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カテゴリ:霜花の姫~香蜜が咲かせし愛~全63話
香蜜沉沉烬如霜 Ashes of Love
第20話「鴉鴉との出会い」 人間界で聖医族の聖女となった錦覓(ジンミー)、しかし聖女はいずれ王と共に埋葬される運命を背負っていた。 そんなある日、薬材を採りに羅耶(ラヤ)山まで出かけた錦覓は、血まみれで倒れている男を見つける。 その男は熠王(ユウオウ)、錦覓を追って人間界へ落ちた火神・旭鳳(キョクホウ)だ。 熠王は面紗で顔を隠した娘に助けを求め、気を失ってしまう。 そこへ仮面の男が現れ、2人に襲いかかった。 錦覓は胸を切られたが隕丹(インタン)が跳ね除け、刺客は娘が天界の者だと気づいて姿を消す。 こうして巡り合った錦覓と熠王、2人の足首には月下(ゲッカ)仙人が結んだ赤い糸があった。 一方、天后の密偵は自らの血を利用し、ついに滅霊箭(メツレイセン)を完成させた。 しかし″幽冥(ユウメイ)の怒り″の力を使ったせいで魔界三王に滅霊族の生き残りがいることを知られてしまう。 卞(ベン)城王はその生き残りがもしや暮辞(ボジ)ではないかと気づくが…。 錦覓は男を小屋にかくまって介抱した。 まさかこの男が熠王とは知らず、官兵たちを殺した土賊だと勘違い。 しかし医者は人を選ばず、錦覓は男の脈診をしてから薬を煎じてやった。 夜になってやっと聖医族の村に戻った錦覓。 羌活(キョウカツ)は錦覓の胸の傷を手当すると、刃物で出きた傷だと驚いた。 錦覓は剣を持った男に襲撃されたが、胸のあたりが熱くなって軽い切り傷だけだったと話す。 何が起きたのか分からない錦覓、実は攻撃を受けた衝撃で錦覓の隕丹に亀裂が出きていた。 錦覓は羌活が眠ると、こっそり薬房に忍び込んだ。 そこで貴重な千年人参(ニンジン)を持ち出そうとしたが、羌活にバレてしまう。 今回だけは見逃せないと邪魔された錦覓は仕方なく羌活に昏迷粉をかけた。 「…あなた…また…」 「許して、羌活…」 錦覓は羌活を眠らせて村を飛び出し、男の治療に人参を使ってしまう。 翌朝、熠王は森で襲われた時の夢を見て目が覚めた。 するとなぜか女子の衣を着ている。 …まさか、死んで魂になったのか?… 熠王は痛みをこらえて上着を脱いでいたが、その時、誰かがやって来る。 仕方なく再び横になって寝たふりをすると、あの面紗の娘が現れた。 熠王は娘が熱を計ろうと手を伸ばした隙に腕をつかんで倒し、首を押さえた。 娘は暴れていたが、どこか見覚えがある。 しかしいざ何か言おうとしても声が出ない上、娘の声も聞こえなかった。 驚いた熠王は動揺して手を離すと、錦覓は男が口もきけず耳も聞こえないと気づき、机の上に水で″医″と書いて見せる。 熠王はようやくこの娘が自分を助けてくれたと分かったが、何があったのか思い出せなかった。 あの時、気を失う前に見た黒衣の仮面の男は何者なのか。 錦覓は命の恩人への酷い扱いに憤りながら、男を机の前に呼んで言いたい事は書いてくれと頼んだ。 …傷病の状態は? 男が土賊だと思い込んでいる錦覓はやけに達筆だと驚くと、まずは診察させて欲しいと書いて、いつもの食生活を尋ねた。 土賊なのになぜか豪華な料理を食べている男…。 しかし男が食べている薬膳は組み合わせ次第で毒にもなり、薬膳同士がぶつかり合ったせいで雑多な毒が溜まったのだと診断した。 …私に任せて、治してあげる 錦覓は凶暴なことをされた仕返しに、強い薬を試してみることにした。 (  ̄꒳ ̄)oO(使ってみたかった薬もあるし…ニヤリ 魔尊・焱(エン)城王は火神が人間に転生したと知って刺客を送り込んでいた。 仮面の男は確かに火神を見たと報告、しかしとどめを刺そうとしたところで邪魔が入ったという。 その女も斬ろうとしたが跳ね返され、天界の力が働いていると気づいて軽率な攻撃は避けた。 息子たちの復讐に失敗した魔尊は憤慨したが、固(コ)城王はあることに気づいて好機だと喜ぶ。 確かに人間となった火神を殺すのは簡単だが、普通の剣で殺しても人間での生を終えて天界に戻るだけだった。 しかしちょうど滅霊族の存在が再び明らかになったところ、滅霊箭を使えば元神の存在ごとこの世から消し去ることができる。 