国井咲也の満巻全席　第207席

にんじんが駄目なら、
ナスはどうだ？　ナス。

単体では魅力が薄い野菜だけれど、
ある程度調理をする人間になら、
わかるであろう、こいつの
「そいとげ」な魅力は捨てがたい。

そう、ナスは『油』との愛称が
すこぶるよろしい。
油と添い遂げたナスの破壊力は絶大だ。
夏場、ウナギや肉はちょっと、となっても
ナスならばいただける、という
人も多い。

そのままだとパンチがありすぎる
オリーブオイルも、ナスに抱かせて、
トマトと炒め煮にすれば、
イタリアの家庭料理に変身だ。

あ！

トマト！

トマトもかわいいな！

いつも真っ赤で、
すべすべつるつる。

使い方としてはどうだろう？
「トマト顔」
いかんね。かわいくない。

真っ赤になるほど
あまくておいしく、
けれど、
扱いは非常にデリケートだという、
トマトが持つ、
乙女な部分をうまく出したいのだ。
表層にとらわれてはいけない。

「…な、なによ！」
「いや、琴吹さんて、トマトににてるなと思って」
「だれがトマトよ！
　あ、あんたが怒らせるからじゃやない！」
「え？　怒ってたの？」
「え？」
「…なんだ…ちょっと期待しちゃってた」
「……」（かーっ、と再度赤くなる）

どうよ？！
こんなのどうよ！
つーか、
琴吹ななせさんはまさにトマト系だよ！

おお、ななせ！
ななせーっ！

デート途中のあの
乙面（注：国井造語。おとめん、と読む。
男には到底理解できない
純情乙女思考による面倒臭さ）さが
たまらなく可愛いぜ！！
ななせ！
ななせーっ！！

…はぁはぁ（肩で息をしている）
…あれ、なんの話しだったか？

ああ、
野村美月先生の『文学少女』シリーズの
劇場用アニメ、たのしみだなぁ！
（話、それっぱなし）