バン、バン、バカンス!
誰もが一度は憧れたはずだ。南の島の休日、よせては返す波、椰子の木陰のハンモックに寝転び、右手にお気に入りの文庫本。そうハンモック、あなたは体験したことがあるだろうかハンモック。あのユラユラ揺れるハンモック。僕はあります一回だけ、あれはマサちゃんのジムニャーで裏高野温泉のそのまた奥の林道に野宿へ行った時のこと。普段は単車で出かける僕たち、その日は車なもんで無意味にいらん物まで積んで旅立った。ブツを見つけたのはたしかアリちゃんだった。今回の野宿の準備に訪れたIBSイシイスポーツだったかコーナンだったか、とにかく破格のハンモックを見つけた、触れてみた、そして迷わず購入した。現地に到着して、テント等をセッティング、アリちゃんおもむろに頃合いの木を二本物色する。これだとメボシをつけ、上手い具合にたるむようにハンモックをセット完了。そこからは新しい物好きの僕たち、喜び勇んで新しい玩具を奪い合う。しかしそこは体重の軽い者から乗ってみようとの意見が通り、まず僕が乗る。アミアミにケツを落とし、ヨッコイショ!と寝転ぶ。想像していたよりは心地良くない、なんだか動きが取りづらい、なんだか蜘蛛の巣に引っかかった昆虫のよう、でも初体験、とは言えなかなかリゾート、もうチョット張った方が良かったのか?とも思えたが、そこは満面の笑みを浮かべてイイカンジ!と感想をのべ次の人に交代。マサちゃんアリちゃん順に乗り、うーんなかなか!と交代する。しかし僕らにかかると何処か優雅なはずのハンモックが、幼稚園児が取り合いしている公園のブランコのようになるのが悲しい。そして、最後に重量級のポストマンを乗せ、この辺になると調子に乗って「そーれ!そーれ!」とまさにブランコのように残り三人でポストマンの乗ったハンモックを景気良く揺らし始める。が、しかし「あっ!」次の瞬間、四コマ漫画さながらにハンモックをくくりつけていた片側の紐がスルリとほどけ、絶妙のタイミングで、そして絵に描いたような弧を描きポストマンはお尻から地面に落下する。驚愕の表情でスローモーションで落ちて行くポストマンをただただ見送る三人。時間が元通り動き出しヤツを助け起こすと、ヤツのケツが落下した真横にチョモランマのような岩が地面から顔を出しているのが見て取れた。なんとも、もう少しのところで、ヤツの肛門括約筋はその活躍を終えるコトになるところであった。それから四人顔を見合わせて、とりあえず今回はハンモックを封印することとした。ハンモックはやっぱり、光の差さない岩だらけの林の中より太陽ふりそそぐビーチの椰子の木にくくり付けるのが正解のようですので、お気をつけください。