゆい感じがする。

   少しはなれたところにヴァイオリン弾きがいて、


   ――艱難辛苦の芸術家人生――


   出来たぞ。火の消えた如く消滅するもの。

   ナチュラルすぎて、ぼやけていたもの。

   ついに手も足も出せずに終ったもの。

   が、そんな個人感情など、みじん胸にもないかのごとく、

   とうとう、出来たぞ。半透明のガラスブロック。

    ・・・工場・市場・史跡――
    動植物の飼育・栽培・・・・・・


        ――ゆるりとお目にかかりたいものだ。さらば、ごめん

      ・・・街角に看板がある。
 
      おはよう、の看板だ。

      そこで、山田太郎ですと偽名を使う人もいる。

      早く来いよ――さあ走れ!・・力の限り!・・・


      ――ふところにした書面の名宛には

    「灯台が光を出すのは二十秒おき・・

    瞬きより――

    長いんだ――ぜ・・

 
   ――近い将来

   ここに《昨日》とか

   ここに《明日》が含まれ

   二十四時間経過後も

   何かで中断するということがない
――


 何のこだわりもない。ひきとっていることなども、忘れていた。

 しかし、同時におもしろくもなかった。

 文が切れても、

 その意味や気持ちが続いていたからだ。

   ・・・諦めて、眺めて、読めば

 楽にして下さい。

     「どうした?」

     「・・・・・・」

     「どうした。何故、――

     黙っているんだ・・」


   ・・・・・・少ない、言わない、勿体ない。


     辛かったでしょう?・・


 明日は、雨が降りそうだ

 白い、嬉しいが、いっぱいだったら、

 キャンディだ――対談・パネルディスカッション・

 グループディスカッション・会議・

 シンポジウム・座談会

   (書く)――(落ちる)――(飛ぶ)――

   ・・・(は、)どんなだ。

   ・・・・・・(は、)どんななんだ。


       朝の六時に 母の好きな 花
   よく晴れて 真っ白な 波のような 花



 風向きがとてもいいことは

 「カメラでも買おうか」と言わせた

 白い雲

 ぽっかりと浮かんでいるのにも似て――


   寝つかれぬまま、またも、枕の位置など変え――

   せぐりあげている、人びとの泣き声・・



 折り紙を折るのにも似て

 モンシロチョウが

 花から鼻へと・・


   何と迅い移ろいか。

   人の変り方か。



 天井が高いとイメージが広がり、

 低いと圧迫感が増える。

 そうだ、部屋の広さと天井の高さはリンクしているのだ。

 日が陰っている時、

 気温が低い――記憶の描写・・



   [H駅の傍にマンションが建っていた
 
   (平和だ、複雑だ

      ――それでも・・何かに、熱中するということを

     やめない―――




       朝の六時に 母の好きな 花
   よく晴れて 真っ白な 波のような 花



 まるで白い雪のようだ。

 Aさんが、道を尋ねておられる・・

 はい、そうです、その通りです――
 
   (書く)――(落ちる)――(飛ぶ)――

   ・・・(は、)どんなだ。

   ・・・・・・(は、)どんななんだ。


    




  1月24日






ひとりでもいい

うしろめたさ

ああ、人間は、なんて、

ぞっとするほど

孤独なんだろう――


あれやこれやと言う人もいて

そんな馬鹿の話を聞いていられない

狭い街路に狭い部屋

それ以上に、狭い良識――


人は自由なんだから、

気まぐれにため息をこぼすこともありゃあ

涙をポロリと

おのれを憐れむために

こぼすこともあるでしょう


――でも自分の欲望を満たすほどに

大事なことは、

うんと、大切にしなくちゃいけなかったことは

日常生活の霧んなかに

隠れちまう


そういう時は大変だ

すべて真理そのもの

まがいもんになる


――見えなくていいんです

わからなくていいんです

知らなくてもいいんです


長生きしてる地球だって

たとえばこの宇宙というやつだって

何があろうがなかろうが

動かないし

中々動けないのも本当なんですから――


底の見えない深淵に

舞いあがっていくことはできない

でも違う世界では何かがいつも運ばれていくのだ


たとえいまの僕が

あてどなく何かを探すような遠くを見る眼つきをして

時間を、人の心を

どんなにうまく見透かしたとしたって

どんなに僕がすごかろうがとんでもなかろうが

人それぞれ限界があります


どんなに知恵をもっていても

僕は自分の身体を浮かすことはできない

賭けてもいい!

