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最近、雑誌で東証の新しいCIOにNTTデータの関連会社の社長が就任することになったという記事を読んだ。CIOを公募するという思い切った人事を発表したはいいが、名乗りを上げる候補者がおらず、東証の会長がNTTに相談したところ、NTTデータ（日本電信電話株式会社データ通信事業本部）の地銀共同センターのたち上げ、運営に実績のあるNTTデータの子会社の社長を務める人物に白羽の矢がたったとの事のようだ。

今回の人事にあたっては東証の会長がNTTに働きかけたことによるものの
ようだが、どうも適材適所の人事とはいえないのではないかと考えている。
まず、新CIOは地銀向けのシステムでは十分な実績を上げてきた人物とはされてはいるが、証券分野については、その知見が十分とはされてはおらず、日進月歩でユーザーが求める環境が変わるスピードに対応できるかどうか極めて懐疑的にならざるをえない。

また、NTTデータ出身というのが気になる。石橋をたたいても渡らないこと
をある意味モットーにしているNTTデータの人間に、新しい技術を取り入れていく元気と姿勢が期待できるのかという疑問がのこる。NTTデータの強みは
磐石なインフラと下請けとなるシステムベンダーへの完全なリスクヘッジにある。環境の変化少ない落ち着いたビジネス環境のもとでは安心してまかせられるビジネスパートナーではあるが、ユーザーの求めるシステムニーズを十分に実現できるかどうかは甚だ疑問が残る。

例の社会保険庁のシステムのようにシステムを開発し、その運用までのすべてを担うような競合を前提としないシステム構築、それがNTTデータの真骨頂なのである。このところ、様々な事件の陰に隠れて、影の薄くなった感のある社会保険庁のシステムは、その融通の利かなさは天下一品である。東証のシステムはこれまで、富士通や、日立製作所がSIベンダーとして携ってきた。今回、いくつか問題が発生したことは事実だが、今後も彼らの奮起に期待するところは大である。むしろ、CIOを招聘することよりも、彼らとの関係を強化することのほうが重要なのではないだろうか。