実はすでに滅霊箭は天界にあった。 天后は密偵から滅霊箭が完成したと報告を受け、それを使って2度と錦覓が天界に戻らないよう命じたが…。 錦覓は自分でもなぜ聖医族の掟を破ってまで男を助けたのか不思議だった。 しかし初めて自分の患者に会えたと思うことにして男と交流を深めて行く。 …傷はいつ治る? …半年足らずで治るはずよ 熠王は娘が若そうに見えたが、面紗のせいか人物像がつかめない。 高邁(コウマイ)な医者なのか、一介の医者に過ぎないのか。 …なぜ襲われてたの? …凉虢(リョウカク)人だ …なぜ戦うの? …私の国土を侵し、女子供をさらったからだ 錦覓は気概があるのになぜ土賊なのか訝しんだが、乱れた世では兵も土賊も同じなのだと理解する。 …立派な志ね …遊びではない! 熠王は急に憤慨すると、錦覓は理由が分からず困惑した。 それにしても怖い顔をした男の鋭い目つきはどこかカラスに似ている。 錦覓はカラスの絵を描きながら、これから男のことを″鴉鴉(ヤーヤー)″と呼ぶことにした。 すると熠王がまた筆を持って何やら書き始める。 …なぜ助けた? …あなたが美しい顔をしていたからよ 鴉(  ̄꒳ ̄) …私は目の前にいる人を助けただけ、あなたは天に選ばれたの、これからは人を助けてね 錦覓は話を切り上げ、食料の調達に下山することにした。 熠王は慌てて男の衣が欲しいと訴えると、錦覓は心配せずとも調達してくると笑う。 「でも女物をまとった姿も素敵よ~♪」 錦覓が出かけると、熠王は娘のいたずら書きを見た。 …あの小娘っ 一方、南平(ナンベイ)郡主となった鳥族公主・穂禾(スイカ)は熠王が消息不明と聞いて慌てて王府に駆けつけた。 護衛・秦潼(シントウ)は南平侯から隠密に捜索するよう指示があり、神策府の軍営から12軍が捜索していると説明する。 そこに急報が届いた。 熠王が羅耶山で凉虢兵に襲われ従者が全滅、熠王は依然、行方不明だという。 南平郡主は慌てて父に掛け合った。 南平侯は娘が婚姻もしていない相手のことで取り乱し過ぎだとなだめたが、仕方なく傅相(フショウ)たちと話し合うと約束する。 しかし凉虢側に熠王の暗殺を頼んだは南平侯だった。 南平侯は娘が帰るとすぐ臣下を呼び、兵を率いて羅耶山へ行くよう命じる。 「熠王の亡骸を持ってまいれ」 その夜は雨になった。 錦覓は男に外で治療させながら、寝台を乗っ取って千金方(センキンポウ)を読んでいるうち居眠りしてしまう。 部屋に戻った熠王は娘の手から書物を外し、医術に秀でて賢明なのに時に世事に疎いと感じた。 …まさか聖医族の者か? 熠王は思わず娘の面紗を外そうと考えたが、君子の道に反すると思い直した。 …自ら面紗を外す日を待とう …感謝している、ゆっくり休め 熠王は娘をそのまま寝かせ、机にうつぶして眠った。 ふと目を覚ました錦覓は男を眺めながら、節度もあり悪い人ではないと気づく。 …振り回したりしないで早く治してあげよう するとなぜか急に胸がキュンと痛んだ。 一方、魔界では卞城公主・鎏英(リュウエイ)が街中で障隠(ショウイン)術で姿を消している男を見つけた。 何者かの手先だと疑った鎏英は後を追ってみると、固城王府に到着する。 男は何やら固城王と密談している様子、そこで鎏英は姿を消して殿内に忍び込んだ。 固城王は配下に滅霊族の生き残りを捕らえ、滅霊箭を探し出すよう命じた。 しかし未だどれほど残党がいるのか、滅霊箭があるのかは不明だという。 すると固城王は最初の滅霊箭を火神に使うよう命じた。 鎏英は暮辞と旭鳳の危険に気づいたが、固城王に見破られてしまう。 鎏英は父に迷惑をかけまいと自分を殺せと言った。 すると固城王はどちらにしてもいずれ卞城王も殺すという。 鎏英は固城王の野心に気づき、魔尊も父も殺すつもりだと分かった。 煙玉で何とか脱出した鎏英、しかし固城王は魔尊の意だとして公主を始末するよう命じる。 つづく (^ꇴ^)天界でも人間界でも出会いが同じ そしてふぉんふぅぁんはまた女装w お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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