――それが仮に出来たとしたって

本質はひとつまみも変わることはないだろう


増えたり減ったりするものではないからだ

あらわれたり消えたりするものではないからだ

そして幸せとかいうやつも

いまじゃ不幸せな冷気に浸ることを喜ぶ


でも目が醒めればお前の声が聞こえる

常になにかと比べて

相対的な

右往左往した自分が――


たとえば芸術だって哲学だって!

それと同じ心構えと意気込みがあれば

ビジネスや

平凡な人生のひとコマにもあるものです


おさい銭をあげるとか

アーメンとか

したって、しなくったって

大事なことや、うんと大切なこと、

見失っていない人だっているんですよ・・


地位や名誉にツバを吐いてみる僕を

痩せ我慢というのは勝手です

お可哀そうにというのも勝手です


でもね、

人生はひとつだけ

あなたも僕もひとつだけ


いまの世界が殺伐としてる

人が信じられないという時代で

それでも

いやそうでなくても

誠実に向かい合う人の心


その人の心の前で

あなたは地図を開く

故郷の風景を思い出す


僕には、

そちらの方が、

価値があるように思えただけだ


人に従って、既存の組織に従って

スポイルを認めず、口先の言葉を重ねてゆく人達

ツールだというビジネスマン

愛だと言いながら自分をコントロールできない

マンにウーマン!


もし、人が人であれるなら

心から愛や平和を望んでほしい

行動することを忘れず

そしていかなる状況でも

きちんとした人であろうとしてほしい――


でも、僕等、知ってきたのだなあ

そうだ、僕等、わかってしまってるのだなあ

社会とかいうやつが

よわいものを切り捨てていってしまうこと


どこにでもある光景なのだなあ

知ったかぶって言い訳や愚痴をこぼしたって

本当にお前は情けない奴なのだなあ

見下げ果てた奴なのだなあ


――嘘をついてしまうほどに、

色んなことを誤魔化してゆくほどに、

人って魅力がなくなってゆくのです


戸惑いや嘆きが増える

嫉妬に狂って悩み尽きない

わかいからだ

その、きれいなからだ

やましいことのない良心を装う人

立派な人をたじろがせる・・


本物とか偽物とか

嘘とか真とか

知った口に聞いた口に

おちょぼ口!――


でも、ひとつずつやっていくだけでいいんだな

そうやって愛を着実な生活にして

つまずいて、ころんで

色んな人にめぐり逢えて

はじめて、


――永遠の単調を知る

これ道なのだ

口を開ける、

心の中の濁っていた水に宝石が見える

魚が泳ぐ

ほんとうのせせらぎ・・


ただ、ふたりでもいい

さんにんでもいい

ケースバイケースさ

ああ、人間は、なんて、

ぞっとするほど

移ろいやすいんだろう――


でも、生きるべきなんだなあ

とりあえず、生きてみるべきなんだなあ

人間、何歳になっても子供さ

祈りは続くし

酔っていた黄昏は相変わらず胸を打つ

そして僕ね・・ふっと、

みんなに会うためにここへ来た、

ここに何かを見つけに来た


そんな人生の答えに思い当たるような

朝もあり、

昼もあり、

ねえ、夜もあり、

ねえ、もうそれ以上なく――永遠に・・

彷徨い続けてゆく

死までの短い間






  1月25日






 言葉は

     ――その働きをやめることがある

         働かない言葉は、生活に呑まれている


           ・・・・・・そんな時、僕はカントやへ―デルの純粋にして形なき神に祈

          る。舞わば舞え! おお・・飛び去りたくば、ひしひしと胸に湧け!・・


        ――自分を、鳥を、獣を、他の何物でもない心を、肉体を、魂を・・


     rural life...shipboard life...

      a life of debauchery!...uum......


           身を辱めるもの。涙が熱砂のように在りし日のパピルスとなる。

           薄く削られてしまう、紙の中の文字の

           い・・・の・・・ち・・・・・・

           (痺れているのだ・・痺れている――)

           振り向いて苦しげに何かをたしかめる、

          『・・・言葉では、もう伝わらなくて』


        《記号》が・・・・・・・・・


                     ・・・・・・・・・とまれ! 季節がゆっくりと降りてくるまで・・

                   ああ! なつかしい知り合いのふり!・・

                     風景は!・・カンガルウのポケットさ・・・・

                  (ポケットの中のガラスの破片でなくて?・・)

        「怪我でもしたのかい?」

        相対速度とのずれに軋む!・・ああ軋むんだ、軋め!・・軋みやがるんだ、

         セ ックス、フ ェラチオ、それで後はおまんこの味!

          ――そうさ、21世紀のフロアスタンド!――

        「それにしてもよく眠っているな。真っ青だ。」

        ・・・真っ青で――血が通っていない・・・・・・

      ――君は死者だ・・      

 、こ、言葉・・・―――

 月だが、月は乱れ雲にみだれて、月のかたちもない。

                     わからないよ、世のことや、先のことは――

  モーションをかける! ローションをかける!・・

雀の赤子が一羽、寒そうにふるえている。モーションをかける

ぽかんとしていた。なんのわけも知るでもなく、写真を撮ったとき

                     きみは消えてしまう――

そのあと。a poetical life...ああ...

a poetical life!


        ――(言葉は、途切れます。

      どうして、途切れるのですか、電話のように?・・

      どうして、千切れるのですか、沈黙・・・・・・



        ――僕は待ちぼうけているゼウス、全能への憧れ。また、その機能。

     ●メイン講師/1コマ(50分)1,000円~!!

     ●看護師募集/月収40万以上 *病棟経験5年相当(当直5回含む、賞与別支給)

      ――チラシ・・求人広告・・・

      仕事・・・・・・プライヴェート・・・・・・・・・
  
    軽量衝撃吸収材筋肉疲労軽減!・・

    美姿勢重心移動歩行補佐!・・

        「たとえば、広告の言葉って、実際の君がいないんだ。

        ・・これは国家でも、政治でも同じことなんだ。たとえば、
 
        きれいな家は広い、何もないアパートはよく見える、

        それだけだよ――それだけ・・




        《空白》が・・・・・・・・・


                     ・・・・・・・・・とまれ! 絵を照らすリミット!・・

                   ああ! フォーカスエナジーの充実・・

                     風景は!・・カンガルウのポケットさ・・・・

                  (ピンポーン・・と、インターフォンが鳴る)

        「困るなあ土手の巓でも崩れたような顔をして?」

        なんだか君の顔、ひし形だね!・・いや、ホームベースみたいだ・・

         待てよ、なんだか、おにぎり・・の――ような・・・

          ――そうさ、30世紀のスピリチュアルフェイス!――

        「どうせ、みんな、オッ死んでリャ!」

        ・・・カタコト――文化政策なしの日本の行く末・・・・・・

        (でも、町は漆黒の記憶をやめた――よ・・)

        (踊るよ――ごらん!・・)

      ――世界まるごと、核兵器で全滅・・      



     造形からせり出した時軸、置時計、

     目覚まし時計――長々とうねる道のカーブのように時間は滞り、

      (その、記号が用いられている理由・・)

      (リフォーム時にコンセントを増やしておきたい理由・・・)

   ・・・・・・世界は砂嵐、そんな摩擦音をさせて、

          あえてその道を辿るべき――

             あえて、かつて地上に落ちた星の光の再燃となるべき・・

   ・・・君は"ガラガラヘビ"だって言う、でも、アナコンダの租借音かも知れぬ、


   ―――いま現在の何かが、確かに、遠ざかって行ったのだ

        ・・・・・・・・(イマジナリー・ライン)はこの時、


        ソメイヨシノの葉の裏側で、やや白色を帯びた緑色で、

        ・・・まばらに毛があって、尖端は少しとがって、縁は鋸歯で、

        ――それで、何となく、よかった・・よかったんだ――






  1月26日






あの、そろそろ、

どうですか、

と、チョコレートブラウンの友人に誘われて、

   悪の僕:しかし腑に落ちないな。呼んだ覚えもないんだから、

  呼ばれる覚えなんか絶対に、あるまい。

   善の僕:誰だって孤独だ。みな、孤独だ。追い込まれた迷路の中で、

  人は、本当の友情について考えるものだ!

 ・・・しかし、おお!――まだ独身の僕は、

 たちまち車に衝突されたような気持ちになり、

 怠けものと天の邪鬼の密会-握手-賄賂

 オーケェオーケェ、じゃあ、今週末に予定が合えば・・

  ・・・あの、予定が合えばマイホム野郎、ああ、舌が回らない、

  つくづく塔だ、糞、舌、でも冗談じゃない!

  野郎を、ひとつ斬首で!

 屈折的愛情表現――

 羊朶や雑草の若茎を打ちすえる!さ・・おお!

 長く呼べども帰らざる幸福な世界、永遠の――世界・・

 胸にかじかまる心が一つの青い炎となる・・

どうせ小さい家なんだろう

円盤型なんだろ、

おいどうせシェイクスピアの眼も灰色なんだろう、

と、ひねくれまくる僕、勝鬨をあげそうだった僕が、

 ――何を血迷ったか、この男!――驚く―――本当に驚く・・

 一瞬のコンクリート、ガラスのようにきらめく

 「やあ、待ってたよ」

 安物の埃っぽい喪服姿な僕と、お洒落でちょっと派手かも知れない男、

 たとえば僕ならビール、でも彼ならウィスキーにブランデー!

 でも、たちまち人形のような眼を前後にうごかして、

 嬉しげに、僕はにたにた笑ったのさ!

 駅まで車で出迎えてくれるフレンドリーさ!――のため・・

 少し大袈裟だが、でも大体いつも誇張法だが、

 それがたとえ天地開闢の始原のカオスというダンディズム、

 あるいはマイホームでハッピーホームの罠でも、いい!・・いいのだ、

ただ、スーパーで買ったお土産のせんべいを渡しながら

 ――「気を遣わなくてもよかったのに」と言われた時、

 ――「いや、ほんとに安物だから」と、両手あげて、撃たないで!さ・・

  (スーパーのせんべい、なんてお土産に、

   するべきじゃない、と思ったりもした。


そして彼の自宅まで、少し林道を抜ける

癇癪持ちの逆恨み、さよならあばよララバイ――おお!ママよ・・

とばっちりはやめろよ自業自得!とか、・・いろいろ、

考えてきた台詞も、猿轡かまされたように、すっかり無駄になり、

食後のケーキくらい、無からの創造はない

僕は始終、よい子となり、缶コーヒーを買い、

いい人に思われるよう丁寧な話を心がけた

ふつうだったら煙草を吸って、ぷかぷかやる男!

タバコなんて見たこともない顔をしていた!・・どうだ!

というのは、文章上の御都合主義的な展開なのですが、

「スーパーがちょっと遠いのが不便です。」と彼

「いやいや、車があれば何のその、ですよ、はい」と僕・・

ああ!と思う、木蔦だな、――と・・

 ああ、あの感情に身を委ねているのだ!・・
 
 ――おお、孤独でわがままな生活のリズムに揺れているのだ!

   ・・・・・・前に聞いたことがあるのかい、

   ・・・・鳥の歌――


ほの暗い木立に隠れている、痩せた貧弱な樹のような、

僕の魂が、少しあらわになる・・この、亡命の地

そこではきっとコップの水はこぼれることはなく――て・・

自分の目に入るものすべてを温かく包んでしまう、作用、愛、

縁遠い、寛大さにあふれる裁量

ああ、この過去から未来に架かる自由な時間――

 BGM:モーターボートの腹を叩く水音・・
 
 あるいは、ひそひそと風に揺れながら

 道に波型の線が出来ていく・・

 木の葉模様の、岸部を知らない、波の音・・


  絵は細密画風、ひぐらしがいないモザイツク!・・
                         ピイス
かれこれ二十分走ったぐらいで、到着――平和!

しかしこれがまた新築で、控え目に見積もっても様々な文字を刻する眼球の裏側の夜

7000万はしそうな家。

こういうのを世間では、豪邸と言うのだけれど、

友人なので、おおこれは立派な家ということになる――

   おお、あなたのちからづよい音楽・・愛のある音楽、慰め合って、愛になった 

   そんな日々の轍。沈黙の時間にあふれている時、ダイヤモンドと同じ硬さを感じる、

   それが人々の孤独や絶望から、立ち直らせる、勇気をくれる・・

 (ちなみに、彼は株とか、ネット事業をやっている。

 よくわからないのは詩人的独白だから伝記的事実だが、興味がいまはわかないので、

 あんまり詳しくは知らない――)

  ・・・銭ようさんもってまっせ!

  と、一発ギャグを言いたかったけれど、真面目にとられたら、

  空気が凍るので、いい家ですね、と無難に言っておくことにした。

   おい、と頭の中で誰かが僕に言う!・・

   おい、お前に、誇らしくて強大な名称が思い浮かんだぞ、

   ――二人の主人を持つ召使い!

「家内が料理作って待ってると思います。どうぞどうぞ」

NHKニュースは多分もっともクラシックだ!

実を言うと、ついていけない!とか、あれを認めてやしないか、

とドキドキハラハラなんだけど、使い魔かな、ゲーテの魔王かな、

さあ――――――と、混じり合う声声・・

でもこれがいまの崖っ縁で眺めている、国家的問題なのさ!

ふくれた水死体と。ショットガンで蜂の巣。

それは問うべきじゃない、死体は死体さ!

でも、何となく死んでいる、でも、表面上は美しい。

それが“空無”だと威嚇した所で、KYになるだけだ、

あるいは精神病院へ連れていかれてしまう、

お医者さんは言う、はい、あなたは突発性暴力症です!

おめでとーございまーす、通院してくださーい、

何の話だ?・・でも、それは

クリップを外したネクタイのようなものだ、

でもネクタイはネクタイだ、

些細な所までこだわりました、という家だ。

 滴り、流れ、凝結し――まるで大空に描かれた、

 輝く薔薇色の想像図のように、種子を、発芽を、茎を、樹液を・・

  アーチと直方体を交互に並べた天上の構造・・

   ――蜘蛛の巣にかかってもだえる虫・・

ああ、いかなる幸福がそこにあるか!

道ばたの痩せ地に生えた青い樹木のように、

疲れはあるか!

 それは見せないと、ほっと息をしても、

 隠せば、遠い魔は近付く――

スリッパをはくと、リビングまで案内される

がちゃっ、とドアを開けると、

すうっと――した、開放感だ・・

ここにあるのは、夏のけだるい夕暮れまで本当に後もう少しという部屋、

そこにとどまる菫色の花だ、芝生に椅子があり、

 折角荷造りしたトランクも、もう必要ない!しかし、まずいサイダーだ、

 我々は、気の抜けたものの味を知りながら、湿っぽい草地を物憂げに、

 ぴょんぴょんと飛ぶ蛙だ、みどり色でなく、枯れ草色の蛙を、

 われわれは眺めていた、おおきくて、さみしい蛙を眺めていた・・

途端に、虐殺が始まる、

雨のジャズ、美しい手で考察するドラムス

(を、)しづかにしづかになだめてくれ!・・Hey you!

ピアノでもあったらいいな、そうだな、オルガンでもいいな、

チェロもいいな、と思った――すさんでいて、みじめで、あわれな、

明日の嘘だ!・・健康で幸福な音楽の嘘だ――

床材のメインは畳ではなく、もうフローリングだ、

そこにカーペットを敷いたりして、

またそこにウィンドウトリートメント!

 まったく、獅子鼻のノッカーと言い、あの樫材の扉といい、

 洒落た表札と言い――孕んでる、としか言いようがない・・孕んでる、
  
 女が孕む、雌猫が孕む、・・孕んでる、身をよじるたび、

 子供数十人分に匹敵するローン!

   おい、と頭の中で誰かが僕に言う!・・

   おい、シャツの下の脇腹は大丈夫か、頬は、脛は?

   ――二人の主人を持つ召使い!

ぱっと目に留まったのは

本棚、百科事典がきれいに収納されている、あの赤毛でそばかすで、

痩せっぽっちの少女なら、

泣いて喜んだに違いない光景だ!

世界中にバラバラに飛び散った言語・・コード、情報、十二時半だ

本を、目にすると突然饒舌になる、僕は言う、かがやかしい午後、永遠の真昼・・

  「置き家具――は・・選びやすいけど、

  無駄なスペースができがちなんだよね、

  オーダーメイドと比べて――でも、思うに、

  家具配置と収納、そして人の生活の習慣と、

  最後にインテリアだよね、――うん・・

  いい部屋だね
」と、僕は褒める・・

    気位ならぬ傲慢気味の金持ちだったら、

    こんなことを聞いたら、知ってるよと言うのだが、

    彼は、うんうん、と話を聞いている――

そんな彼を見ながら、ふっと、考える、

駅前の道を、アイルランド的音楽に曲がりくねりながら聖書し、

ようは!うつくしすぎて、何かもう王位は皆に与えられた、

すこし寒かったけどね、ロシア的低い声はもういいよ――

風向きの変わってゆくのを見ていた その日

コードレスの電動ドライバーや

携帯充電ラジオライトもある――

「(しかし、いちばん気になるのは、――

やはり、工具だな、本と工具の取り合わせは、

インテリアとしても面白い。)」

   ――重い電車が

    けたたましく警笛を鳴らしながら方向を変える・・

    いつも忙しく、あわただしく、不満の苛だたしさを感じている、

    人生の疲労を反映するもの達――


      思い出はずっと思い出、

      冬の空は今日も青空で――

      荒涼として、灰褐色に見えた雲、

      曇り日を思い出すから嫌いだった・・

    青い海から浮かび上がろうとしている、
 
   あるいは塩が凝るように

  コーケンの新型ソネットレンチシリーズ

  好奇心をそそるね

  鍵を持っているか?

  ・・・吹きっさらしのやつがね、

  “Z-EAL(ジール)”は、たまたま知っているだけだが、その色になりたい

  APスーパーフィル、フライヤー、ラチエットドライバー、

  メガネレンチなどの小型展示場――

少し汚れているのが、格好いいと言えば、

格好いい・・というか、シブい――

 生活と工具・・

 インテリアと工具――

   ・・・奥さん、優しいなあ――と・

   思ったのは言うまでもない――

   よろしい、それで?

   [嘘発見機にかけられても、まだ、

   信憑性を疑う、・・


   よろしいよろしい、それで?

 ――「証言する耳」

  場所-時刻―主要人物・・・

その横に、壁面用ラック

単行本に漫画、フェイクグリーンが飾られている――

その横に、風景写真とカレンダー、額縁ミラー

まあ、青と黄色という反対色の中間色を

 合わせてカジュアルにしているのを見ると・・

  ――トーン配色の話・・空に浮かべる島と船・・

部屋の広さは二十畳ほど。かなり広い応接間だ

スツールにシェルフ、リビングテーブル

その傍にはマガジン&携帯ラック

雑誌や新聞が収納され、エアコン、テレビなどのリモコンが

その真上に置かれている

足下を見ると、レザー調のランチョンマット

コンパクトでスタイリッシュな

 ステンレスボディのコーヒーメーカー

  ――ここでコーヒーを飲むのだろうか?

仕切り付き皿に地中海風の料理

加湿&空気清浄機。浄水器。シーリングライト。

革張りのアームモーションソファ。そして観葉植物。

ゴールデンリーフツリー。薄型スリッパラック。






  1月27日






 ぼくは眠っていた。石頭でもトウヘンボクでも、夢の中だった。ココロの弱さ・もろさ、

この災害が起きてまだ日にちがたっていないわけですから、それはたいへんに、夢の中であ

る。ぶはッて噴き出してしまって、目覚めて、でもすぐに急速な潜行。でも我に返って、意

識あやふやで、パンプキンってあれ、なふきん、の、ことだっけ?――と言って・・違う、パ

ンプキンは、なふたりん、のことさ!――と、間違って、病的な妄想。狂おしい朝までの時

間。なんでこんなに孤独なのか意味不明で、でも、闇を見つめていたら、きれいだといった

影絵と同じで、てのひらも違うものの形になって、ほらすぐに、政府になる。非常に冷静さ

。メリーゴーランドは回転しているけれど、メッセージの送受信はできない、夢の中のはな

しをすると――むくむく、と浮かんだ。といって、身体がむくんでいるわけじゃなく、そい

つがむくんでいるんだ。アナコンダ、百歩譲ってもニシキヘビ。太い蛇だった。べとべと、

として、なまあたたかい、うらぶれた湿地だった。がさごそ、と音を立てながら水辺へと急

いだのは、夜の酒場の長い歴史の怖ろしい秘密の穴のせいである。風に吹かれる葦は、こお

ろぎとなった。あえぐような片脚をもがれた生き物を、こうして見ていると、あたたかみの

あるものに白い手をあてているような気がする。こうした感じは、人の話からは決してうか

がえない。だが、夕方ごろ、そこへと行くならば暗雲に錨を下ろす夕べの静かなる無言の沈

鬱がうかがえるだろう。水辺には蛙がいた。やさしい友だち!――そうだね、もちろんそれ

はやさしい友だち、蛙をクオウ!としているのだった。クオウ。全国で一時間に五十ミリメ

ートル以上の雨が記録された回数、二○○四年の三五四回。一九九四年の三一八回。おおっ

と、そこで、蛇が――鞭、無知となった!・・原始的な衝動、わけても貧しい絶望のすりきれ

た模様をしていた蛇、蛇のことですから!――ああっと、大多数の予想を覆して、いきなり

、蛇、レッサーパンダのようにそそり立ったア、デカい、エッフエルだ、東京タワーだ。立

ったア-、仁王立ちだアー!・・おおっと、これは予想外、予想外デス。蛇は、にわかに、に

んげんになって、指をパチンを鳴らしましたあー。遠くの方で、いずちゃんうさぎが、見て

いるぞお。耳をぴょこぴょこ動かしている。タキシード、薔薇の花束、そして深紅の絨毯。

その先には、馬車が! 忍者葛原さんがア!・・蛙、どうする、蛙どうする、――おおっと、

ありえない、蛙、次の瞬間、ピュアさんが「まあ、なんですって?・・」――と言った――

「まあ、なんですって?・・」――しかしまあ、今は言及しないでおきましょう。それより水

辺に、羽根も生え揃っていないかもちゃんが、いるぞ。いつもながら、愛嬌のある顔をして

、ほっぺたふくらまして、――ふくらましているけれど、どうも、散髪に失敗したらしく、

むくれているらしい。ショックだったのか、顔色がどことなく、茶色である。あるいは、緑

色である。もしくは、むらさき色である。あるいは、酸っぱそうな土気色である。これ、西

原理恵子による漫画の基本的にエキゾチックジャパンな特徴である。ねえ、君さア、カモメ

なんだろ、どうしてさあ、鴎のくせに、散髪したのさ。というのは、ナンセンスだった。ど

うして、思い立ったか。ファッションなのか?・・わからない、かもちゃんは、水辺で自分の

身体を金髪にしようとしていた。体質によりカブレ。歌舞伎じゃなくて? かぶれ、かぶー

れ、さーおや、かぶるだけー!とコンドームの宣伝をするとか?・・毛髪を傷める。しかし、

誰の言うこともきかない、不良なかもちゃんのことですから、シャンティゴールドとかいう

金髪を選択。最近何故だかどこでも圏外。アヒルのつもりか?・・わからない――ええーい、

かもちゃんが、ぐえぐえ、いったら、どうなるというのだ。その時は、アヒちゃん、と呼べ

ばよいのではないか。アヒちゃん、シャンティゴールドいかしてるつもり。アヒちゃん、シ

ャンティゴールド――その頃、蛇ならぬ、あり得なーい。無駄に繰り返します。ありえなー

いリッチ・アァーンド・セクスウィ。ボディ・ウァァーン・ボヨヨーンと化した男性を前

に、蛙は、ワンピースの似合う女になっていた。化粧直しが必要だったので、池で身を清め

られ、すっぽんぽんになり、寒いのでがたがたふるえ、あやうく三途の川いきそうになりな

がら、焚き火にあたって、とりあえずSEIYUに買い物。とりあえず、SEIYUでよく

顔を会わせる詩人に電話。トイレでSEIYUで買っただけのトイレットペーパー。このよ

うに、三点、SEIYU詩人となっております。お会計しますか? ファイナルアンサーで

すか?――そして彼女は、永遠に、永遠に、神秘的な意味を解こうとし、困るわ、わたしは

鬱なの。蛇を前にされたら、鬱になるそうでしょ?・・とは言わずに、鬱なの、と言った。そ

んなの困るわ、自分は何も持っていないから、と言いだした。あなたは蛇で、わたしは蛙。

天敵同士だもの、という、もっともらしい断り方、というより、生物的な問題は、口に出さ

れなかった。というより、そちらの方がいまは夢だった。それははるか昔に、忘れられてい

た。彼等は進化し、古い肉体や、価値習慣を棄てたのだ。スピリチュアリティー。我々は忘

れられていた――そして既に、存在自体忘れられていた、かもちゃんは、池をおそるおそる

覗いては、全身まっきっきの自分が、スーパーサイヤ人になったような気がして、ちょっと

喜んでいた。アヒちゃん。アヒちゃん――髪を逆立て・・・あのね、ちょっとボリューム足りな

いけどね、でも、そんなナレーションにもマケズ、風にもマケズ、夏の暑さにはアイスクリ

ームを食べ、北に病人がいたら一枚の羽根をおいてそんなのいらねえよといわれたからしば

き、南で揉め事があれば最終的にふたりとも、ぼこり、仲裁する気なんてさらさらなく、か

もちゃんは、かもちゃんは、夢のように過ごしては、――池を覗いては、そろそろ、空を飛

ぶかと思ったりしている。空を飛ぶ、まっきっきのかもちゃん、ジパングの池のあたり。・・

眠っていた、十八時間も、眠っていた。――






  1月28日





 オルドル
 秩序の戦ぐ洪水も引いて了ってからは、緘黙の墓室だ、
                         ア ル メ
 いかなる霊妙な均斉? 感覚器官も 埃及舞踊 か?・・・・・・

 紫電一閃!・・神の言の葉にVeil を纏へる誘惑者の純粋の景観!・・

 憤怒に採鉱するほとんど驚愕に近い比喩の円みを擦りながら――
     アプサンス         ハム
 召喚する不在の覇王!・・燻製肉のご馳走をくれないか?・・・

  通れpass)》――

  よみがへれ、餓ゑ渇へた記憶よ・・汗や血や涙の雫よ!

   ・・それを熟視する人々よ!・・と、もしも突然に天使が沈黙――し・・

   イヴを!・・おお神の名を犯すマリアを――基督に変容せしむるなら・・

  、、、、、                                 ているい
  よみがへれ、悪臭野草、毒に蒸された蛆虫よ・・凶しき奥処にもてる涕涙、
     ひま
 無為の隙の浪間に、やがて沈むるごとし!・・底知れない印象――に・・
 けもの             みづから しろ        
 獣類めく讚仰!・・智慧なき《自》の『白』の発見!
 
 ――そして俺は!・・咲く花の美わしき脊髄、青蝿の生ける陶酔の焦がれ!

 半ば口あけし石榴をまのあたりにした硝子的理性の浪費を汐風へとかへながら、
 ひびき     とは
 響充ちれば、永久に愛撫仄かに酔ひ癡れてゆくも瞼ふたぎて、
                    さち
 いよいよに、そぶりつれなく!・・祝福多いたなごころ・・
                         さま               さすらひ
 髪は黄に燃え熾り、昂然として馬を駈る状――さはれさはれ、放浪の、
 ノスタルジイ                                    ルビーたま
 郷愁!・・白くて蒼い去年の雪ひらの、弱々しく見えるが、紅玉珠玉なすWine
            ウゥバンチュゥル
 後に続く表象!――冒  険、千の甍、・・おお、唯一の代価を!

    ――労役に甘んじて服従する! 

    ――海の群島の無数の島々のうへの人びとに帰依する!

 
  ――魂の廃墟の大伽藍!・・圓形の薄暗い幕の包み・・
                   と  と   むご
 かかる時、冷けき汗に濡れ、迅く、駛くと、酷く忌まわしい灯火――
 いな みなわ うてな        ろうあ       よろこび
 否、泡沫の台にて懐胎する聾唖のごとき歓喜に向かう!・・

 かくてわが天性は魔術的想念を凝らし、永劫の縛めの魍魎を!・・

 そこはかとなく漾はしめ、われはわが忌まわしき告りし天の投射か?と・・

 否、長口舌、われはわが眼の鏡、顳顬にうごめく――

 神の霊の果漿の脈動ほこりかに・・心は氷るか?と・・

  夜更けて輝やきながらも艶めかしげに死に合ふ小虫の群団!・・供物?・・と――
                              ハネムン
  永劫因?・・と――すべては灼かれ、瑕瑾となった蜜月・・
               
  ・・・吹き流され、裸となり、無恥となれ!・・呪はれていながらも解体せよ、斥けよ!
                                   エキスス
  俺は神に蛇の皮を投げつける!・・奇を好む悔恨の疑惑の精となれ――
     アマァジュ         しるし あかし
  終焉の映像、払ってこその徴、證・・

 




© Rakuten Group, Inc.